2012/11/4(日) 妙義山・金鶏山2012年11月04日 00:00

無名山塾の自主山行。 S木・Y氏(女性)の企画に自分とS木・T氏が参加。
短いルートだが妙義の岩登りに加えてルートファインディングも必要で、一日楽しめた。

■11/3(土)
夜10時に松井田駅に集合、T氏の車で県道196号の見晴らし駐車場へ。ワインディングを楽しむらしい車がいたが、やがて静かになった。よく晴れて街の灯がきれいに見える。テント内で持ち寄った酒を飲んでいるといつの間にか1時過ぎ。

■11/4(日)
5時起床、6時過ぎに出発。晴れ。
車道を200mほど行くと金鶏山への取付きとなる階段。金鶏山が一般に登られていたのは40~50年前のことらしい。現在は車道への落石防止のため登山禁止となり、階段にも「岩が脆く大変危険ですから入山をご遠慮ください」との札が立っている。とは言え、条例等によるものではないので、リスクを認識した上で踏み込む。
最初は樹林の急登。妙義独特の礫を埋め込んだ大岩(凝灰角礫岩【ぎょうかいかくれきがん】?)の上に首の落ちた神官の像が建っている。裏から見ると埴輪みたいだ。
稜線は岩場になるので、その手前でハーネスとヘルメットを装着。
そこから上がると足元がトヨ状になり、さらに幅が狭まって急傾斜となる。溝の中を攀じ登る感じで、どうしてこんな地形になるのか不思議。
トヨ状
溝を進めなくなって左側に出ると、こんな斜面に神像を線刻した石碑が建っている。風雨に晒され一部は消えかけているが、荼枳尼天(だきにてん)らしい。振り返ると、テントを張った駐車場が遥か下に見える。ホールド、スタンスの豊富な岩質なので難しくはない(ただし、体重を乗せても欠けないか要チェック!)が、高度感があり、まだ経験の浅いT氏もいるのでロープを出した。
登りきると今度は五体満足な神官像があり、岩の上に石碑が二つ建つ金鶏山山頂(856.1m)に8時。石碑のひとつに「御嶽神社」とあるから、神官像も御嶽講のものだろうか。
金鶏山山頂

山頂を後にして平らな尾根を進むとまた石碑。その先、地形図で等高線が丸く閉じている箇所は金洞山~白雲山の眺望が良い。
金洞山~白雲山
快晴の空の下、しばし眺望を楽しみ、さて行こうかと思うと下る道がない。少し探ったが、地形図の崖マークの間を行くルートに従って西に下りる道が見つかった。
次の閉じた等高線の手前はキレットになっている。金鶏山側の樹幹に古い大振りなクサリが食い込んでいるが、それは当てにせずロープをかけ懸垂で鞍部に下降。向かいの岩にも古いロープが下がっている。事前にネットで読んだ記録には北側斜面を回り込むとあったのでそちら(右手)を探ってみるが行けそうになく、結局は下がったロープに素直に従うのが正解だった。ここも自分たちのロープを使ったが、ほとんど確保は出来ない。自分はラストで古いのと自分たちのと2本を掴んでゴボウで登った。その先をトラバースし、トラロープの下がった斜面を上がると割れた石碑がある。ネット記録の「北側斜面を回り込む」というのはここのことだったようだ。
次は少々悪い下り斜面にトラロープが張ってある。先頭のY氏はトラロープに過度の加重を加えないようにして伝い下りたが、見ているとロープを支える樹が頼りなく、あとの二人は自分たちのロープを使った。その先のトラバースは続くトラロープにカラビナを掛けて通過。辿る踏み跡は時折不鮮明になり、いつの間にか見失う。登りに掛かって?となり、少し戻ってみると樹幹に薄れた赤ペンキの矢印を発見。
矢印に従って樹林を進むと行く手にスラブが現れる。のっぺりした急傾斜で、「斜度45度以上はありそう」というネット上の記録は誇張ではなかった。昔はおそらく足を置ける段があったのだろうが、歩く人がいなくなり風雨に削られてしまったのか。それはともかく、樹林との堺に沿って少し下りたところがいくらかトラバースしやすそうだ。30mロープを2本繋いでY氏が懸垂下降し、そのままトラバース。あとの二人は懸垂の後、ロープにカラビナを掛けて横断。難所を越えてやれやれと思って行くと、すぐに次のスラブがある。先ほどより短いがこれも足元が悪く、ロープを出した。どちらのスラブもフリクションの利く岩質で足を滑らせることはないがバランスが難しく、ロープは必須。以前はトラロープが張ってあったのだろうが、今は切れ端が残るのみだ。スラブ通過に1時間近くも費やしたろうか。
スラブの通過
安心できる踏み跡に戻ると、樹幹にまだ新しそうなスリングとカラビナが残置されていた。捨てスリングを使うようなところではなく、残しておいても無駄なので頂戴する。その後しばらく、踏み後を辿ったり、見失ってルートを探したりするが特に困難はない。下界から能天気なハワイアン風な曲が聞こえてくるのは妙義青少年自然の家か?

筆頭岩の方向に進んでいくと岩場にぶつかる。記録では左に折れて岩峰の鞍部を乗越すとのことだが、またもやルートがはっきりしない。3人それぞれルートを探るが、(1)岩場をそのまま進んで尾根に沿っていくこともできそうだし、(2)少し左に行ってから改めて岩を回り込んでいきそうな踏み跡(に見えなくもない線)もある。Y氏は(3)左に折れて下りながら岩を観察している。結果、(1)は登り詰めたら断崖絶壁。筆頭岩が眼前なのに下りられない。(2)は回りこんだ先が岩の崖で、そこをトラバースするのは困難。結局(3)で岩に沿って車道が見えるところまで下り、岩の先端を回ることとなった。岩山に沿って下っていると思っていると、末端は屏風のように薄い岩が立っており、ステゴザウルスの背中の板のような感じ。そこを回って樹林を登り返していると、岩からロープが垂れている。これが記録にあった乗越点なのだが、反対側に目印があったかどうか。もしかすると、(2)で無理と思ったトラバースだったのかもしれない。ようやく尾根に復帰したところで休憩。下の地図は金鶏山~筆頭岩のGPSトラック。衛星の捕捉具合で大きくブレている部分もあるが、迷走振りに注目。
筆頭岩のルート探索

そこから筆頭岩の南壁基部はすぐ。ここは古くからのゲレンデだそうで、赤く錆びたボルトやハーケンを見ながら南へ回っていくと南稜への取付きがある。30mロープをダブルで使うことにし、自分とY氏が交代で先を行く。この面は岩質が硬く安定しており、ブロックを積んだような印象で適度にホールド、スタンスがある。上部には古くて信頼度の知れないクサリが付いているが、ほとんど使わずに済んだ(自分は適当なホールドが見つからなかった際にちょっと掴んで身体を持ち上げた)。この長さのロープを使う人が多いのか適当にピッチを切ることができる。途中、幅40~50cmで両側がスッパリ切れている箇所があるが、今日は乾いていて風もないので問題ない。良好なステップに20cmほどの石が乗っていたのが登りで落石しそうな唯一の箇所で、もちろん3人とも落とさずに登りきった。
筆頭岩の登り
筆頭岩(826m)に13時。鋭い三角形の影が自然の家の方向に落ちている。ケルンの前に3人が無理にかがんでセルフタイマーで記念撮影した。
筆頭岩の影
山頂の懸垂下降支点は比較的新しそうなボルトにスリング、カラビナが使われていて安心できる。まずはすぐ下に見えているテラスまで下降。テラスからは下が見えない。樹に掛かったスリング支点の向きから見当をつけて真っ直ぐ外側に下りると空中懸垂となるが、うまく次の支点に届いた。3番目の支点はかなり草臥(くたび)れていたのでスリングを追加。カラビナも古びているので今日拾ったものを追加する。ここも空中懸垂になる。T氏が降りる途中で足をついたところから落石したが、先に下りていたY氏は用心深く岩の下にいたので無事、岩の落ちる先も無人の樹林なのでどこにも被害はなかった。下り切ってロープを引くと引っ掛かってしまい、悪戦苦闘の末、T氏が斜面を少し下りた地点から引いてようやく回収できた。
まとめると、筆頭岩は30mロープ2本ならば登り4ピッチ、下り3ピッチ(懸垂下降)で行ける。

先ほど登り返した斜面を下っていくと猿の群れがいた。車道の上、落石避けのネットが低くなっている箇所から法面を懸垂下降して16:10。短いルートの割りに時間が掛かったのは、主にルートファインディングのため。バリエーションとはいえ、これだけ目印の少ないことも珍しい。それだけに今回は楽しめた。もちろん岩も面白い。

車道を歩いて駐車場に戻り、16:50 山行終了。
T氏の車で松井田駅に向かうが、カーナビの設定を誤ったのか西松井田に到着。2分後の列車に乗るため、駅まで駆け上がった。

■今回のルート
金鶏山ルート

2012/11/8(木) 「伏 鉄砲娘の捕物帳」2012年11月08日 00:00

シネ・リーブル池袋にて。

楽しい漫画映画だった。
浜路や信乃とはNHK人形劇「新八犬伝」以来の付き合いだが、40年近く経ってまた新たな物語とキャラクターに触れることができるとは。足腰の逞しい浜路が伏姫の血を引くもの達を狩るという展開には驚いた。

映画の原作小説は『伏 贋作・里見八犬伝』。読んでいないのだが、もちろん馬琴の『南総里見八犬伝』に対しての<贋作>だろう。そして映画も原作通りではないだろうから<贋作の贋作>だ。ところが劇中では馬琴が映画の中の現実に対する<贋作>として『八犬伝』を書いている。さらに馬琴の孫がまた伏と浜路を題材に読本を書いており、それが映画の冒頭と終端を括る。
「因果は巡る糸車」は「新八犬伝」での坂本九のナレーションだったが、真贋が巡って円環を成すばかりか、入れ子になり分岐していつか現実世界までも侵食するか。
原作も読みたくなった。

※2022/7/21 映画の公式HP(http://fuse-anime.com/)は消滅していたので、配給元に差替

2012/11/18(日) 丹沢・大倉尾根 ボッカ訓練2012年11月18日 00:00

無名山塾の年中行事。
前日は雨の中、運び上げる荷物の受取を手伝い、堀山の家にボッカしていたS木・Y氏(女性)らと合流して滝沢園泊まり。酔っ払って寝て起きると晴天でボッカ日和。

今年は総重量35kgを背負って尊仏山荘までちょうど4時間だった。一昨年(https://marukoba.asablo.jp/blog/2010/12/04/9404710)より荷物が少し重いが時間は同じ。まずまず体力は維持できているということかな。
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