2023/6/17(土)~6/19(月) 女峰山~山王帽子山2023年06月17日 00:00

日光エリアは一昨年に男体山(https://marukoba.asablo.jp/blog/2021/05/22/9395285)、女峰山(https://marukoba.asablo.jp/blog/2021/06/16/9396747)をそれぞれに登っている。今回はそのルートを接続した上に、太郎山(たろうさん)を踏んで日光三山を完成する計画。なお、男体山、女峰山の長男が太郎山で、大真名子山、小真名子山もまた愛子(まなご)なのだとか。以前の男体山、女峰山は天気に恵まれなかったが、今回は梅雨の晴れ間を選び、眺望を楽しむことができた。

■6/17(土)
東武日光駅から田母沢御用邸記念公園までバスを利用し、8:50に歩き始め。男体山の時に下山に使った道で、今回はまず女峰山に上がる。
寂光滝は前回も見物したが、一休みして9時半。
寂光滝
落葉の積もったやや急な坂を上がり、傾斜が緩むと延々と笹原になる。地味な登り続けに大汗をかいた。笹が濃い箇所で一度踏み跡を外したが、木に付いたプレート(栃木の山でお馴染みの黄と赤の四角が色褪せている)やテープでルートはすぐに分かる。裏見滝との分岐で裏見滝側を刈り払いしてきた人たちが休憩しており、その中の小父さんから頂戴した冷えたリンゴ一切れが美味しい。また暫く上がると刈り払い別隊に会って、その先は歩きやすくなった。ありがとうございます。
モッコ平を過ぎ抉れた沢状を跨ぐと、笹原に風が抜けて汗が引いた。樹木の間に大真名子山や男体山が見えてくる。荒沢出合を前に、前回と同じ石仏地点で休憩。
石仏
荒沢出合から女峰山の冷水までは初めてのルートだ。最初のうち道は谷の傍らに付いており、がっちりした砂防対策を眺めながら上がる。
砂防工事
木漏れ日で直射日光にさらされないのが救いだが、登りはなかなかに厳しい。シャクナゲが出てくるが、花はもう終わっていた。水音がしてきてガレた沢を横切ると女峰山の冷水。手持ちのプラティパスとペットボトル計5L以上(行動用2日分+炊事1泊分+予備)に目いっぱい汲み、顔を洗う。
昭文社山と高原地図によると唐沢避難小屋から水場は往復20分なのだが、最大限の水を加えての登りは滅法キツい。片道で20分近くかかって、13:50に唐沢避難小屋到着。
ここから女峰山~大真名子山を経て志津小屋までは6~7時間の見込み。調子が良ければ多少遅くはなるものの一日で踏破できるのではと考えていたが、暑くて疲れてもう嫌になった。コンパスで提出しておいた無理の無い計画通り、今日はここに泊まる。
到着時に小屋は無人だったが、追々に入ってきて宿泊者は7~8人。小屋の前のコンクリートに携帯電話のアンテナの絵が描いてあり、試してみると電波が入った(docomoのahamo。auの人は繋がらないと言っていた)。
唐沢避難小屋
テーブルでお茶など飲んでいると、トレラン風の白人大男が入ってきて「水を分けてもらえませんか?」 自分は汲んできたペットボトルを傍らに置いており水には余裕があったので差し出すと、ゴクゴクと飲んでから「これもらえますか?」 計算してみるとボトル1本無くても明日明後日の行動には足りるのでそのまま進呈すると、手を合わせて去って行った。日本の山に良い印象を持ってくれただろうか。

■6/18(日)
早い人は3時前に起床して食事を始めた。自分は今日の行程は短いのでノンビリと思っていたが、周囲が騒がしくなったので4時に起床。朝食を済ませて空いたプラティパスとペットボトルを持って水場へ下り、戻ると小屋は空になっていた。5時半出発。女峰山頂から下りてきた人は霧降高原から入ってキスゲ平でテント泊とのこと。
小屋近くは樹林だが、やがてガレて、明大ワンダーフォーゲルの追悼碑を見ると間もなく、6:10に木の祠のある山頂(2483m)に到着。風が少々強く肌寒いくらいだが、気分は良い。前回はガスでほとんど何も見えなかったが、今回は360度の展望が思いのままだ。パノラマ写真は左から、男体山、大真名子山、小真名子山、太郎山、帝釈山。小真名子山と太郎山の間に遠く高いのは白根山。
女峰山
女峰山よりパノラマ
山頂からの下りは岩がちの急斜面で、独りで転げると洒落にならないので慎重に。帝釈山との間の小ピークもクサリ付きの岩で、「専女山」の山頂標が立っていた。
専女山
この狭い尾根道は「馬の背渡り」と呼ばれ、「日光三嶮」の一つらしい(Wikipedia⇒https://ja.wikipedia.org/wiki/日光表連山)。
帝釈山(2455m)を踏み、樹林の道を富士見峠(2036m)に下りて7:50。
小真名子山の登りはキツい。最初に見上げるガレ場を登り切って樹林に入っても、まだまだ急傾斜が続く。
小真名子山の登り
ようやく登り切った山頂(2323.1m)には電波反射板が設置されている。山頂は平らかで、三角点標石の先に山頂標と石祠があった。
小真名子山
樹林の急傾斜を下り、鞍部の鷹の巣(2110m)から大真名子山への登りに掛かる。倒木や転がった岩で道は少々荒れた印象だが、小真名子山よりは楽だ。山頂手前の尾根が痩せた箇所で唐沢小屋を先に出た二人組に追いついた。平坦になった道がまた登りになり、大岩があると思うと大真名子山の山頂(2375.6m)で、時刻は10:10。木の祠が地図にある御嶽神社なのか、岩の上に御嶽教の神像もある。三角点標石は細長い山頂部の木に覆われた突端にあるようで確認できなかった。
大真名子山
大真名子山
振り返れば帝釈山から女峰山、その先に前回登った霧降高原からの尾根、今回荒沢出合から辿って来たルートも見える。
女峰山を振り返る
この山頂ではスマホが通じた(電波反射板のある小真名子山も同様と思うが未確認)。
山頂から下りにかかるとすぐに「千鳥返し」のハシゴ&クサリ場。上り下り用なのか左右2ルート設置されている。ハシゴは素直に降りれば良い。岩にクサリが掛かっている箇所はそれに頼らざるを得ないが、よく見れば足場があるので、クサリに身体を預けるほどのことはない。ここも「日光三嶮」の一つ。
千鳥返し
安全地点まで下りると、男体山の雄大な景色を拝める。三笠山神は見落として通過してしまった。
男体山
あとは淡々と下りる。途中で出会ったトレラン風の5~6人組はどこまで行くのだろう。一度、倒木を跨いだところから踏み跡が薄くかつトラバースになったので作業道と気づいて引き返した。
その下で「八海山神像」の道標が道の右(西)側を指すように見えたので、3基の大きな霊神碑の方を探してみたが空振り。そこに立っている不動明王のようなのが八海山神だった。
八海山神像
笹原から志津乗越に出て、志津避難小屋に11:50到着。
志津避難小屋
ちょうど男体山から下りてきたらしい若い単独男性と「水場の溜まり水はちょっと飲めない」などと話し、小屋裏手の洗場にはチョロチョロ流れていると教えてあげると、彼は持っていた少し濁った水を捨てて入れ替えていた。その水が「冷たくて美味しい」と言うが、自分は唐沢から十分に担いできたので味見は止めておく。実のところ、自分は最初洗場のことを水場と勘違いしていた一方、彼は洗場に気づいていなかったのだった(水場は小屋の前の斜め屋根の下。写真の丸い蓋を取ると、数cm溜まっていた)。
水場と洗場
小屋に入ると、彼が「お酒は飲みますか?」とザックから四合ビン2本を出して試飲させてくれた。純米吟醸「日光誉」(蔵元の商品ページ⇒http://www.watanabesahei.co.jp/publics/index/10/)が美味。彼は出発して行き、その後も小屋を覗いていく人はいたものの、泊まったのは自分一人だった。
夜中2時半頃か、小屋の戸を開ける音に目を覚ますと一人が出て行くところ。ヘッドランプで周囲をあちらこちらと照らしているので水場でも探しているのかと窓から声をかけると、「鈴を落としてしまって」と若い男性の声が返事。熊鈴なら先刻から遠慮がちに鳴っていたが・・・ 夜中に男体山を越えるのだろうか。

■6/19(月)
5時に出発。大真名子山の山麓を廻るように林道を歩き、太郎山の登山口(地図の「林道出合」)に5:50。
このルートのシャクナゲも萎(しお)れた花が残っている程度だが、高度を上げると足元にイワカガミがぼちぼち咲いていた。
2000m辺りから傾斜が増し、ロープの下がった箇所も現れる。横切るガレ場が新薙で、これで「日光三嶮」を制覇だ。
新薙
山頂直下、地形図に「花畑」と記された湿地は、昭文社地図では「花は期待できない」。地図の付属冊子によると「太郎山の火口原で、かつては湿原があったと考えられていますが、現在はササ原へと遷移してお花もわずかに咲くだけ」。雨の流路となるのだろう剥き出しの地面には鹿の足跡が付いていた。
花畑
花畑を渡り、岩陰に石仏を祀った大岩の間を抜けて一登りすると、山王峠への道を分けて山頂への指導標が立っている。「ハガタテ 光徳」ともあるが、ハガタテ薙は崩落・落石の危険のため通行止めで、地図や地形図にも道の記載は無い。
ハガタテ薙分岐
8時、太郎山(2367.7m)に登頂。石祠が新旧二つに、苔むした三角点標石。女峰山から小真名子山、大真名子山、男体山まで眺められるが、雲が湧いてきた。
太郎山
太郎山からの眺望
山王峠への分岐に戻り、痩せ尾根を進む。片側が崩落している細道があり、小太郎山(西峰、2328m)へは岩場の登り。ここには御料局の三角点標石が残っていた。
小太郎山
あとは多少荒れた箇所はあるものの易しい道になり、風が通って涼しい1919m鞍部で休憩。
山王帽子山までの登りは中間に平坦部を挟んだ笹道でどうということはない。大きな倒木を乗り越えたところから下っているので「?」となったのは、その倒木を避ける別の道が付いているのだった。
山王帽子山(2077m)に10時登頂。白根山が大きく見えてきた。小太郎山からここまで、平日というのに単独から夫婦連れ、5~6人パーティまで10人程度とすれ違ったので、意外と人気のコースらしい。
山王帽子山
山王帽子山を40分で下って車道に出、右(北西)に少し進むと遊歩道へ繋がる道があった(道路標識に赤テープが付いているだけで道標は無い)。遊歩道は階段の段差が大きく歩きづらい箇所もあるが、樹林の中で気持ち良い。オトシブミの揺籠(森と水の郷あきた/昆虫シリーズ⇒http://www.forest-akita.jp/data/konchu/42-otosibumi/otosi.html)がたくさん落ちている場所もあった。
オトシブミの揺籃
遊歩道を2km強歩き、11時半に光徳着。日光アストリアホテルで食事と入浴をして、バスに乗った。

■今回のルート
女峰山~山王帽子山(1日目)
         ↑ 1日目
女峰山~山王帽子山ルート(2~3日目)
         ↑ 2~3日目

■日光三山完成ルート
日光三山完成ルート

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