2008/9/20(土)~9/21(日) 甲斐駒ヶ岳2008年09月20日 00:00

無名山塾の自主山行。今回は半単独。「半」てのは何だよというその経緯(いきさつ)は...

S木・Y氏から、黒戸尾根~甲斐駒~鳳凰三山~夜叉神峠を考えているが各人が好きなルートで上がってクロスするというのはどう?と呼び掛けがあったのが9/11(木)。その週末は槍穂縦走に行き(⇒ 9/13~9/15 槍ヶ岳~大キレット~穂高岳)、16(火)に帰ってからルートを考えたのだが、台風が発生して週末はダメだろうと思っていた。それが思ったより早く20(土)の朝には天候回復しそうということで、19(金)の夜まで様子をみてから出掛けることに決めた。
ルートは、韮崎からバスで青木鉱泉に入り、地蔵岳を経て早川尾根小屋テン泊、翌日甲斐駒を踏んで北沢峠。トレイルランで反対方向から来るS木氏を早川尾根小屋で迎え撃とうという計画。
最初にS木氏が呼びかけたうちスケジュールの空いていたのは自分だけで、自主山行の計画はS木氏が二人分を1枚にまとめて提出した。

■9/20(土)
新宿7:00のあずさで韮崎へ。バス時刻からすると1本遅くてもいいのだが空席があったので乗り込む。S木氏も別の車両にいたが、隣席は空いていないのでそのまま。
韮崎から黒戸尾根方面のバスはあずさ到着直後の発車で、S木氏走るが間に合わず。次は2時間近く後なのでタクシーに乗っていった。
それを見送ってから青木鉱泉行きのバス停に行ってみると「落石のため運休」! 昨夜、山梨中央交通のホームページで時刻を確認したのに。念のため電話で問い合わせると、昨日から運休でこれから道路状況を確認とのこと。青木鉱泉まで一人でタクシーを使うのもバカバカしく、こちらも黒戸尾根ルートに変更と決めてゆっくりバスを待った。しかし、ルートを変えると甲斐駒頂上近くまで2万5千分の一地形図がない。まあ、エアリア(昭文社の山と高原地図)があれば困らないか。
(後から聞いた話では、青木鉱泉へのバスは当日のうちに復旧したらしい。それにしても、ホームページには最新状況を載せておいて欲しいものである)

道の駅はくしゅう手前の白須バス停に11時。サントリーウィスキー「白州」の醸造所はこの近くなのだな。道の駅で販売しているかどうかは知らないが、これから登るのに試飲という訳にもいかず、多少後ろ髪を引かれながら歩き出す。雲は多いが日差しはあり気温28℃、アプローチの車道歩きで早くも汗をかいた。舗装路上を赤とんぼが飛んでいた。
12時、竹宇駒ヶ岳神社に山行の無事をお願いして登山道入口の吊り橋を渡る。
山に入ると足元はしっとりとして栗のイガがよく落ちている。中の実はほとんどなくなっているが、クマの食事場ではあるまいな。キノコも多い。
薄日が射しながらも時折小雨がぱらつくが、樹林の中なので濡れることもなく進む。眺望はなかなか得られないが、やがて刃渡りの手前あたりで地蔵岳が見えた。むこうも雲にまとわりつかれている。
刃渡りはエアリアに危険マークが付いている。足元が見えていればどうということもないが、暗い中で行動する場合は要注意だろう。さらに雪が着いた場合はどうなるか。雪庇が出来ると不注意は命取りになりそうだ。
黒戸尾根 刃渡り
刀利天狗にはハシゴ、クサリを登る。現在のしっかりしたハシゴの傍らに自然の樹木を組んだ腐ったハシゴが残っている。よじ登る途中の岩に建っている石碑はどうやって運び上げて設置したものやら。刀利天狗に15時。名前の通り、祠の傍らに鉄剣を象ったオブジェが建っている。麓の駒ヶ岳神社にも鉄剣が奉納されていたし、全体に修験道の雰囲気の濃い山だ。
黒戸尾根 刀利天狗
次は五合目小屋で休憩しようと思いながら進むと、せっかく稼いだ高度がどんどん下がって悲しくなってきた(後で地形図を確認したところでは、黒戸山付近の2220mから2140mまで下る)。やがて到着した鞍部はちょっと広くなっていて小屋があってもおかしくないロケーションだが、何やら廃材が積んであるだけだ。広場の外れ、大岩の基部には祠があり、その周りに夥しい像や碑が置かれている。
黒戸尾根 五合目
祠の横手から、今度は連続ハシゴによる急上昇で息が切れた。急登を登り切って緩やかになったところでエアリアを見直すと、小屋は鞍部手前にあるではないか。さては先刻の廃材が小屋跡だったか。エアリアは2004年版なので、その間に潰れてしまったのだな。とすれば七丈小屋も近いはずだが、急降下&急上昇で疲れたので木の根に腰掛けて小休止。
黒戸尾根
黒戸尾根
腰を上げるとすぐに屏風岩。垂直に近いハシゴやクサリでこれを越えると、間もなく(16:10)七丈第一小屋が見えた。
テントを設営してから受付しようと進んで行くと、まず水場(流しに蛇口)があり、橋を渡ってからトイレ、第二小屋と現れる。その先は短いハシゴを上がって登山道が続いている。それで、テン場はどこだ? 小屋前は結構な斜面だし、ハシゴを上がっても平らな場所はない。
仕方なく荷物を担いで第一小屋に戻る。「受付」とある頑丈な入口を入った広間はガランとしており、その奥のドアに声を掛けると管理人が出てきた。キャンプ地管理費600円を支払って場所を訊くと、第二小屋からハシゴを上がった先とのこと。行ってみると小屋から5分足らずというところだが、小屋からこれほど見通しのきかないテン場は初めてだ。広く平らでいい場所だが、夜中にトイレへ行くのはやっかいだな。先客は二人連れの一張りのみ。
黒戸尾根 七丈小屋、テン場
小雨が降ってきた中でテントを設営して潜り込む。当然眺望もないので、中で食事を作り、明日の行動を検討し、列車中の暇つぶしに持ってきた文庫本を少し読んで19時前に寝てしまった。二人用テントに一人だから快適だ。雨はやがて止み、夜中に時々風が吹いたようだが、静かな夜だった。

■9/21(日)
3時起床、4:20行動開始。月が明るく、風はない。
ヘッドランプで登っていって、八合目御来迎場に5時。なるほど東側が開けていて日の出を迎えるのにいい場所だ。ここには石碑ばかりでなく倒壊した鳥居まであり、まったく昔の人の宗教的情熱には驚かされる。が、まだ時間が早く東側の雲も厚いため、雲の間に朝焼けが少し見えるのみ。先へ進むと、道脇にテント1~2張り分のスペースがあり、実際、設営に使ったと思われる石も転がっていた。
またクサリを上がり、でかい岩があるなぁと見上げると、その上にちゃんと鉄剣が立っている。
黒戸尾根 岩上の鉄剣
5時半、ガスの中に日輪が浮かぶ。
5:50、駒ヶ岳神社本社。周囲の石碑の中で一際大きいのは大國主命(これは金属製)だ。
駒ヶ岳神社
ここは2965.6mの東峰で、2967mの山頂は目と鼻の先。そちらに建つ石祠にはわらじが何足か結びつけてあった。修験道の威力不動尊を祀っているそうなので、修験者のものなのだろう。この時間ではまだ誰もいない。
駒ヶ岳山頂
ガスで眺望もなく5℃と肌寒いので、岩石の散らばる山頂を見廻して下りにかかる。
ザレた斜面を下りて摩利支天へ向かうが、ルートは地図とちょっと感じが違うようだ。地図では南下→南東だが、実際は南下後に西へ向かい、分岐を見落としたかと思う頃になって道標が出てくる。もしかすると、斜面が崩れてしまいルートを付け直したのかもしれない。
ともかく、6時半に摩利支天。ここも岩に神像と鉄剣、石碑。かなり風化した石の像は何かの動物に跨ったような姿。元はインドの風神で猪に乗り三面六臂というからこれも猪か。修験道や密教の行者に信仰された神で、その名を持つ峰は木曽御岳や乗鞍岳にもある。
甲斐駒ヶ岳 摩利支天
薄いガスの中を駒津峰(2740m)に7:20。そろそろすれ違う人も出てきて、仙水峠(2264m)への下りでは何組とも行き会った。
峠までの急降下と同じだけ登り返して栗沢山(2714m)に9時。これが最後の大登りだが標高差450mはちょっとキツい。山頂での休憩中にガスが小雨となったがじきに止んだ。アサヨ峰(2799.1m)に9:50。仙水峠からこちら(早川尾根)に来る人は少ないようだ。
アサヨ峰から歩き出したところで前方に雷鳥が2羽。人を恐れる様子はないもののさすがに近づけば離れていくが、それも道の上なのでかなり至近距離まで行けた。そこに2、3羽が合流、鳴き交わしているのを見比べると多少大きくて目の上が赤いのが母親だろうか。
ライチョウ
樹林帯に入り、早川尾根小屋に11:20。S木氏はここに泊まる予定だったが到達できたかな。甲斐駒山頂前後はトレラン向きではないからなぁ。

さらに進んで広河原峠から広河原に向かう。道標はあるが入ってみるとルートがあまり明瞭でない。相当の急勾配だし位置的にも中途半端なので、利用する人が少ないのだろう。途中、ルートを外したかと不安になる箇所もあり、暗くなってから踏み込むのは止めた方がよさそうだ。もっとも、そんな時間に広河原を出入りすることもないだろうが。
鬱蒼とした樹林に加え天気のためもあって昼過ぎにしてはずいぶん暗い道だと思いながら下り、西広河原沢に出合うと車道も近い。下界に出る前にと顔を洗っていると、ポツポツと降ってきて雷鳴一発。うわ、この時間に夕立か。すぐに本降りになったのでカッパのズボンだけ着ける。どうせ汗みずくだから上はTシャツでいい。雷といっても周囲は木立だから何処にいても一緒でそのまま下り続ける。やがて雷鳴は聞こえなくなったが雨の激しさはそのまま。車道に出た後はシャワーを浴びているつもりで歩いて、広河原のバス停に13:20。昨日今日と濡れないで来たが最後に降られてしまった。
タイミング良く次の甲府行きが13:30なので、身体を拭きTシャツを替えて乗車。

雨の窓外を眺めてバスに揺られていると、夜叉神峠でS木氏が乗ってきた。峠を越えて桃の木温泉まで行く計画だったが、この雨で切り上げたという。昨日はやはり早川尾根小屋まで着けず、仙水小屋に泊まったそうだ。
甲府であずさの指定席を押さえてから駅ビルのトイレで着替え、駅前の小作に入って乾杯。お疲れさま。

甲斐駒は山歩きを始めた頃(もう17年も前だ)友人に連れて行ってもらったきりで、いつか自分で登ろうと思っていた山。眺望は得られなかったものの、黒戸尾根コースは思った以上に面白かったし、満足の山行だった。
この夏は図らずも木曽駒(⇒ 7/19~7/21 木曽駒ヶ岳~越百山)、甲斐駒と駒ヶ岳づいた。次は越後駒ヶ岳を狙うか。

■今回のルート
甲斐駒ヶ岳ルート

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