2021/7/2(金) 「1秒先の彼女」2021年07月02日 18:40

「1秒先の彼女」鑑賞@グランドシネマサンシャイン池袋。

子供の頃から何事にも他人よりテンポの速い彼女、目覚めると大切なバレンタインの一日が消えてしまい、肌は日焼けしているは、覚えのない自分のポートレートが写真店のウィンドウに飾られているは。一方、何事にもテンポの遅い男がいて...
SFかもと思って観たが、SFではなかった。利息だった。しかし、素敵なラブロマンスである。台湾の街や漁村に親近感が湧く。
時計の秒針が見ていると動く(見ていない時には怠けている)って感じること、あるよねぇ。

2021/7/8(木) 「Arc アーク」2021年07月08日 13:10

「Arc アーク」鑑賞@新宿ピカデリー。

ケン・リュウの原作小説(『神の動物園』所収)を読んでから映画に臨む。
ストーリーの大枠は変わっていないが、若さ=好奇心・精神の柔軟性を保つ主人公が美術や医学など様々な分野を学び続ける描写はカットされ、後半に追加された養護老人ホームのエピソードは不老化処置を受けられる階層とそれ以外との軋轢への回答として用意されたものか。前者はテーマ的に結構ポイントになると思う(原作本で「円弧(アーク)」に続けて収録された「波」でも扱われている)が、映画ではプラスティネーションに姿勢を付けるダンサーとしての資質に置き換えられ、老人ホームともどもSF味を薄めている。
原作とは肌触りが相当違うが、邦画でSFをやる場合の新しい方向性かもしれない。緊張を保った脚本や俳優陣の演技も良かった。倍賞千恵子の存在感はさすが。

しかし作中でも言われている通り、「生は死によって意味を与えられる」というのは最終的に死ぬ以外の選択肢が無い中での話であって、不老不死が達成されれば人間は新しい哲学を生み出すことだろう。原作も映画もそれぞれに優れた作品だが、自分としては現状の哲学など踏み越えて行く物語が好み。

プラスティネーションは以前に「人体の不思議展」だったかで実見したが、映画のは綺麗すぎ。原作では忠実に描写されている。「不思議展」では、展示されている人は自分が死後に丸裸どころか筋肉や内臓までさらけ出して人目にさらされると承知していたのかな、と思ったことだった。

2021/7/12(月) 「ゴジラvsコング」2021年07月12日 10:20

4度目グタグタの東京緊急事態宣言下、「ゴジラvsコング」鑑賞@板橋イオンシネマ。イオンカード利用で1000円。

二大怪獣の頂上決戦だけで114分保つのかなと思ったらメカゴジラが絡み、人間側も複数グループ、空洞地球に秘密兵器的な乗物、香港大破壊とてんこ盛り。単純見世物映画としては、まあいいか。

ついでに上板橋に移動して桜川御嶽神社を再訪。前回は夕暮れ近かったので明るい時間帯にオオカミ狛犬の写真を撮ろうと思ったのだが、覆い屋の前面に金網が張られてしまっていて残念。

2021/7/13(火) 諸星大二郎を再読中2021年07月13日 00:00

「諸星大二郎展」三鷹巡回(https://mitaka-sportsandculture.or.jp/gallery/event/20210807/)を前に、諸星作品を再読中。
文庫化されるだろうと思って買っていなかった『キョウコのキョウは恐怖の恐』、文庫化&電子化してくれないかな、講談社さん。

2021/7/16(金)~7/18(日) 甲武信ヶ岳2021年07月16日 00:00

梅雨も明けそうだが、新型コロナのまん延防止等重点措置下にある埼玉から遠出することは躊躇われるので、歩き残していた十文字峠~甲武信ヶ岳を繋げることにした。正確に言えば、2003年11月に初めて甲武信ヶ岳に登った時に三宝山まで足を伸ばしているので十文字峠から三宝山まで行けば目的達成となるが、それで甲武信を踏まない手はないだろう。

■7/16(金)
十文字峠から北上した時(http://marukoba.asablo.jp/blog/2018/10/06/9233458)と同じく、川又スタート。コロナ対策で使えないかもと水を持参したが、観光トイレの水道は変わらずに使用可能だった。晴れ、10:10出発。
今回は十文字峠まで南側のルートを使う。「トラウトオン!入川」の看板でバス道(国道140号)から下りて入川橋を潜るとコンクリート桝の水場がある。昭文社山と高原地図に水マークは無いが、コップも備え付けてあることだし飲めるだろう(実際に飲んだが異常なし)。
ルート入口
キャンプ場への道標の下に「十文字峠方面(登山道)通行禁止 崩落箇所あり危険」とあるのを横目に林道を進む。夕暮キャンプ場前田夕暮の歌碑がある)、トラウトオン!入川を過ぎるとゲートがあり、ここには「入川軌道工事中につき通行止め(川又十文字峠線)」の立看板。同じ看板が林道と十文字峠へのルート(森林軌道跡)との分岐にもあった。分岐を入ると細めの線路が道の上に結構残っている。途中にデポしてあった自転車は東京大学演習林内の連絡用だろうか。
森林軌道跡
11:50に赤沢谷出合。ここまで軌道工事も通行止めも無かった。
ここから登山道になる。吊橋を渡り、赤沢谷(昭文社地図にはアカギ沢とある)に沿ったトラバース。道標に従って左(西)に折れて一登りすると沢音は小さくなるが、入川と並行したトラバースが続く。
小沢を横切る
指導標が先日の道志(https://marukoba.asablo.jp/blog/2021/05/03/9375565)で見たように削られているのは、やはりクマの仕業なのだろう。指導標や樹木に「ここは○○です。ドコモ携帯電話が繋がります」の札が付いた箇所もある(赤沢谷から離れた地形図1230m付近の「赤沢乗越」、そこから30分の標高1250m「根っこの階段」、地形図1212m尾根の「峠の休憩地」、計3か所)。いくつか横切る小沢にはクサリやハシゴの付いたものもある。地図に水マークは一切無いが、これらの小沢に汚染源も無いのではなかろうか。この間にすれ違った単独男性が、林道ゲートから十文字峠の間で出会った唯一の人。次第に水音が近付いてきて川沿いの道になり、14:15 柳避難小屋に到着。なかなか風情のある道だった。
小屋は股ノ沢とマツバ沢の合流点(ここから入川になるらしい)、柳吊橋の袂(たもと)のベンチスペースから階段を上がったところに建っている。土間にストーブが設置され、壁には薪づくり道具セット。スコップ、ツルハシなどは道の整備用だろうか。板の間もきれいで素敵な小屋だ。備え付けのノートを見ると釣り人の利用が多いらしい。小屋の手前で川端に倒壊しているのが(元)トイレで、川にそのまま流す水洗方式だったのだろうか。ベンチスペースから河原に下りると焚火の跡があり、砂地は少々狭いがテント設営に使ったように見える(河原で眠りたくはないが)。必要分の水を担いできたが、帰宅後に参照した記事によると煮沸すれば川水もOKとのこと(https://www.yamareco.com/modules/yamainfo/ptinfo.php?ptid=3462)。誰もいないのを幸い、Tシャツを脱いで川で洗い、濡れタオルで身体を拭う。さっぱりしてベンチに落ち着き、持参のウィスキーを飲みながらしばし読書。予想通り、関東甲信越は梅雨明けとなった。
柳小屋とトイレ
     小屋の外観/倒壊したトイレ
柳小屋内部
     小屋内部
柳小屋付近
     ベンチスペース(ボトルは先人の忘れ物)/ここは荒川源流

■7/17(土)
5時、行動開始。晴れ。
小屋前の柳吊橋はしっかりして見えるのだが、渡り終えた側に「踏み抜き破損の恐れ」と注意書きあり。
柳吊橋
沢沿いに少し行くと左手の荒れた斜面の下部に赤テープがあり、そこから登っていった足跡が認められた。周囲に他に目印は見当たらず、林道入口に掲示のあった崩落箇所はこれか?と取り付いてみる。が、登るにつれ、崩落したにしても昭文社地図の実線ルートとは思えなくなり、岩を落として怪我などしないよう慎重に斜面下に戻った。沢の上流方向を探ると踏み跡があり、辿ってみると傍らに「あらかわ紀行・源流致達記念」の木碑。続いて足元がツルツル滑る真ノ沢吊橋を渡ると、ジグザグに尾根を上がっていく。トラロープの付いている岩場もあったが、登りで掴むほどのことはない。地形図1279m付近に山の神の祠があったはずだが、登りに気を取られて見落とした模様。
ひとしきり登ると1450m等高線に沿ったトラバースだが、踏み跡が薄くなってロストした。斜面を上下しても足跡や赤テープが見つからないので、休憩がてらGPSを確認(先に1450mと書いたのはGPSデータを見てのことで、現場で自位置を常に把握していた訳ではない)。方向を定めて歩き出すと踏み跡に復帰できた。
その先で進路が北向きに代わる箇所はトラロープの付いた岩で、ロープと赤テープが示す(と思われた)通りに岩を上がろうとすると、その先がどうも不安定だ。ならばと岩に沿って回り込んだが、こちらも足を滑らせたら転げ落ちそうだった。崩落した登山道とはここのことかもしれない。
岩の上か?下か?
またトラバースで進んでいき、股ノ沢と並行になる辺りの広場で赤テープを確認した後、再び踏み跡をロスト。どこでも歩けるので何となく道に見える方に進むと、斜面を沢に向かってしまう。実線ルートがあまり沢に近付くとは思えず高い方に修正すると道があった。途中、倒木を跨ぎ越したところにギンリョウソウが一輪。
ギンリョウソウ
赤テープと踏み跡に従って進むと水流の上に出たが、流れに下りる箇所も対岸の道も見当たらない。地図を確認すると確かに渡渉はあるのだが、正しいルートはもっと上流まで行くようだ。戻って明瞭な道を見つけて渡渉。この辺、昭文社地図にも「道標少ない」とある。
8時過ぎ、作業場跡(標高1670mの平坦地)に到着。柳小屋から昭文社地図のコースタイム2.5時間のところに3時間掛かってしまった。この付近は武田信玄の時代から「股ノ沢金山」が開発され、昭和40年初め頃まで採掘者がいたとのこと(http://www.e-zabuton.net/image/yamazato-151.html)。ここはその作業場だったのだろうか。石積みや朽ち果てたドラム缶が見られる。細いながら水流もあるので水も取れたろう。ネット記事によると砕石機のようなものもあるらしいが気づかなかった。ここの指導票もクマに削られている。
作業場跡
あとは迷う個所もない。脱水気味で喉が渇くのでこまめに水分補給しながら栃本分岐を通過、9:40に甲武信ヶ岳からの縦走路に合流。十文字小屋が見えているが、飲み水は残っているので立ち寄らない。

ここからが本山行の目的である十文字峠~甲武信ヶ岳連結、なのだが、栃本分岐までが予想外にワイルドなルートですっかり堪能してしまった。この先は何の困難も無い実線ルートをアップダウンを拾いつつ高度を上げていく。やはり脱水気味なのか足が重いが、まだ使い慣れないストック(十文字峠でザックから出した)が速度のリミッターになっている面もあるようだ。自分は単独ではつい速度が上がって汗をかきバテる傾向があるので、いいことかもしれない。
まず緩く登った後、クサリ付きの岩をよじ登って大山(2225m)。武信白岩山(地形図2288mの手前ピーク)の手前には山頂と巻道とを示す指導票があるが、山頂方面に行くとすぐに大岩に×印がありロープが張られている。昭文社地図にも「山頂は登山禁止」とあるので、素直に巻道に下りた(岩に慣れていれば問題なく登れるとのネット記事を後で見つけた。ロープを潜って行ってみればよかったかも)。またクサリ、ハシゴがあって2288mを過ぎると道にのしかかるような巨岩があり、後ろに回ると岩小舎のようになっている。これが尻岩かと思ったが、実際はその下の鞍部だった。
尻岩ではない岩
尻岩
黙々と高度を上げて、13時、今回の最高点・三宝山(2483.5m)に登頂。ここまですれ違う人、追い越していく人は何人かいたが、山頂は無人。休憩中、背後の樹林で鹿が鳴いていた。広い山頂の草の上にテントを張ったら気持ち良さそうだ(甲武信小屋にテン場があるのだから、緊急避難以外は駄目だが)。
三宝山
三宝山から下りて平坦な道の後、一登りすると甲武信ヶ岳(2475m)山頂。ここは6回目(2003/11、2006/9、2008/62010/62017/11、今回)か。初回を除いて雨だったり日没後だったりと眺望に恵まれなかったが、今回はパノラマ雄大。ただ、富士山は前面に雲が掛かっている(写真の左端)。ベンチに寝転がると日差しが眩しい。
甲武信ヶ岳

甲武信ヶ岳よりパノラマ
一休みして甲武信小屋へ下り、14時過ぎに本日の行動終了。
テント受付(Webから予約済だが、その場で受付票も記入)すると、本日は混雑とのことで場所を指定された。地面がやや斜めだが、一人寝るだけなのでまあよい。テント泊\1000、缶ビール\600(コロナ対策で空缶は持ち帰り)、水は通過者と変わらず1リットル\50。テント下の空きスペースに腰を下ろしてビールを飲んでいると、塩分が欲しいのかアブが何匹も寄ってきて腕を舐める。口吻を当てられると冷たい感じがする。その空きスペースもやがて埋まり、テントに引っ込んだ。

■7/18(日)
5:20 出発、快晴。
本日は下山のみ。朝一番で下りてしまうのは自分くらいかもしれないが、バスや温泉が空いているうちというのも狙いだ。
破風山への巻道から戸渡尾根へ。少し下りた2360m付近が展望地で、今日は富士山も全体が美しく眺められる。
富士山
徳ちゃん新道をどんどん下り、8時前に西沢山荘(閉鎖)近くの登山口に下りた。途中、登ってくる人と多くすれ違ったが、それなりに急な上に単調で眺望も開けないと、登りに使うにはかなりキツいルートだ。
9:35のバスに乗車したのは自分と単独男性の二人。市営のみとみ笛吹の湯で下車したのだが、なんと、コロナ緊急事態宣言あるいはまん延防止等重点措置の出ている首都圏の住民は利用不可と言う。山梨市か県かの対応なのだろう。おもてなしがよくないが、代りに近所の「白龍閣」を案内してくれた。はっきり言って寂れかけた旅館だが、露天風呂は気に入った。笛吹川を見下ろし、滝まで眺められる。湯舟から見上げれば紅葉(もみじ)が覆い被さる。もちろん今は緑だが、紅葉(こうよう)の頃に来れば綺麗だろう。ただし、以上は男湯の話で、女湯のことは分からない。立寄り入浴\500はリーズナブルだ。
市営バスで山梨市駅へ。駅前の店で家への土産に桃を買って普通列車に乗った。

■今回のルート
甲武信ヶ岳ルート 前半

甲武信ヶ岳ルート後半

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