2006/4/4(火) 「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」2006年04月04日 20:30

ウォレスとグルミット公式 ⇒ https://www.aardman-jp.com/W_G/films/index.html

池袋シネマサンシャインにて。20:30からの字幕版はほとんど客がいない。アカデミー賞(長編アニメーション部門)受賞作といってもこんなものか?

たぶん日本に初めて紹介された時から大好きなシリーズの新作。
今作も楽しめたが、人気が出て大作化するとともに、以前の、ニック・パーク自身が楽しんで作っている感じがなくなってしまったのは残念。
例えば、「チーズ・ホリデー」のロケット発進シーン(見物してるネズミたちがいっせいにサングラスをかける)、「ペンギンに気をつけろ!」のレールを敷きながら走るスピード感、「危機一髪!」の羊の集団演技の可笑しさ、過去の作品への言及(音楽からしてそれっぽい出動シーンには思わず吹いた)などなど、フィルムの後ろ側に監督の笑い顔が見えるように思ったものだ。

過去作品を匂わすという点では、今作にもラジオから「ウォーターシップダウンのウサギたち」の主題曲「ブライト・アイズ」が流れる、というのがあった。
そもそも「The Curse of the Were-Rabbit」って原題がもう古い怪奇映画のノリだ。
技法的にも安易にCGなどに頼らずクレイアニメしていて、観ていて安心。でもやっぱり監督の個性は薄まった気がする。

ところで、「トリビアの泉」だったかで<プレーリードッグを吸い込んで捕獲するマシン>が紹介されてたけど、今回のウォレスの発明品は正しくそれ。マンガみたいな機械を実際に作ってしまうんだものなぁ。もう一つの発明品、ココロ・コントローラーはレトロなSFに出てきそう。これを実現しようとするのは阿呆な宗教団体くらいなものだろうが。

ウォレスとグロミット(発音からも綴りからもグロミットの方がいい)のコンビの活躍、これからも見せて欲しい。長編でなくていいから。

2006/4/8(土)~4/9(日) 谷川岳サバイバル&雪上訓練2006年04月08日 00:00

無名山塾の講習にて、2日連続で残雪期のサバイバルと雪上訓練。

■4/8(土)
土合駅に集合。本科生(無名山塾で登山技術を学ぶ)8名に対してCU(Communication Up、自身の訓練とサポート役を兼ねる)が12名、講師1名と岩崎主催を合わせて22名の大所帯。
簡単な自己紹介の後、10:30過ぎに出発、1時間ほど歩いて一ノ倉沢出会付近へ。

大人数なので、埋没体験とビーコン捜索の2班に分かれる。自分はまず埋没体験。雪崩に遭った場合の心構えと捜索の練習だ。雪に穴を掘って一人ずつ埋められる。雪がこんなに重いとは。何十センチも埋まる訳ではないのに胸がつかえて十分に息を吸えない。頭の周囲に空間を取ってあるからいいが、実際に雪崩に埋まったら窒息するのもよく分かる。穴の外ではスカッフ&コール。雪を掻いて(スカッフ)「おーい」と呼ぶ(コール)。埋まっていても外の音はよく聞こえるのだが、中で声を上げても外にはそれほど聞こえない。それを雪面に耳を寄せて聞き取る訓練。ある程度場所を絞った(と想定した)らゾンデ棒を使ってみる。埋まっているとつつかれる感触。
真面目な訓練をこう言っては何だが、結構楽しい。しかし、閉所恐怖で埋められた途端にダメな人もいる。
他に、掘り出した埋没者をツェルトとスリングの担架で搬送したり、雪の柱を作って滑り面を見つける弱層テストなど。

ビーコン班は基本的な説明を受けた後でさらに2班に分かれ、一方が埋めたビーコンをもう一方が探す。雪崩に埋まった場合、15分以内に救出しないと生存率が急激に低くなる、そのうち捜索に使えるのは5分と言うが、探してみるとなかなか見つからない。この辺が反応が強いと思っても、その先がはっきりしない。結局ギブアップとなったが、ずいぶん深く埋めてあったのだった。浅ければ方向を簡単に絞り込めるのだが、深くなると難しいものだ。もちろん実際の雪崩では深く埋まってしまうことも多いだろう。雪崩は怖い。
次はビーコンを隠す側。M講師の発案で、ゾンデ棒で探せるようザックカバーを雪で膨らませた中にビーコンを入れて埋める。捜索班は場所を絞ってゾンデでつつくが探し当てられず、やはり時間切れとなった。それを掘り出してみたらザックカバー穴だらけ。持ち主を含めて笑ってしまう。「お前が提供したのは金のザックカバーか銀のザックカバーか、それともこの普通のザックカバーか」。訓練内容は真面目だけれど、やっぱり楽しいんだよね。

曇り空で時々雪が降り出すかと思えば薄日が差したりもするなか、14:30まで訓練。帰り道、湯檜曽川の対岸では泥混じりの雪崩が起きていた。
土合駅で各自反省の一言と岩崎主催のお話。「講習ばかりでなく、自分で登って登山力をつけましょう」。
これで一応解散だが、明日の訓練に引き続き参加する人はステーションビバーグ(岩崎主催は遠足倶楽部のほうで土合山の家泊)。すると当然、自家用車組が水上まで買い出しに行って車座で宴会となる。持ち込みの酒も出回ってそれなりの量があったと思うが、陽気になっても乱れることがないのは山ヤの矜持か山塾の体質か。

■4/9(日)
4時起床、5:30出発。本日は講習生7名は岩崎主催担当で基礎訓練、その他の研究生らは別の研修メニュー。ただ、CUから2名が講習班に付いてくれた。
昨日と同じルートを辿る途中、ブロック雪崩で道が埋まっていた。岩崎主催「こんなのに当たったらイチコロです」。
昨日より手前に適当な斜面を見つけて歩行訓練から。雪上訓練には何回か出ているが、斜面での方向転換時にピッケルで確保するとか忘れていた。次に斜面を踏み固めて滑落停止の練習。アイゼンなし、アイゼン装着、ザックを担いでと、ずいぶん回数を滑ったが、なかなか思うような形にならない。主催からは「元気がよすぎるから」と言われた。正しい尻セードまで教えてくれたが、主催曰く「楽しむためではありません」。でも手本に滑って見せるのはやっぱり楽しそう。
登山道のすぐ上で訓練しているので、スキーやスノーシューで結構人が通る。犬を連れて過ぎた人は間もなく戻ってきた。散歩かいな。

みっちりやった印象だが、12時前に土合に戻る。列車で水上へ出ていつもの蕎麦・くぼ田へ。やがて研修班も合流してお疲れさま。

2006/4/13(木) 「立喰師列伝」2006年04月13日 20:30


少しだけ残業した後、渋谷シネクイントへ。
20:30の最終回となると場内は空いているが、前にいた奴が上映中に長いこと携帯を見ていやがった。眩しいじゃねーか。映画を見る気がないなら出て行けバカヤロー。

「SFマガジン」の紹介記事でスーパーライヴメーションという手法は承知していたが、実際に見ると驚く。これで2時間やるの?と思ったのだが、すぐに慣れた。実写をパタパタアニメ風にデフォルメした表現は、食い物を軸に虚実ない交ぜの戦後史を語るのに適しているやもしれぬ。

SFMに友成純一も書いていることだが、ナレーション(山寺宏一)の情報量が凄い。最初こそ理解しようとしていたのだが、難解な言い回しが出てきて意味を取りかねているうちに置き去りに。後はもう理解は後回し、ただただ運ばれていくばかりだ。「うる星やつら」のメガネ(千葉繁)の語りを思い出したが、あそこまでテンションは高くない。

押井守の術中にはまり込んで運ばれていく中での印象。
・「立喰」は押井作品の通奏低音だった。「うる星」ではケツネコロッケのお銀が語られていたと思う。「パトレイバー」初期OVAにも「立ち食いのプロみたいな勢いで」蕎麦を食うって台詞があり、「紅い眼鏡」シリーズにも印象深い「食う」場面があった。そう言えば「マッハ軒」は地下に面堂家のハリヤーを格納しているのだったな。
・東京タワーに繭を作ったモスラにマーカライトファープを浴びせたり、ウルトラマンの勇姿がダイコンフィルムだったりと捻った特撮映像の引用。ここでもマニア以外は置き去り。
立喰師としてアニメ関係者を出演させ、それを語らせるのに山田正紀を実名で出す、その他SF作家の顔出し、とまあ好き勝手やってる。
・通奏低音が主役に躍り出たのが本作ならば、これこそが押井守の集大成か。押井には一般受けする明るい作品と観客を選ぶ暗めの作品の系統があり、本作も後者に連なるものだが、後者のみの決算に留まるものではない。

まず、あのナレーションを解きほぐすまで観ないと理解できんわ、この作品は。世界の押井の作だからビデオ化はされるだろうが、売れそうにないなぁ。

2006/4/15(土) 岩登り講習2006年04月15日 00:00

飯能市の日和田山にて無名山塾の講習。
岩登り講習は昨年4月に受けたきりで、まるで忘れている。
前回は遠足倶楽部のメニューで受講生が3人だけだったが、今回は本科生8人、研修1人、CU6人。CUの中には自分達のアイゼントレーニング(これから穂高に行くためアイゼン装着で岩場を上り下りする練習)のために来ている人もいるのだが、講習を手伝ってくれる。

自分と本科に入ったばかりの1名は基礎的な内容で、他の本科生はリードクライミング(本人が最初に登り、支点を取っていく。もちろん練習なのでトップロープ=岩の上の支点から下げたロープ を付ける)や支点作りなど。

基礎編はまず基本的なロープワーク。1年前にやったことを思い出す。その後、トップロープで男岩を登ってロワーダウン(ビレイヤーの繰り出すロープに体重を預けて下降)。女岩に移って懸垂下降(自分でロープを押さえて下降)したりクライムダウン(手足で岩を掴んで下降)したり。
懸垂下降で一度、エイト環を逆向きにつけたまま降りようとしてしまった。ロープが全然滑らないので大事なかったが、やはり動作の意味を理解した上で身体が覚えるくらいに練習しておかないと、何かに気をとられた時に手順が抜けてしまう。
クライムダウンでは次の手掛かり足掛かりが見つからず、岩を掴んだ指が抜けそうにもなった(トップロープで確保しているので危険はない)。登りより下りの方が数段難しい。

この講習に備えて岩登り用の靴を買ったのだが、今日のところは使用せず。実際に岩登りの技術を使うのは縦走中の岩場になるから、登山靴で登るのが本来ではある。

8:05に高麗駅集合で17時まで岩場にいた。寒の戻りで日陰にいると寒いが岩の上では陽が当たって暖か。

講習終了後、巾着田に移動。明日の講習を受ける人も集まって川原にテントを張り、焚火を囲んで飲み会。メインディッシュは本科生K山・N氏用意の猪鍋で、酒が各自持参のもの買出ししたものと盛り沢山。飲兵衛が多い無名山塾だが飲みきれなかった。
焚火は心を惹きつける。最後まで残って話をしていて就寝3時頃。
焚火宴会
   中央こちら向きがK山氏、料理は山塾同人M谷・Y氏のダッチオーブン

朝は6時過ぎに起床し、適当に朝食。自分の分は用意していたが、K山氏が米を炊き味噌汁を作ったので、味噌汁だけもらった。
本日の講習を受ける遠足倶楽部メンバの女性は二日酔いでボーっとしていた。頑張ってくれ。

2006/4/16(日) 『銀河ヒッチハイクガイド』2006年04月16日 00:00

小説2作を読み終えた。
以前から評判を聞いていた作品だが、映画(ロードショウ)→TVシリーズ(DVD)→ノベライズ(河出文庫)と、発表と逆の順序になった(そもそもの最初はBBCのラジオドラマ)。

アメリカとイギリスの世界観の違いとして、『トンデモ本? 違う、SFだ! RETURNS』(山本弘)が引いているが、まったくその通り。アメリカ映画では最後に地球が再始動されるが、余計なことであろう。やはりイギリス流のユーモアはハリウッドには受け入れられないのだな。
もちろん自分はイギリス版を支持する。

小説とTVシリーズの中ではマーヴィンがお気に入り。警察船のコンピュータと接続して宇宙観を語ったら自殺してしまった(小説『宇宙の果てのレストラン』)、というのが傑作。
小説はすべて翻訳が出るそうだ。映画化のおかげだが、あの映画、それほど当たらなかったのでは。
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