2006/2/23(木) 宇宙旅行ものなど読む ― 2006年02月23日 00:00
最近いよいよ仕事が切羽詰まり、この前の週末は土日とも出勤。
昨夜は別件の夜勤で、普通なら午後ゆっくり出勤するところだが通常通り朝から作業した。もっとも、これで忙しい仕事も一段落ついた。さすがに今日は早上がり。
最近は買物する時間もなかったので、紀伊国屋に寄って『蟲師』第7巻、『UFOとポストモダン』(平凡社新書)など買う。さらに神保町に回って久しぶりにくだん書房をチェックしようと思ったのだが、心覚えの場所は別の書店に変わっていた。閉店してしまったのかと古書店街をぶらついて帰ってきたが、ビルを移っていたのか。
そんな最近だが、通勤電車や昼休みに宇宙ものノンフィクションを続けて読んだ。
(1) 『宇宙の歩き方』 林公代、ランダムハウス講談社
(2) 『JAXA長期ビジョン JAXA2025』 宇宙航空研究開発機構、丸善プラネット
(3) 『宇宙旅行ハンドブック』 エリック・アンダーソン、文藝春秋
(1)と(3)は同趣向の本だが、(1)が写真豊富で楽しい。内容もよくまとまっている。昨年7月の出版だが、「ホリエモン、宇宙進出?!」なんて記事は今になってみるとなんともはや。
(3)の著者はデニス・チトー氏らを実際に国際宇宙ステーションに送り込んだSpace Adventures社の社長。その分、「ハンドブック」というタイトル通りの具体性がある。
(3)によると、Virgin Galactic社でアンサリXプライズを獲ったスペースシップワンをベースに設計中の宇宙船はエンタープライズ号だそうである(p.134)。VSS(VirginSpaceShip) Enterprise は絶対に USS Enterprise のシャレだ。トレッキーはスペースシャトルの時に早まって宇宙に行けない機体に栄光ある船名を与えてしまったが、今度は行けそうである。
しかしチトー氏を「世界初の民間人宇宙旅行者」(p.7)としているのは、TBSの秋山さんを忘れているのではないか? あれは「宇宙特派員」という社命を受けたのだから旅行者とは違うか。いずれにせよ、当時は「金で宇宙へ行くなんて」という声もあったが、「金で行ける時代になったか」と感慨を持ったものだ。それがいよいよビジネスになる時代になった。
(2)はJAXAの今後20年間程度のビジョンを示したもの(プレス資料 ⇒ https://www.jaxa.jp/press/2005/04/20050406_sac_vision_j.pdf)。「自在な宇宙活動能力の確立」を掲げながら、「20年後頃までには、安全に人が乗れる打上げ・帰還システムの実現と運用の開始をめざす」(p.17)のみで、自前の有人宇宙飛行を行わないというのは無理がある。「国際宇宙ステーション計画などを通じて有人宇宙活動技術の蓄積を図」る(p.16)と言うが、独善的なアメリカの言いなりでどれだけの経験を積めるのか。そもそも、ISSまで乗せて行ってもらう立場で対等な関係を結べるのか。「次の国際的な有人宇宙計画への参加に備える」(p.57)というのも主体性がない。それに20年後に有人技術を持ったとしても、市場は米ロ中(含民間)に押さえられていて、結局ビジネスとしての自立は難しいだろう。輸送機の再使用にもこだわり過ぎ。スペースシャトルの問題点を克服する目処がつくとも思えない。
それと、航空産業の分野で「環境・安全に関する課題は必須命題」と捉えるのは正しいが、「「人と地球に優しく、より安全に」が社会からの要請」(p.61)とするのも引っ掛かった。技術者たる者、「地球に優しい」などとイメージ優先、偽善的な言葉を安直に使うな。
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