2023/9/10(日)~9/11(月) 那須岳2023年09月10日 00:00

八ッ峰クラブの担当回で、25年振り(http://marukoba.asablo.jp/blog/1998/05/04/9617832)に那須岳を歩いた。参加者はクラブ代表S水・T氏の他、I田・T氏、H谷部・H氏の3人で、I田氏に車を出してもらった。主目的は何と言っても三斗小屋(さんどごや)温泉・煙草屋旅館の野天風呂!
那須岳は百名山の一峰。以下、『日本百名山』(新潮文庫)から引く。

那須五岳と称(とな)えられるのは、南から、黒尾谷(くろおや)岳、南月山(みなみがっさん)、茶臼岳、朝日岳、三本槍(さんぼんやり)岳を指すが(異説もある)その中枢部の茶臼、朝日、三本槍を、所謂(いわゆる)那須岳と見なしていいだろう。茶臼は名の通り臼型のコニーデであり、朝日が峨々(がが)とした岩の盛り上りであるのは、かつての噴火の火口壁の名残りだという。三本槍はその名から察して鋭い岩峰を思わせるが、実はそうではなくなだらかな頂を持っているのは、その北肩が下野(しもつけ)・磐城(いわき)・岩代(いわしろ)の三国境になっていて、封建時代に黒羽藩・会津藩・白河藩の武士が所領を確かめるため、五月五日の節句にそれぞれ槍を携えて登山し、山頂で三本の槍を立てた行事から来た名だそうである。(引用ここまで)

幸い天候に恵まれ、上記中枢部のピークをすべて踏んで、良い山行だった。

■9/10(日)
9時前に那須ロープウェイの駐車場に到着。ロープウェイは片道1200円、数分で300mほど標高を稼いでくれる。9:20便の改札には観光客、登山客の行列ができた。
山頂駅から9時半に出発。晴れてはいるのだが、空はややガスっぽい。
茶臼岳へ
火山礫の広い斜面を緩やかに登り、大岩(この辺の巨岩帯を八間石と呼ぶらしい)を過ぎて、那須岳神社の祠のある茶臼岳山頂(1915m)に10:20。その手前に四等三角点(1897.5m)があったはずだが、気付かなかった。
八間石
茶臼岳山頂
山頂で20分程休憩した後、御鉢を一巡りしてから登ってきた道を戻り、牛ヶ首への分岐を入る。トラバース道の先に白い点々が見えると思ったら、牛ヶ首で休憩する中学生の一団の体操着だった。
牛ヶ首から西へ下る。こちらから見上げる茶臼岳は溶岩がそそり立って岩の城の雰囲気がある。人はめっきりと減った。
地形図で湿地マークになっている姥ヶ平はよく乾いた広場でベンチもあり、ゆったりできそうだ。
姥ヶ平からの茶臼岳
ひょうたん池への分岐を入ってみると、高い木道は支柱が緩んでいるのか歩くと揺れる。木道末端に「おりないでください」とあるが、その先は木に遮られて池はほとんど見えなかった。縦走路に戻ると道脇の木が次第に高くなり、樹林帯に入っていく。
姥ヶ平下から三斗小屋方向(北)へ向かう。地図(昭文社・山と高原地図)および地形図に水線の入った御沢の手前にも水流があり、顔を洗うのに好適だった。(写真は、顔を洗うH谷部氏/御沢)
御沢
御沢を渡って短い急登をこなし、平坦になると沼原分岐。クマとの戦闘用にピッケルを持った単独男性とすれ違った。あとは笹を刈り払った道で、14時半に三斗小屋温泉に到着。
煙草屋旅館は建物前にコンクリを流し込むなど工事中。公式HPによると、資材置き場になっているためテント場は休止中とか。野天風呂は写真(下左)の手前に写っている仮設階段を上がったところにある。館内に共同風呂もあり。
煙草屋旅館
1泊2食付き(一人)11000円で予約してあったが、朝食を弁当(おにぎり2個)にしてもらったところ500円引き。受付の傍ら、行動中から気にしていたH谷部氏の靴底がいよいよ剥がれてきたため、自分が手持ちの針金を提供した。
割り当てられた7号室は八畳間で4人には十分な広さだ(寝具は6人分あった)。目当ての野天風呂は混浴だが15:30~16:30は女性専用となるため、その前に一浴び。我々3人(S水氏は来なかった)の他に浸かっているのは二人程度で、自分は缶ビールを持ち込んで、実に気持ちが良い。黄色いケロリン桶はケロロ軍曹(⇒ ケロリンファンクラブ)だった。
夕食の後、女性時間が終わるのを待ってふたたび野天風呂へ。自分のライト以外に灯りはない。見上げれば美しい星空だが、次第にガスが出た。その雲が時折パパッと光るのは遠い雷だろうか。

■9/11(月)
5時起床、朝弁当は各自の判断(自分は完食)にして、6時前に出発。
宿の裏を少し登ると石段になり、その上に三斗小屋温泉神社があった。祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)、本殿は日光東照宮造営に携わった彫刻師によるという言い伝えがあるとか。
温泉神社
緩やかに上がっていくと、足元をお湯が流れている。登山道脇から湧き出しており、流れに指先を入れると「アチッ」。じきに、樹林の向こうに立ち上る湯気が見えてくる。これが源泉地で、お湯がボコボコと沸き立っていた。
源泉地
石を入れて整備された道を進み、急傾斜を上がると隠居倉(1819m)。朝日岳~茶臼岳方面はガスに見え隠れ、三本槍岳はすっかりガスの中で見えなかった。
隠居倉より
熊見曽根の道端にはトリカブトや名前を知らない白い花が咲いていた。
トリカブト他
7:50に熊見曽根東端、そこから北に向かい、1900m峰から清水平を見下ろす。清水平は地形図の湿地マークで、今も木道の下に浅い水流があった。笹やシャクナゲの間(地図には「えぐられた道」とある)を進んだ北温泉分岐から西へ向かうと、幅広の三本槍岳が近付いてくる。
三本槍岳へ
一登りすると平坦になるが、山頂はもう一段上だ。9:10、那須岳中の最高峰、三本槍岳(1916.9m)に登頂。北の旭岳(赤崩山)は目立つが、茶臼岳などは雲に見え隠れしている。方位指示板によると、遠くは安達太良山や飯豊山まで見えるらしい。
三本槍岳にて
三本槍岳より
        ↑中央の三角が旭岳(赤崩山)
三本槍岳より
        ↑男鹿岳~三倉山方面
一等三角点の標石は根元近くまで剥き出しで、手を掛けると揺れた。
一等三角点
ここまでにすれ違う人はあったが、山頂に居合わせたのは単独男性1名のみ。平日に観光エリアを外れると静かなものだ。写真を撮ったり景色を眺めたりして、30分程過ごした。
清水平から1900m峰へと戻る。熊見曽根東端の手前で先頭のS水氏がショートカットできそうな踏み跡を見つけて入るが、途中に樹木の茂った箇所があって、それほど楽はできなかった。素直に登山道を行くのが安全確実である。
朝日岳は山頂直下でルートを右(南)に外し、山頂部を回り込んでよじ登ることになってしまった。自分は常に後尾を歩いていたのだが、先頭のルート誤りに気付かなかったのは反省点。もっとも、多少怪しいながらも踏み跡はほぼ続いていたので、間違える人は多いようだ。11:20、朝日岳(1896m)に登頂。北側に見える斜面は火口壁なのだろう、茶色く抉れて凄まじい。
朝日岳へ
朝日岳山頂
朝日岳から見る火口壁
あとは下山するばかりだが、朝日岳から地形図の岩崖マークを下りて行く箇所はクサリも付いていて、少しだけ注意が要る。
朝日岳の下り
峰の茶屋跡では、茶臼岳から下りてきた小学生集団が昼休憩を取っていた。この数の子供たちを安全に引率するのでは、先生も大変だ。
下るにつれて火山風景から樹林の遊歩道へと移り変わり、山の神の鳥居を出て、13時に駐車場へと戻った。

帰路では鹿の湯で汗を流す。48℃に挑戦してみたが、腰まで一瞬入れるのが精一杯、湯が喰い付いてくるようだ。やはり41~42℃の槽にじっくり浸かるのが良い。
駐車場を移動して、昨年3月に二つに割れた殺生石を見物。
殺生石
そば処れんやにて冷酒「天鷹」(もちろん運転手を除く)と美味い蕎麦で落ち着いてから、東北道に乗った。

■今回のルート
那須岳ルート

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