2024/1/6(土) 「僕が宇宙に行った理由」 ― 2024年01月06日 09:00
「僕が宇宙に行った理由」鑑賞@TOHOシネマズ池袋。
映画公式サイト ⇒ https://whyspace-movie.jp/#
2021年にソユーズ宇宙船に搭乗してISSを訪問した前澤友作の記録。監督と主な撮影は共に宇宙飛行した平野陽三。
前澤の生い立ちや起業の部分で煩くならない程度に人物を描き、ロシア人船長もフレンドリーに前澤を語る。身体検査、訓練を経ていよいよ宇宙へ。ISSでの国籍を超えた連携。
映像中での協力ぶりに対して現在のロシアの蛮行がどうしても意識に上ってきてしまうのだが、映画の末尾にウクライナ侵攻を取りこみ「NO WAR」を訴える。自分のカネで行った宇宙だからこそ、どこにも遠慮なく言えることだろう。強く同意し、ロシアが一刻も早く正気に返ることを願う。
それはそれとして、打上げに向けてロケットを立てるシーンなど実に良い。船内で指し棒を使ってスイッチを押す様子とか、いかにもロシア的。ソユーズロケット/宇宙船の記録映像として見ていても飽きない。
映画館のスクリーンが爆音上映だったので、打上げの轟音も腹に響いた。実際の射場では音響より衝撃波なのかもしれないが、体験してみたいものだ。
2024/1/6(土) 「縄文コードをひもとく-埼玉の縄文土器とその世界-」展 ― 2024年01月06日 14:30
池袋で映画(⇒ 1/6「僕が宇宙に行った理由」 )と献血(203回目、400ml全血)の後、大宮に廻り、埼玉県立歴史と民俗の博物館で特別展「縄文コードをひもとく-埼玉の縄文土器とその世界-」を観覧。
「縄文コード」とは、明治のお雇い外国人E・モースが大森貝塚を発掘して報告した土器の'cord-mark'、'cord-marked'(「縄紋」と訳され、後に「縄文」となった)と、そのcordに秘められたcode(土器に込められた思想や土器作りのルール)を掛けたアイデア。
展示ではcodeを、
1.世界観のコード
2.土器作りのコード
3.出自のコード
4.使用のコード
として展開。
縄文晩期には埼玉でも東北地方の影響を受けた土器が作られた。川口市の安行猿貝(あんぎょうさるがい)貝塚の資料を基準とする安行式土器には、遮光器土偶で名高い亀ヶ岡式土器の影響も見られる。
これ(↓)は枠状文という説明だが、遮光器土偶ふうの顔を連想させるな。
これは、ミミズク土偶に似た人面の一つが注ぎ口と併せてヒョットコみたいで愉快。
顔を持つものばかり写真を並べたが、それ以外の文様から読み取れるコードも多い。面白い展示だったので、図録(1000円)を購入した。
特別展を観ているうちに閉館前30分の16時となり、常設展は展示説明のペーパーだけ拾って素通り。
2024/1/15(月) マイナ保険証、勝手に登録? ― 2024年01月15日 12:00
パスポートが有効期限まで1年を切ったので更新申請をしようと、久々にマイナポータルに入ったところ、マイナカードの健康保険証利用が「登録済」になっている!?
医療アクセスに関わる情報をこんなポンコツシステムに預けるつもりはないし、当然、マイナ保険証利用を申請した覚えもない。
本日付で更新となっているのは、マイナポータルに入ると勝手に登録してしまうということなのか?
登録の時期と経緯を明らかにせよ、とポータル内の問合せフォームから書き送った。
※2024/2/16 追記
マイナポータルに回答があったが、「令和3年3月にマイナポイントの申込みにあわせて、健康保険証利用登録されていた」、と。だから、その覚えがないのだ。
と言っても、当時の未登録を照明する画面ハードコピー等は取得していない。信頼できないマイナカードのシステムに対してさらに疑いを深めているが、残念ながら追及はここまでか。
※2024/2/28 追記
10月からマイナ保険証の登録解除が可能になる、との情報。
開始されたら、すぐに解除しよう。
2024/1/19(金)~1/20(土) 埼玉-群馬県境・二子山~八丁峠 ― 2024年01月19日 00:00
先月未完に終わった県境歩き(12/9~12/11 埼玉-群馬県境・神流湖~二子山)の完結編として、T中・H氏と無名山塾の自主山行。
■1/19(金)
坂本バス停を10:40に出発。暖かくて、ヤッケを着ていると魚尾道登山口までに汗をかいた。前回の下山路を登り、県境尾根上のローソク岩分岐に12:10。
鹿柵に沿って尾根を西に踏み込むと、足元に「昭和57年10月16日以降、叶山は登山禁止」の注意看板が落ちていた。緩やかなアップダウンの後、方向の変わる1040mピークには「志賀坂峠/二子山」の古い指導標が立つ。昔はよく歩かれていたのだろう、明るくて気持ちの良い道だ。
1090mの細長い小ピークの端で、県境は南へと向かう。ここには錆びて読めなくなった指導標と、やはり叶山登山禁止の看板がある。しかし、ここまで明瞭だった道が見えなくなった。疎林の広い尾根に目印を探すと、足元に県境を示すらしい赤いプラスチック杭が見つかり、そちらに進んでみる。コンパスを当てるとやや右にずれており一本西の尾根かと疑うが、「境界明確化」の杭もあるので県境には乗っているようだ・・・
やがて踏み跡は明確になったものの釈然としないままに下って行くと、送電線を潜る高度も地形図の読みと違う。県境は志賀坂トンネルの上を通過するはずが、トンネルの群馬側で国道に下りてしまった。やはり、1090mから出る西側の尾根を辿っていたのだった。「境界明確化」杭は前回にも見ていたため「境界」=県境と思い込んでいたが、違っていたらしい(帰宅後に調べたところでは、神流川森林組合/事業案内の「境界明確化」の写真が、この杭に見える)。
トンネルの袂にある駐車場から諏訪山登山道(尾根コース)に入って県境尾根に復帰した。
諏訪山までは一般登山道で標高差約300mの登り。長い階段を上がった957mの送電鉄塔から眺めて、目立って聳えているのは白石山(毘沙門山)、その右に遠く高いのは武甲山~小持・大持山だ。
谷コースとの合流を過ぎると道は尾根から群馬側に少し外れるが、県境とのその程度のずれは許容して、諏訪山(1207m)に15:05到着。諏訪大明神の祠の前に三等三角点標石があるのだが、地形図に三角点マークは無い(国土地理院の基準点成果等閲覧サービスには基準点名「志賀坂」記載)。両神山の鋭い稜線を眺め、山頂標の前にテント(T中氏の3人用)を張った。
■1/20(土)
4時半に起床すると、外は濃いガスに包まれていた。食事トイレを済ませてもガスが取れる気配はなく、濡れ防止に雨具を着けて6時半出発。
県境尾根は南へ向かって登山道から外れるが、歩くのに問題はない。30分ほどアップダウンした鞍部で林道金山志賀坂線に接した後、きつい登りで高度を上げて行く。風に吹かれたガスが霧氷となっていた。
7時半、蓬莱山(1377m)に登頂しても、ガスで眺望は皆無。
蓬莱山から痩せ尾根で鞍部(1350m)に下ると、いよいよ今回の核心となる赤岩尾根P1へ。1450m辺りから特に傾斜が増し、ポールを収納して木を掴んでの登りとなる。所々に赤テープが付いているのは心強い。
赤テープを確認し、その上へ身体を持ち上げたところで進路を探る。テープの場所からはさらに上に届きそうに見えたが、直登は難しい。テープより一段下に(下から見て)左へと踏み跡があるように思えるが、それならこのテープは何だ?・・・と行き悩む。正解は赤テープから右へ、枯葉の積もったルンゼを渡るのだった(T中氏がルンゼに見つけた黄色テープが、自分には景色に紛れて見えなかった)。
ルンゼの先の斜面にはトラロープが下がっていたが、それに頼らなくても登れる。
急斜面が終わってからも、ロープの付いた岩場があった。バリエーションルートとしては案外に親切だが、登りはともかく、ここを下る際には必要になりそうだ。
岩場に限らず、このルートは雨で足元が悪いと危険度が非常に高まりそう。また、今回は装備に入れなかったのだが、天候によらずヘルメットを装着すべきだった。
9:20、無事にP1(1589m)に登頂した。
ここに来たのは17年ぶりだ(⇒ 2006/10/14~10/15 赤岩尾根)。前回の写真にある「八丁岳」とペンキ書きした岩は山頂部の西寄りだったのか、今回は気付かなかった。ともあれ、これで埼玉県境を黒山(飯能)~雲取山~雁坂峠~甲武信ヶ岳~三国峠~八丁峠~土坂峠~太田部(秩父)と繋いで歩いたことになる。
P1からの下りも急だが、登って来た北側と違って明るい。鞍部から登り返した地点の覆い屋に収まる2基の祠は八丁峠の神様か。ここからの直進を遮るロープに「この先赤岩岳へは行けません」とあるが、赤岩岳は逆方向で、これでは道迷いを誘発しそうだ。道は遮断ロープの左から八丁峠へと下りる。
八丁峠から八丁隧道/坂本方面へ入ると間もなく分岐。前方の赤テープが目立つが、足元を見ると指導標が倒れており、坂本へは右に折れることを確認。このような重要なポイントが荒れたままとは。
つづら折りに下って出合った沢(1250m)は見事に凍っていた。
なおも急降下し、傾斜の緩んだ地点で休憩したが、そのすぐ先がベンチと祠のある大岩(標高990m)だった。ガスの粒は次第に大きく、雨の気配を含む。水流まで下りる頃には雪となって落ちてきた。
地形図では道は水線の右岸にずっと付いているのだが、実際には何度か渡渉する。要所に赤テープがあるものの、対岸への続き具合が分かりづらかったり、落ち葉に覆われて道が見えなかったりで、何度もルートを探した。薄く氷が着いているのか足元の岩が滑りやすく、登山道の崩落個所も目立つ。昭文社山と高原地図で破線に「ルート不明瞭箇所あり」と注意書きされている通り、侮れない道だった。
道がようやく沢を離れて高くなると、ふたたび祠を見、家財道具の散らばる廃屋跡を過ぎて道路に出た。坂本のバス停に12時半帰着。荷物整理していると、ちょうどバスが来た。
雪は下山中に止んで感じるか感じないかの小雨になったものの、身体が冷えたので、西武秩父で入浴して熱燗にて祝杯。
■今回のルート
2024/1/25(木) 「VESPER/ヴェスパー」 ― 2024年01月25日 15:25
「VESPER/ヴェスパー」鑑賞@新宿バルト9。
映画公式サイト ⇒ https://klockworx-v.com/vesper/
ヨーロッパ(フランス・リトアニア・ベルギー)発らしく、ダークな手触りのSF映画。
遺伝子改変された生物が漏れ出して生態系を破壊。富裕層は防御を固めた都市「シタデル」に籠り、それ以外の人々は一代限りの作物の種子をシタデルから買い、あるいは危険に晒されながら食物を漁っている。シタデル内の様子は描かれないが、外部から若者の血液を調達していることからすると、住人の健康状態に深刻な問題を抱えているとも取れる(若さ維持や美容のための歪んだ医療に血道をあげているのかもしれないが)。
主人公の少女ヴェスパーは種子の不稔を解除しようと独学で研究している。最終的に解除に成功するのだが、その過程で心通わせた人物の行方や、種子が実際の実りをもたらすのかは語られない。研究室のミイラや放浪者の意味も明かされないままに終わり、物語的なカタルシスは得られない。
しかし、この世界のディストピア感、変異植物の美しいあるいはおぞましい造形が良い。
異形の植物はまるで腐海の生物群のようで、それらを調べて新種さえ作り出すヴェスパーはナウシカに重なる。間違いなく「風の谷のナウシカ」の影響下にあるが、独立した作品として十分に世界観を楽しめた。
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