2006/8/4(金) 『天変地異の黙示録』2006年08月04日 00:00

小松左京『天変地異の黙示録 人類文明が生きのびるためのメッセージ』(日本文芸社、パンドラ新書)を読む。
内容は1970年代に書かれた3本の論考に語り下しを加えてまとめたもの。はっきり言って「日本沈没」の水増し便乗企画と思いながら買い求めたのだが、まさしく『日本沈没 第二部』の問題意識が語られていた。「大環境系の変動(寒冷化)」と、それに備える「地球的規模での環境最適制御」の必要性、さらに「気象予測公開原則をつくれ」、と。『第二部』の感想に「小松らしさは感じられない」と書いた(https://marukoba.asablo.jp/blog/2006/07/25/9392200)が、テーマは小松が30年間抱いてきたものだった訳だ。便乗には違いないが、このタイミングで出版する意義はある、と評価替え。

前書きに曰く、「三つの論考は(中略)人口問題・食糧問題・異常気象・環境破壊といった「未来の危機」が噴出しはじめた時期に書かれたものであるから、現在が抱えている諸問題すべてには言及し得ない面はあるにせよ、それでも根本的な問題(中略)はそれほど変わっていないのではないか」。
確かに米ソ冷戦が宗教絡みのテロに置き換わったものの、「局地システム間の「相互不信」「一国エゴイズム」「対外強制力」のバランスが、「国際社会」という統一体をつくり出している」のは相変わらず。全地球的な危機に対する認識はある程度一般化しているのに、それを理性的に解決する取組みはほとんど出来ていない。京都議定書に対するアメリカの振舞いなど見ると、30年前から何も学習していないのかと思う。『第二部』は、そんな状況に対する小松からの提言でもあるのだろう。

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