2006/9/4(月) 『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか』 ― 2006年09月04日 00:00
スーザン・A・クランシー・著、林雅代・訳、ハヤカワ文庫NF。解説は植木不等式ことK元・T氏。
内容は、本文の章立てと解説の見出しを引用すれば一目瞭然だ。すっきりした構成で説得力もある。
第1章 いったいどんないきさつでエイリアンの研究をすることになったのか?
第2章 なぜエイリアンに誘拐されたと信じるようになるのか?
第3章 もし起きていないなら、なぜ記憶があるのか?
第4章 アブダクションの話は、なぜこれほど一致しているのか?
第5章 どんな人が誘拐されるのか?
第6章 もし起きていないなら、なぜ起きたと信じたがるのか?
解説-UFOとアブダクションから社会と科学の関係まで考える一冊
第5章までで、人間の記憶の不確かさ、特に催眠によって「回復」された記憶の問題点、「グレイ」タイプのエイリアンの登場と映画、TVドラマ等の前後関係、アブダクティーは空想傾向の強い人々であること・・・これらをきちんと根拠を示して論ずる(注釈として参考文献が挙げてある。それを文庫本に収録したのも偉い)。しかし、それよりも本書の特徴は第6章にあるだろう。一見、人間性を否定するような体験であるアブダクションが、実は極めて人間的な心の営みから生み出されたという解釈。「アブダクティーの研究から見えてきたいちばんのポイントは、わたしたちの多くは神のような存在とのコンタクトを求めていて、エイリアンは、科学と宗教との矛盾に折り合いをつける方法なのだということだ」(p.222)。宗教国家アメリカでアブダクション花盛りなのも頷ける。
ところで、本書で語られることの大半は『トンデモUFO入門』等のと学会関連本で読んでいる(⇒ 2005/8/4 本ブログ)。おそらく皆神竜太郎氏などは本書やそれに先行する研究論文に当たっておられるのだろう。植木=K元氏の解説もと学会繋がりだな、きっと。
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