2006/12/15(金) 「トゥモロー・ワールド」 ― 2006年12月15日 00:00
前売を買ってあったのだが、ふと気づくとたいていの館で本日までの上映。慌ててシネマサンシャインで観てきた。
上映までに間があったのでプログラムを開いてみると、SF映画としては文字が多い。頭からイントロダクション、ストーリー、堺三保による解説まで読んだら、ほとんど内容が分かってしまった。
実際に観て驚いたのは、ほとんど娯楽要素がないこと。人類に子供が生まれなくなって18年、紛争で崩壊寸前の世界。分類すれば近未来サスペンスということになるが、全体にドキュメンタリー・タッチで、滅びを前にしてなお争い、殺戮を続ける人類の姿に暗澹たる気分になる。破壊され、修復により義足を着けたようなダビデ像を前にしたセリフ「100年後にこれを見る者はいない」が、状況を端的に表している。
しかし、戦闘の最中に赤ん坊を目にした兵士達がその時だけは銃撃を止め、母子は人類再生の希望を託すべきプロジェクトに送り届けられて、希望の見えるラストを迎える。クレジットの間に流れる子供たちのはしゃぎ声は製作者の祈りでもあるだろう。
監督は「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」を撮ったアルフォンソ・キュアロン・・・というのはプログラムからの引き写しで、この人の作品は初見。鑑賞前に「なんだお子様映画の監督か」と思ったのは認識不足だった。あまりに直截的で余裕のない印象はあるものの、記憶に残る良質な作品である。
公式サイト ⇒ http://www.tomorrow-world.com/
あのー、ここからどこにも進めないんですけど。はっ、もしかして「先のない世界」ってことか!?
■追記
上記の公式サイトはすでに消滅。
2006/12/17(日) 「スキャナー・ダークリー」 ― 2006年12月17日 00:00
休日早朝出勤、とは言っても仕事は朝8時から1時間ばかりで終わり、シネセゾン渋谷で「スキャナー・ダークリー」。
いや、最初から一抹の不安はあったのだが、やっぱり物質Dに脳を侵されたかの如く判断力低下--ありていに言えば睡魔に襲われてしまった。ストーリーは追えたのだが、論評は不能。
そもそも自分はディックの世界観はあまり得意でなく、この作品の原作も読んでいない。ディックの小説は頭が疲れている時の方がよく理解できるという評を読んだことがあったが、映画を観るのに睡眠不足はいけません。
しかしこの、ロトスコープでアニメ化された映像とスクランブルスーツによって無個性化された主役の音声は、現実に皮一枚を被せてそれが少しばかりずれているようで、認識の不全、不安を伴う浮遊感を醸し出す。
頭が疲れている時には周囲と自分の間に膜があるように感じる。この「膜」を上記の「皮」に等しいものとすれば、過去に映像化されたディック作品--もはや古典の「ブレードランナー」を始め、「トータル・リコール」「マイノリティ・リポート」「ペイチェック 消された記憶」--の中で最もディック的な映画であるのかもしれない。
PCの内蔵DVDドライブを買って帰宅し、即座に換装。ケースを開けてみたら前面吸気口のフィルタとCPUクーラーにホコリがビッシリで噎(む)せこんだ。
2006/12/20(水) ミイラとスパモン ― 2006年12月20日 00:00
今日はこの前の日曜出勤の振替で休み。
日曜には1時間しか仕事してないが出勤日数にカウントされる。その代わり、毎日1.5hの見做し残業以上に仕事しても手当は出ない勤務形態なのだ。法定休日(つまり日曜)の出勤については特別に申請しない限り振替休暇を取らないといけない。
で、国立科学博物館の「ミイラと古代エジプト展」へ。チケットはO倉・K氏から平日のみ有効の招待券をもらった。サンキュー。
さすがに平日の午前中はそれほど混んでいない。入場すると紙製の立体メガネを渡され、暫しのイントロの後、3Dシアターへ。
昔の学習雑誌にあった、赤青のインクでずらして印刷した絵を同じ色のセロファンを張ったメガネで見る方式を思い出したのだが、さすがに最新式は違う。驚くほどの立体感である。ミイラの棺が頭から爪先の方へ奥行きを持って浮かぶのを見ると、今度は「スターウォーズ」(EP.4)の冒頭を思い出した。ルーカスはこれをやりたかったんだろうなぁ。もっとも、この立体映像を2時間見ていたら気分が悪くなるかもしれないが。
ミイラを破壊せずに内部を自在に見るこの立体映像が展覧会のメダマだろうが、内容も興味深く、後に続く展示物の解説になっているのはうまい組立だ。ミイラの頭の上にあった皿のヒミツに古代エジプトの職人を身近に感じたりして。
映像で見た棺の実物の保存状態には驚いた。表面に描かれた絵が美しく、とても3000年前のものとは思われない。
本人は生前虫歯に悩まされていたろうという解説に、更にミイラに対する親近感が湧く展示だった。
池袋で献血。128回目。献血手帳が献血カードになった。暗証番号で本人確認をする方式だが、献血なんてそうしょっちゅうするものではないし、きっと暗証を忘れる人が続出するであろう。
電車で移動中に『反★進化論講座 空飛ぶスパゲッティ・モンスターの福音書』(ボビー・ヘンダーソン、築地書館)を読む。この宗教を知ったのはK元・T氏が以前に書かれた文章によってだったが、預言者による福音書を読んで、その素晴らしさを再認識した。様々な方面からスパモンの存在とその御業を実証する論文も収録されている。
さあ、まずは Church of the Flying Spaghetti Monster にアクセスだ!・・・マグカップが欲しいけど、ちと高いな(笑)
2006/12/23(土)~12/24(日) 北八ヶ岳・天狗岳 ― 2006年12月23日 00:00
無名山塾の雪山講習。25単位目。
実は天狗岳には今年の1月に上がっている(⇒ 1/21~1/22 八ヶ岳・天狗岳)のだが、その時は遠足倶楽部からの本科メニューつまみ食いだったし、シーズン始めでもあるしで受講することにした。
講師は前回と同じM本・Y氏、講習生はS藤・H、Y永・H、本科26期に入りたてのH方・Y各氏、ゲスト1名と自分。
23日は遠足倶楽部の北横岳もあり、新宿駅でそちらに参加するI坂・Y氏に会う。茅野では岩崎主催に挨拶。S木・Y氏とK田・K氏のパーティも北八縦走に入っている。
本科組はバスで渋の湯まで移動(\1100)。街から見るとそれほど雪はなさそうだったが、ここまで来るとちゃんと白くなっている。無風ほとんど快晴の上天気のため、スパッツを履き、ピッケルを持った以外は街中と同じ格好でいられる。アイゼンも着けないで11:40歩き始め。自分が殿(しんがり)。
今日は黒百合平までのためのんびりペース。道はよく踏まれていてもぐるようなこともない。途中、分岐で止まって地図とコンパスの使い方などやりながら、14時過ぎに黒百合平に到着。エアリア(昭文社・山と高原地図)のコースタイム通り。
黒百合平にはすでに多くのテントが設営されていて、ちょっと場所を探す。ヒュッテ前が空いてると思ったらトイレになっていたりで、結局樹林よりの日陰へ。今回は総勢6人のため、山塾の5テン(5人用テント)と自分の2テンの2張り。2テンは講師と自分の就寝用。
設営を終わってもまだ時間が早い。明日に備えてアイゼンに慣れようということで、テントに荷物を放り込んで南側の小ピークに上がる。新人を含め特に問題はないが、上は風が吹いて寒いので早々にテントに戻った。
みんなまとめて5テンに入れば、すぐに持ち寄った命の水(酒)とつまみが行き交う。そうしながら雪を融かし、夕食のポトフを作る。事前に闇鍋向けに各自一品という話があり、自分はクリスマスツリーとサンタを金太郎飴ふうに描いたカマボコを持参。ポトフにぶち込むのではなく、醤油をつけてつまみにしたが。Y永氏は会社のお歳暮か何かの豪華なハムを振舞ってくれる。
自主山行で白駒池青苔荘テント場に入っているはずのS木氏と18時に無線連絡の予定だったが、指定の周波数で空けておいたにも関わらず入電なし。少し遅れてこちらから呼びかけても返答なし。地形で電波が通らないのか。
飲んで食べて21時頃に就寝。
静かな夜だったが、2テンは火を焚いていないし、シュラフは3シーズンだしで少々寒い。夜中に目が覚めて、使い捨てカイロを胸に張った。翌朝訊いてみると、講師も寒かったとのこと。
明けてクリスマスイブ。5時過ぎに起床、のんびりとカレーうどんを作る。身支度してテントを出てアイゼンを着け、出発は7:54。今回はホントにゆったりだ。快晴、氷点下13℃。
中山峠を越えると、8月に登った稲子岳南壁(⇒ 8/20 北八ヶ岳・稲子岳南壁)が見える。結構すごいじゃんと感慨新た。眼下は雲海。
東天狗岳手前の岩峰を巻く部分では講師が「落ちたら命の保障はない」と慎重さを求めるが、特に危ないこともなく全員すんなり通過。
9時に東天狗山頂。風もあるし、ここはちょっと止まっただけでより高い西天狗へ向かう。ここまでは岩をガリガリかじりながらだったが、鞍部まで下りると雪がふかふか。それでもぞんざいに歩いていると雪の下に隠れた岩に乗り上げてバランスを崩すので油断できない。
9:30 西天狗山頂(2645.8m)。風はそこそこあるが、気温は0℃以上。記念写真を撮って下山開始。
東天狗山頂下でトラバースし、帰路はスリバチ池経由。こちらの方がアイゼントレーニングになると講師。黒百合平手前のピークから東西天狗岳を振り返る。
テントには11時前に帰着。
テントを撤収し、軽く腹ごしらえなどして12時に出発。この時点ではアイゼンを外したが、最後の最後、渋の湯へ下りる斜面が凍っていて嫌らしいということで、分岐での小休止に再装着した。渋の湯に13:20。ここで今回の講習は終了。バス時間まで間があるのでタクシーを呼ぶ。
茅野で焼肉屋に入り乾杯。やがてS木氏、K田氏も下りて来て合流し二次会となる。列車内でも飲んで三次会。さらにM本講師、S木氏、自分は新宿で四次会。午前様で帰宅。
■今回のルート
最近のコメント