2008/2/9(土)~2/10(日) 八ヶ岳・赤岳、硫黄岳2008年02月09日 00:00

無名山塾の講習(研究ステップ)「赤岳~硫黄岳」。赤岳鉱泉にテントを張っての縦走メニューだが、強風のため赤岳は断念、硫黄岳をピストン。厳しい雪山をほんの少し経験した。
メンバはM本・Y講師、U山・K氏、K室H&I氏夫妻、Y永・H氏、S藤・J氏、H方・Y氏、自分の8人パーティ。H方氏は本科ステップを24単位取って、研究ステップデビューである。

■2/9(土)
10時過ぎに茅野駅に集合、タクシーで美濃戸口に入る。
11時過ぎに歩き始め。薄曇りで時々日差しもある一方、小雪も舞う。昨日の予報で山は大荒れと言っていた割には穏やかだ。
赤岳鉱泉へ
14:20 赤岳鉱泉に到着、同じく講習で先に入っていた基本ステップ隊(硫黄岳と赤岳を一日ずつ)のテントを挟んで2、3人用テントを3張り設営。自分はU山氏、S藤氏と一緒にU山氏テント。

荷物を整理した後、食堂でビールを飲もうと小屋に入ったのだが、座らないうちに食事の準備が始まってしまい缶ビールを手にテントに戻った。各テントで適当にやっているうちに基本ステップ隊が戻り、一度、そちらのテントに大集合。5、6人用に14人はさすがに狭かった。
各テントに戻った後、どうもコンロやライターの点(つ)きが悪いと思ったら酸欠気味だったらしい。ベンチレータは開けていたが、フライが本体にくっつき、さらに内部の熱で雪が溶けて生地が濡れていたためだろうか。普通に眠れたが、帰宅してからのニュースでは11日に赤岳展望荘で酸欠事故があったとか。用心用心。

■2/10(日)
3:30起床。夜中には雪がさっさと降っていたが、起きてみると星空。朝は自分が食当でラーメンにしたが、水が少なくてスープが無くなってしまった。まあ、野郎が3人だ、煩いことは言わない。

5時過ぎ、ハーネスまで着けて暗い中を出発。今日の一番手らしいが道の部分は窪んでいるのでラッセルということもない。
6時 行者小屋で小休止。そろそろ明るくなってきた。気温は-14℃と低いが、風がないためそれほど寒さは感じない。S藤氏は体調不良のためテントに戻ることとなった。
樹林の中、阿弥陀北陵に取り付くにはこの辺から尾根に上がると良いなどと講師の説明を聴きながら行くと、速いパーティが2、3組追い越していった。と、講師の後を歩いていたH方氏が「イノシシだ!」 いやいや、それはカモシカだよ(笑) まだ若そうなのが一頭、人を恐れるでもなく道脇からこちらを眺めているのだった。

文三郎尾根に入り高度が上がると次第に風が強くなってきた。見上げると雪煙も舞っている。先に行ったパーティは別ルートに向かったのか、再び我々が先頭らしい。急傾斜を上がるため先頭の講師がピッケルで崩した雪が落ちてくる。雪煙は中に入れば風に飛ばされてくる氷の粒、それが目に入って痛い。フラットフッティング(足裏全体を雪面に付ける)もできない斜面なので、アイゼンの前爪を効かせるキックステップで上がった。
サングラスを掛けていれば目を保護できたかもしれないが、行者小屋は日の出前だったし、次にザックを下ろす休憩で着けようと思っていたのがここまで来てしまったのである。もっとも、サングラスをしたら今度は呼気が凍り付いて見えなくなっていたかもしれない。実際、目出帽の口に当たる部分はカチカチだし、雪煙で涙目になった睫毛も凍っていた。メガネを曇らせないうまい工夫はないものか。
後続が斜面を上がるまで少し余裕が出来たのでカメラを出すが、低温でレンズが繰り出せない。手に包んで擦ったりしてやっと撮影できた。
文三郎尾根の登り
雪煙に叩かれながらもう少し上がって、7:40 文三郎尾根突き当たりの道標。ますます風が強く、うっかりすると身体を持って行かれそうだ。講師判断でここから引き返すこととなった。後の話では、力量の分かっている少人数であれば行ったが、全員を無事に縦走させる自信はなかったので止めたとのこと。自分も稜線でこれだけの風に吹かれたことはないので、先に進むのは少々怖かった。もう少し行けば風も緩むそうだが、もっと穏やかな時に一度歩いてからにしたい。

下りも雪煙で目が痛いのは相変わらず。涙目で足下がはっきり見えず、急斜面で思わず腰が引けてしまう。却って危ないことは分かっているのだが、ともかく慎重に足を出して無事に下りてきた。
下は先刻までの風が嘘のような穏やかさ。この時間に登ってくるパーティがずいぶんある。多くは登攀具を着けていて、阿弥陀北陵への入口を捜しているグループもあった。先ほどのカモシカがまだ道のすぐ脇にいた。暢気だね。
雪中のカモシカ
9時 赤岳鉱泉に帰着。

さて、これで終わってしまっては基本ステップよりも楽なことになってしまう。
まだ時間は十分あるので硫黄岳をピストンすることにして、休憩の後、9:20 出発。
鉱泉でハーネスを外したので腰は軽くなったが、樹林帯の単調な登りは退屈で疲れる。ため息をつきながら登って、10:50 赤岩の頭の斜面。この前(https://marukoba.asablo.jp/blog/2007/02/10/9403456)はルートを探りながら上がったが、今回は踏み跡がある。そのかわり前回より雪が薄いらしく、石が覗いている箇所は少し登りづらい。
赤岩の頭への登り
赤岩の頭~硫黄岳は強風地帯だが、上がってみると文三郎尾根ほどではなかった。

11:30 硫黄岳山頂(標識のある地点)。意外や山頂は風が治まって静かだった。しばし大同心、小同心や周囲の山を眺め、写真を撮って引き返す。ルートを逆(硫黄岳→赤岳)に取っていれば問題なく縦走できていたかもしれないが、それも時の運で仕方がない。
硫黄岳より
赤岩の頭を下りたところでアイゼンを外し、あとは踏み跡を立って滑り、ジグザグの登り道をショートカットして尻セードで下る。尻セードは楽ちんだし楽しい。12:40 赤岳鉱泉に戻った。

基本ステップ隊はすでに撤収していた。こちらもテントをたたんで13:20 出発、15:30 美濃戸口到着。堰堤広場からの林道歩きでまた疲れた。

美濃戸口からタクシーで茅野駅に着くと基本ステップ隊と行き会うが、もう列車に乗るところだった。Y田講師だけこちらに合流して、駅ビルの蕎麦屋兼飲み屋でちょっと打上げ。あずさの指定席はバラバラだったので、車中では大人しくしていた。

■今回のルート
八ヶ岳・赤岳、硫黄岳ルート

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