2025/3/1(土)~3/2(日) 八ヶ岳・本沢温泉2025年03月01日 00:00

T橋・M氏との無名山塾自主山行で、通年営業として日本最高所を謳う本沢温泉へ。今回は温泉がメインで、ついでに硫黄岳まで足を伸ばそうという緩い計画。週末は春のような暖かさという予報だが、ヤマテンによると土曜の晴天が日曜には崩れてきそうだ。

■3/1(土)
7時過ぎ、熊谷駅でT橋氏のクルマにピックアップしてもらい、稲子湯手前の林道分岐の駐車スペースに9時半到着。晴れ、ザックに付けた温度計では10℃もある。林道には雪があり、また「崩壊のため諸車通行禁止」の掲示もあって、ここから歩く。
駐車スペース
9:40に出発、林道を辿って本沢温泉入口(標高1600m)まで1時間。ここに2台が駐車していた(途中、「本沢温泉入口まで700m」の立札地点にも数台が駐車できそうなスペースがあったが、地図に駐車場マークは無い)。目指す野天風呂の「日本最高所 2150m」看板がある。550mの登りだ。
本沢入口
一部ツボ足になるものの全体に雪は良く踏まれており、廃車の置かれたゲート(1850m)を通過、北面をトラバースしていったん稜線に上がる。南面のトラバースに入ると、雪の消えている箇所(桟道の前後)もある。しらびそ小屋方面への分岐より手前で樹林の中を上がっていく手すりは登山道のように見えるが何だろう?
南面トラバース
沢を跨ぎキャンプ場を過ぎて、13:20、本沢温泉(2100m)に到着。
本沢温泉
予約した通りに相部屋・夕食付(1万円/人)で受付を済ませ、大部屋の下段隅に入った。スマホは小屋の外と食堂先の廊下で通じた。
荷物を置いて、さっそく野天風呂へ。受付で「靴を履いて行ってください」と言うだけあって、宿から雪を踏んで10分程、標高差50mを登ることになる。夏沢峠へ向かう登山道から分岐し、沢を下に見るトラバースの先に湯船が見えた(下の写真1枚目は湯船側から見た様子)。
野天風呂へのトラバース
野天風呂
先に入っていた男性がちょうど上がったところに到着。周りに散乱する板は湯船の蓋か脱衣場の名残か? 足場用にレジャーシートの1枚もあれば便利だが、持ち合わせが無いので適当に服を脱ぐ。
白濁した湯は熱め(道端の泉質表示看板には40.8℃とあった)。T橋氏が以前に来た時は湯音が低く、極寒の中で湯船から出るに出られず1時間も浸かっていたそうだが、今回は気温も高く、気持ち良いの一言。ビールを買ってくるのだった~!
野天風呂
互いに写真を撮りあったりするうちに男性グループがやって来た。一緒に浸かっていると、男性らと同パーティの女性も二人(うち一人はトラバースで竦(すく)んでいた)現れたので、名残惜しいが譲ることにした。良く温まって、帰り道でも身体がほかほかしていた。
宿の談話室で缶ビール(600円)で乾杯。もう一つの温泉<石楠花の湯>の男性時間帯を待ち、ビールをもう一つ買って浴場へ。熱めとぬるめに仕切られた浴槽の湯のオレンジ色は鉄分だろうか。先に入っていたグループは間もなく上がって、ゆっくりできた。
石楠花の湯
夕食はテーブル毎に煮るおでん。食堂入口に美味しそうな日本酒や焼酎の瓶が並んでいるが、今日飲めるのは4種で、渓流(⇒ 遠藤酒造場)と高天(⇒ 髙天酒造)(グラス各600円)を頼んだ。温泉に到着してからビール2缶、日本酒2杯を飲んでご機嫌となる。
受信したヤマテンによると明日は「雪(標高2,200m付近より下部では朝から雨で、夜には雪線が2,600m付近まで上がる)が降る時間も」。雪ならともかく雨に濡れたのでは堪らない。朝から雨や雪なら即撤退、降っていなければ硫黄岳に向けて行けるだけ行こう。
大部屋はストーブで十分に暖まり、快適に眠れた。

■3/2(日)
5時起床、昨日買っておいた水(各自1L、200円)を談話室で沸かして簡単に朝食。小屋から見える硫黄岳の上部はガスに隠れているが、まだ降る気配はないのでアイゼンを着けて6時半に出発した。
朝の硫黄岳
樹林帯の中、トレースを辿って1時間で夏沢峠(2430m)に到着。ガスが近づき、峠より上の木々は風にゴウゴウと鳴っている。
夏沢峠
並んで建つ山びこ荘ヒュッテ夏沢の間で休憩がてら相談し、今回はここから引き返すことにした。
本沢温泉までに擦れ違った数パーティは何処まで登っただろう。昨日の道を下り、雪の消えた箇所でアイゼンを外す。まだ降り出す様子はなく、どんどん歩いていると暑くなってヤッケを脱いだ。10時前に本沢入口を通過。林道の緩い下りでは路面の雪が融けて流れ、梢の雪か天気雨かが時折落ちてくる。途中、本沢入口に停まっていたクルマが追い抜いて行った。林道に崩壊個所は無かったものの、やはり雪に滑りそうだ。10時半、駐車場所に戻って山行終了。

ものはついでと、クルマで稲子湯に上がってもう一風呂(650円)。泉質は単純二酸化炭素・硫黄冷鉱泉で、浸かると金臭い。湯船に注ぐ処に冷たいまま出ているのを口に含むと微かに炭酸の風味がする。まったくの温泉山行となったが、大いに満足した。
稲子湯
道の駅八千穂高原の食堂は満席だったので土産のみ買い、昼食は佐久まで走ってT橋氏お勧めの麺や天鳳(⇒ 食べログ)にて。美味いラーメンだった。

■今回のルート
本沢温泉ルート

2025/2/23(日)~2/24(月) 鼻曲山、浅間隠山2025年02月23日 00:00

この三連休はT中・H氏とスノーシューでのタカマタギ~平標山を計画していたのだが、大雪予報のためキャンセル。代わりに単独で行ける処を探した。できればスノーシューを使いたかったが好天を条件にすると適地が見つからず、今回は歩き主体で軽井沢方面へ。碓氷峠から鼻曲山へ、足を伸ばして浅間隠山まで行こう。浅間隠山から北の浅間隠温泉郷に抜けられれば良いのだが、そこからのバスは運休。長時間行動になるが、碓氷峠近くまで戻って旧中山道を横川駅まで歩くのも風情があるか・・・ 鼻曲山は1年前に死去したO倉・K氏(⇒ 2024/2/24記事)と1997年に登って以来の再訪になる。

■2/23(日)
横川駅からバスに乗り換え、軽井沢に8:40着。碓氷峠(標高956m)へ移動して身支度し、9:18に出発。昭文社山と高原地図にルート表記は無いが、県境に沿って道が付いている。
碓氷峠
雪は所々に消え残っている程度。今日のテント予定地に十分な雪があるか不明のため2Lほど余分に担いできた水が重い。別荘らしき建物を過ぎると静かだが、見晴台(1210m)まで行くと観光客がいた。
旧碓氷峠の熊野皇大(くまのこうたい)神社(長野側)/熊野神社(群馬側)は日本武尊が弟橘姫(おとたちばなひめ)を偲んで「吾嬬者耶(あづまはや)」と嘆いた地。室町時代中期の作と伝えられる「峠のこまいぬ」がユニークな造形だ。他にも古い鐘や多重塔などあり、参拝、見学して11時。
峠のこまいぬ
未舗装路を少し行き、思婦石(おもふいし、国学者の和歌を刻んだ1857年建立の石碑)から登山道に入る。
足元に雪が出てきて、一ノ字山(1336m)を越えたコルでスパッツ装着。12時半で気温は-4℃だが、アップダウンしながら北上するルートの南側斜面は斑(まだら)雪、北側斜面はある程度積もっている程度。いずれにせよアイゼンの出番はなく、ザックにワカンやスコップを付けているのが場違いだ。擦れ違う人もないが、雪の上に2~3日前らしき足跡が残っている。
一ノ字山
留夫山(とめぶやま、1590.8m)に13:10。ここは一等三角点なのだが、標石は雪に隠れていたのか見落とした。
留夫山
先行者は留夫山から引き返したらしく、ここから雪面は真っ新(まっさら)。鼻曲山の指導標を見て進むと・・・おや、ルートを外したか。右手に下がっている尾根に繋げば良いとトラバース気味に少し下るが、この辺は北側斜面で雪が深く、気温は-12℃。あまり潜らないところを探して作業道らしき平坦面に出て、ルートに復帰した。登山道は雪が薄く、歩きやすい。
1590mピークには指導標があったが、樹に巻いたテープに誘われて左(西)に進むと行き止まり。素直に直進すれば良い。金山(1602mピーク)にかけて南側斜面は明るい冬枯れ木立の笹原だが、北側は雪が深い。鼻曲峠の前後も、霧積温泉へ向かう道を含めて踏跡は無かった。
鼻曲峠
抉れた笹道から急登となり、重いザックに息を切らして鼻曲山の山頂部へ。東端の絶壁から景色を眺め、山頂標の傍らで一服した(15:10)。
鼻曲山
鼻曲山からの眺望
最高点(1655m)は細長い山頂の西寄りのようで、こちらに標石(廃止された三角点?)があった。浅間山が雄大な噴煙を上げているのだが、木間越しなのが惜しい。
山頂下の分岐を右(北)の二度上峠方面へ。こちら側はすっかり踏跡が付いている。鼻曲山北面の急斜面を下るとなだらかになるが、氷妻山(ひづまさん)手前の急坂にいい加減草臥(くたび)れ、氷妻山(1467.5m)には16:20登頂。計画のうちとはいえ、日が傾いてきた。
氷妻山
疲れた上に日没も迫る中、獅子岩(1445mピーク)手前で岩場が現れた。一つを乗り越え、また一つ・・・と頑張るとそこから下りる道が無い。二つ目は左に巻くのが正解だった。獅子岩は標柱を過ぎてから木の根を掴むようにして上がる。山と高原地図に「眺望が素晴らしい」とあるが、特に見どころは無かった(別の展望地があるのかも)。それより先で、夕日を背景にした浅間山が見られた。
夕暮れの浅間山
二度上峠に17:10到着。計画段階では峠の向こうの駒髪山を越えた鞍部での泊を考えていたのだが、疲れたので今日はここまでとする。少し戻り、トラロープで塞がれた作業道の前、落葉の積もった箇所にテントを張った。多少斜めだが独りで寝るには支障ない。水の不足分は、やや汚れの目立つ吹き溜まりの雪で賄った。
二度上峠でテント泊

■2/24(月・祝)
畳んだテントと宿泊具をその場にデポして、5時半前にヘッドランプで出発。15分ほど車道を下って浅間隠山の登山口へ(下の写真は下山時)。
浅間隠山の登山口
概ね歩きやすい登山道で、雪があっても良く踏まれていた。「山肌の保護のためジグザグ道を」と看板があるので、なるべくそのように歩く。うっかりすると滑りそうな斜面もあったが、短区間なのでアイゼンを出すまでもない。7:10、浅間隠山(1756.8m)に登頂。独りで大展望を楽しんだ。
浅間隠山
浅間隠山からの眺望
浅間隠山からの眺望
浅間隠山 方位指示盤
下りで擦れ違った単独男性、夫婦連れ等は登山口付近の駐車スペースに停めてきたのだろう。8:16、登山口に戻った。
二度上峠へと車道を歩きながら考える。計画通り、来たルートを思婦石まで戻り、横川駅へ出るか? 昨日のアップダウンを繰り返すのはウンザリだし、疲れが残っていることも自覚して、今回はこの道をはまゆう山荘へ下りることに決めた。
二度上峠に戻り、最後に駒髪山(1483m)を往復。岩がニュキニョキと生えた山頂に祀られた祠には「紀元二千五百七十一年」(明治44年、1911年)とあった。
駒髪山
ザックに荷物を詰め直し、9:20に下山開始。9km程もある長い舗装路歩きの途中で曇り、一時は小雪となった。足にマメを作りそうになりながら、はまゆう山荘に11時過ぎ到着。
入浴(570円)し、フロントにタクシー会社の電話を教えてもらった。安中榛名駅まで10,400円は予想より高かったが、重量を背負って一日歩くよりマシと思うことにしよう。駅の食事処で峠の釜めし(1400円、本日最後のひとつだった)を食し、新幹線に乗った。

帰宅翌日、一周忌となるO倉・K氏の墓に参り、はまゆう山荘で買ってきた軽井沢の菓子を供えた。

■今回のルート
鼻曲山、浅間隠山ルート

2025/2/14(金) 外秩父七峰縦走2025年02月14日 00:00

トレッキングシューズの履き馴らしを兼ね、毎年恒例の体力チェック。
晴天日を選んだが、気温は低めで午前中はずっと手がかじかんでいた。風は時々やや強く、雪は高いところの日陰に消え残るのみ。
今回は寄り道せずに歩いて9時間47分で、前回前々回から変化無しというところ。
外秩父七峰縦走GPSグラフ
※最初の300m程、GPSトラックを取れていない。直遠距離も四捨五入して42km。

堂平山から、定峰峠~大霧山~二本木峠方面の行く手が見下ろせた。
堂平山

堂平山からの眺望
遠くは、両神山の左に八ヶ岳、右に蓼科山。さらに右に振ると浅間山、本白根山、谷川連峰も見えている。
両神山

堂平山からの眺望

■今回のルート
外秩父七峰縦走ルート

2025/1/19(日) 南郷山~幕山2025年01月19日 00:00

八ッ峰クラブの定例山行。年初なので普段なら見送る単なるハイキングに加わることにしたものの、実際の参加者が担当のT橋・Y氏の他はI田・T氏のみの計3名とは寂しい。しかし、たまには何の緊張もなく歩くのも悪くない。

T橋氏のクルマで鴻巣駅近くの24時間定額の駐車場へ。あとはJR乗換無しで湯河原まで行ってしまうのだから楽なものだ。いわゆる「乗り鉄」のT橋氏が休日おでかけパスを利用する計画を立ててくれたので運賃も安く済む(おでかけパス2720円+パス範囲外の小田原←→湯河原660円)。湯河原駅からタクシーで、立派なご神木のある五郎神社まで。日は射しているが、時折細かな雨粒が顔に感じられる。
五郎神社を10時過ぎに出発、道路を少し進んで南郷山ハイキングコースの指導標で住宅の間のコンクリ道に入る。かなりの急坂で、住んでいる人は結構大変そうだ。道脇がミカンやカボスの果樹園になると、街を見下ろす見晴らし台もある。
見晴らし台
果樹園が途切れ、ゴルフ場横の小径を辿る。笹の間の道から林道に絡み、もう少し登って11:40に南郷山(611.0m)に到着。木の枝にカメラを置いて記念撮影した。
南郷山
山頂から少しだけ戻ると、真鶴半島を見下ろし、伊豆半島方面も見える。
南郷山から見る真鶴半島
南郷山から見る伊豆半島方面
曇りから下り坂の予報に出かけてくる人も少ないのか、ここまでに擦れ違ったのは3人ほど。実際に小雨が落ちてきたが、一時的なもので本降りにはならない。昼食を摂るなどして、30分ほど過ごした。
自鑑水(じかんすい)は山中の池だった。石橋山の合戦に敗れた源頼朝が、鏡に見立てた水面に映るやつれ様に自害を決意したものの思い直して奮起した、自害水とも言う、とか。このハイキングコースの指導標に「鎌倉幕府開運街道」とあるのは、頼朝がここで運を掴んで幕府を開いたという訳か。
自鑑水
良く整備された道を辿って、幕山(626m)に13時。何もない山頂だが、春になれば花見ができるかも。木を切り開いたような一角に真鶴半島が収まっている。
幕山
ジグザグのやや急な道を下ると、梅林に差し掛かった岩場に数組のクライマーがいた。ここが幕岩のゲレンデだったか。ずいぶん高い岩に取り付いているパーティもある。
幕岩
梅にはまだ早いが、道路沿いに一本だけ花をつける気の早い奴もいた。
湯河原梅林
無人販売のミカン(皮が多少傷んでいるが、1袋6個くらいで100円は安い)を買うなどして、鍛冶屋橋BSに14時半。時折の小雨にレインウェアを羽織りはしたものの、どうにか濡れずに山行を終えられた。
次のバスまで1時間もあるのでタクシーを呼ぼうとしたところへ、ちょうど空車が来た。湯河原駅に戻って慌ただしく小田原までの切符を買い、籠原行きに乗車。また乗換無しでのんびり座って帰った。

■今回のルート
南郷山~幕山ルート

2024/12/27(金)~12/29(日) 白峰南嶺(初戦敗退)2024年12月27日 00:00

無名山塾のT中・H氏、S谷・A氏が年末年始に北鎌尾根を計画、そのサブプランが以前にT中氏と二人で敗退した白峰三山(⇒ 2021/12/28~12/30 北岳(敗退))なので、サブになった際には加えてもらう予定でいた。ところがT中氏インフルのため計画全体が白紙に。ならば単独で適当な処を、と考えた。
以前から繋いでみたかった転付(でんつく)峠~大門沢(だいもんざわ)下降点は厳冬期には少々長過ぎるので、今回は奈良田(ならだ)から上がって広河内岳(ひろこうちだけ)~笹山を縦走、奈良田に下りる周回ルートとしよう。2泊3日で一日の行動が10時間超となりそうだが、大門沢下降点までは農鳥岳登山者のトレースを当てにできるだろう。
しかし実際は想像以上に雪が深く、トレースもほぼ皆無。雪山テント泊装備を背負っての一人ラッセル&ルートファインディングで行程が伸びず、大門沢下降点さえも届かずに時間切れ撤退となり、思わぬボッカラッセル訓練に終わった。白峰南嶺は時期を変えて再挑戦することにしよう。

■12/27(金)
あずさ1号から身延線、はやかわ乗合バスと乗り継ぎ、奈良田温泉到着は12:55。予報は晴れだったが、曇って時折小雪が舞う。身支度して13:15に出発。
まだ雪は積もっていない道を1時間で登山道入口に至り、「立派な吊橋」(昭文社山と高原地図、手持ちは2018年版)を渡って堰堤を過ぎる。と、道が分岐し、どちらにも「登山道」の矢印が。上へ行く道は先に見える橋に繋がるようだ。近くの看板には図解入りで、工事のため登山道は川を渡って橋を迂回、とある。地図でも「堰堤から上流は河原を歩く」だ。
分岐
図解に従って河原に下りるが、適当な渡渉箇所がない。上流へ向かったり戻ったりした挙句に危なっかしく流れを跨いで進むと、なるほど手すり付きで急登する迂回路があった。ところがその先で合流した道には、橋へ向かう方に「登山道 奈良田方面」の矢印。橋を渡れるのではないか! 古い道案内は撤去して欲しいものだ。間違った案内のおかげで20分以上ロスした。
「大きな岩」を見る頃に足元が少し白くなってきたが、「ジグザグの急坂注意」の八丁坂は雪ではなく落葉のラッセル。そこを上がると地面が雪に覆われるようになった。雪は徐々に深くなるが、沢沿いの岩がゴロゴロした道ではアイゼンを着けるタイミングがない。そこに木橋や鉄パイプの桟道が現れ、軽くスリルを味わう。
木橋、桟道
それにしても雪の上に人が通った跡が無い。17時を過ぎて薄暗くなり、ヘッドランプを点灯。赤テープが見えず、ルートが判りづらい。もう大門沢小屋のはずだが道は何処だ・・・と思ったら、小屋へ上がる道を示す赤テープを見落としていた。
17:40、大門沢小屋に到着。避難小屋には誰も入っていなかった。当然テントを張っている人もいないが、水はテント場の隅に出ている。小屋内の「お気持ち」の料金箱に1000円入れて、細かく区切られたスペースを一つ使わせてもらう。
大門沢小屋
20時半頃、小用(外トイレの個室は床に穴が切ってあるだけのワイルドさ。男子小用のアサガオが別に一つある)に出ると、一部に雲はあるものの星が見えた。小屋内は-3℃。夜中、周囲でカサカサパタパタと物音がするのをライトで照らすとネズミだ。

■12/28(土)
ネズミは糞を残していった。小屋内が飲食禁止とされているのは、ネズミ対策か?
昨日はここまでスパッツさえ着けずに来てしまったが、今日はオーバーズボンにスパッツ、アイゼン装着の上で5:40に出発。雪、-6℃。しかし、ヘッドランプの視野内で道と思えるところを行くと行き詰ってしまう。行きつ戻りつしてようやく進路が定まる頃には明るくなった。30分ほどもロスしたか、夜明けを待って出発した方が良かった。
その後もノートレースで次第に深くなる雪の中、時々ルートファインディングで行き悩む。沢を渡って高度を上げて行き、標高2000mを越えると雪も深まり、膝辺りまでくる。しかし、サラサラとした雪の下にしばしば岩が隠れており、ワカンに替えたところで潜るのは同じだし、岩を踏む際にはアイゼンの方が適している(ワカンは今回、ザックに付けたままで終わった)。
深まる雪
2000m地点で既に8時半。このペースで計画通りに縦走しようとすれば稜線上での泊りとなり、明日の下山もおそらく無理。ガスを1缶しか持っていないので山中3泊は厳しい上に、下山遅れを連絡できる保証もない。今日は12時まで行動して大門沢小屋に引き返すことにしよう。
そう決めて雪を掻き分けていくうち、左足が斜めの岩をガッと踏んでアイゼンがずれた。次の休憩時に締め直そうと、もう少し頑張って9:40、2140m。腰を下ろしてみると左アイゼンが無い!?「ハイィ?」と声が出た。雪の上に足が出ない状態で雪を踏んでいる限りでは、アイゼンの感触は判らないのだ。何処に埋まっているか知れないアイゼンを探すためザックを担いで下り始めると、幸いなことにすぐ数メートルの地点で見つかった。やれやれ。
気を取り直して標高を上げ、2250m辺りからいよいよ大門沢下降点へ向けての急登。ますます雪が深まり、場所によって腿まで、さらに斜面に直面すれば腰まで潜る。赤テープの乏しい区間もあって、上がるのか?トラバースするのか?と見極めながら悪戦苦闘。12時となり、到達高度2420m。
時間切れ到達地点
ここまでの行程で自分以外の足跡は、道が明瞭でラッセルも不要な区間に一部だけ、昨日か一昨日と思われるものが見られただけだった。その人はラッセルになる前に引き返したのか、ラッセルしたのだが降雪や風で消えてしまったのか。
登りに6時間以上かけたので下り4時間と想定したのだが、あっさりと14:45、小屋に戻った。やはり無人の小屋の、昨日と同じスペースに収まって、また協力金を1000円入れる。夕方になると窓の外に青空が見えた。

■12/29(日)
奈良田まで地図のコースタイムで3.5時間、小屋前の案内プレートで3時間。9時50分のバスに間に合わせるべく、6時に出発。好い天気だ。
夜明けの富士山と月
自分の足跡を辿るだけと思ったのだが、昨日の降雪で消えている部分もあり、小屋から沢に下りて丸太橋と思ったのがただの倒木だったり、巨大な三角岩の近くで左岸から右岸に渡る橋を見落として行き詰ったりなど。八丁坂を下りて雪がすっかり薄くなったところでアイゼンを外した。安全地帯まで下りて今回初めて人(夫婦らしい二人)と擦れ違い、その後バス停までに単独男性、男性二人パーティと続く。皆さん年末年始登山は天気を見て今日からですか。
9時40分にバス停に到着、ピッケル、シャベル等を慌ただしくバッグに収めて乗車。途中、地元のお年寄りや七面山登山口で登山者を拾い、下部温泉駅へ。ニュー梅月で土産に下部まんじゅうを買ったら、身延町商工会のキャンペーン「みのぶをゆるっと巡ろう!」で「ゆるキャン△」マグネットをくれた。線路反対側のヘルシースパサンロードしもべの湯で忙しく入浴し、さっぱりしてからワンマン電車に乗った。

■今回のルート
奈良田~大門沢ルート

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