2007/8/11(土)~8/14(火) 北ア・栂海新道 ― 2007年08月11日 00:00
無名山塾の講習に研修参加。
K藤講師、研修は自分ひとり、あとは本科26、27期のI干・S、U野・E、M松・S、K生、H方・Y各氏の7名パーティ。
ウェストンが「ここから北アルプスが始まる」と語った日本海の親不知(おやしらず)をスタートに、標高2418mの朝日岳まで辿る、3泊4日のテント縦走だ。
前日8/10(金)は午後半休にして夕方に家を出、親不知駅でステーションビバーグ。無人駅だが電灯は一晩中点いている。駅前の道はほとんど車が通らないが、北陸自動車道の方がうるさかった。
■8/11(土)
晴れ。駅で水を汲んで5時に出発、登山道入口まで約1時間の車道歩き。途中の橋の上ではニホンザルと遭遇したが、その先で歩道がなくなると迫ってくる大型車が少々怖い。登りにかかる前に親不知観光ホテル脇から海岸に下りて海水を汲む。日本海から太平洋まで、いつかルート繋ぐためのシンボルだ。I干氏が今後の山塾内リレー用のボトルを用意しており、自分とK藤講師は個人用に汲んだ。
ここで高度計を0mにセット。ホテルの展望台にウェストン像があるらしいが見るのを忘れた。
6:40 ホテルから道を渡ったところが栂海新道登山口。
自分が先頭に立って歩くが、のっけから急登の上に蒸し暑い。普段歩く時は足を出さないのだが、今回は危険箇所もなさそうだし暑くてたまらないのでズボンの膝下を外す。坂田峠(10:30)から始まる金時坂ではI干氏が早くもバテて、休憩間隔がやたらと短くなった。坂を上がりきってシキ割の水場を探しながら行く。淀んだ沢があって紛らわしいが、水場はその先で簡単な浄水装置が設置してある。
15:40 白鳥山(1,286.9)。登山口からのコースタイム6h40m(エアリア=昭文社の山と高原地図による)のところに9h掛かった。
白鳥小屋(無人小屋)はきれいで、入っている人が周りにシャツなど干している。我々は小屋前の広場に4テン、3テンを張り、しばらく草地で休憩。自分のザックにオレンジ色の蝶がとまって口を伸ばしている。そんなに汗が旨いか? 人間の方も、疲れた身体にU野氏の梅酒が好評だった。そのうちに講師が小屋側面の梯子で屋上に上がると、数人ずつそれに続く。屋上からは周囲の山が一望、夕陽に光る海も眺められた。東の雨飾山方向に入道雲が出て遠雷が聞こえたが、こちらは雨の気配なし。
風が涼しくなってから夕食。年長組(K藤、M松、I干)と若者組にテント割りして、年長組は19:30消灯。若者組はもう少し飲んだ後、シュラフもシュラフカバーもなしで就寝。
■8/12(日)
5:40 出発。今日も晴れ過ぎて暑そうだ。昨日は北側から樹林の中を高度を上げてきが、今日はそれほど高低差のない縦走炉をまっすぐ南下である。陽に炙られる中、ゆっくりと進む。
6:50 下駒ケ岳(1241.0)、7:30 菊石山(1209.8)。
黄蓮ノ水場は菊石山と黄蓮山の間のコルを過ぎてやや登ったところに標識あり(7:50)。「つがみ山荘水場」とあるが、小屋からここまで来るのは辛いだろう。少し下った水場は浅い沢の段差部分で渇水期には当てにならなさそう。黄蓮山(8:50)は登山道屈曲部の1291かと思ったが、その先1360ピークだった。
栂海山荘を過ぎて、10:50 犬ヶ岳(1593.0)。周囲を眺め写真だけ撮って、K生氏を先頭に北俣ノ水場まで進むことにする。
しかし、地図をチョット見して下るだけと思ったら大間違い、30分程の間に小ピークが3つもあった。前回の休憩から時間も経って脱水気味のところに、せめて日陰に入りたいというささやかな望みも叶えられず、ここが今回一番キツかった。
北俣ノ水場の標識はカンカン照りの草原にあり、水場はそこから樹林の中を下る。ちょっと遠いが、冷たい水が豊富に出ているいい水場だ。頭から被り、上半身脱いで濡れタオルで身体を拭く。実に気持ちがいい。もちろん水もいくらでも飲める。ポケットにカメラを入れていったのに、水に夢中になっていて撮影するのを忘れた。
涼しい水場から離れ難いが、標識まで戻って行動食を摂る。思い出して日焼け止めのリップスティックを塗ろうとしたら暑さのために溶けていて折れた。12時半に出発。1時間近く休憩したことになる。
講習の要項では今日は栂海山荘泊まりなのだが行程が短すぎるので変更。と言って、次のテン場の朝日小屋までは届かない。さてどこに泊まるか、テントを張れる場所を探しながら行く。地形図を見るとサワガニ山(1612.3)、次の1612ピークとも東側に平坦な個所がありそうだが。
13:40 サワガニ山(1612.3)。確かにピーク下に広い場所があるが、丈高い草が生え、道からは藪に遮られている。次の1612は樹木で視界がなく、平坦地を確認できず。文子ノ池(14:50)まで来て見ると、池の畔の裸地と登山道を使えばテント設営できそうだ。
午後のこの時間に通過するパーティもないだろうが、登山道を塞ぐのも憚られるため、しばらくはザックを下ろした休憩モード。日陰はなく、I干氏は傘を広げている。酒とつまみが回り、H方氏のオカリナも出る。しばらくまったりとしてからテントを張り夕食、さらに宴会。
ペルセウス座流星群の極大(13日)が近く、見上げていると幾つも飛んだ。
シュラフカバーで就寝。
■8/13(月)
5:50 出発。今日も快晴だが、まだ気温が上がらず、黒岩平に続く景色も爽やかでずいぶん楽だ。
6:20 黒岩山(1623.6)。ここから先の黒岩平~アヤメ平はまさに別天地。ニッコウキスゲ、クルマユリ、あやめ、チングルマ等の高山植物が咲き、空気はひんやりと心地よく、池や雪渓が点在する。振り返れば犬ヶ岳からの縦走路が眺められる。標高は低いけど歩いてきてよかったと思う瞬間。
ここで、去年夏の塩見岳(⇒ 2006/8/12~15 北岳~塩見岳、大鹿村)・雪投沢のテン場で一緒に盛り上がったうえくさ氏と擦れ違う。熊ノ平小屋から下山までつかず離れず歩いたふかやま氏のサイトの掲示板で情報交換しておいたのである。
名残を惜しみつつアヤメ平を過ぎ、長栂山への登りにかかる。ちょっと急登だが、まだバテていないので楽だ。I干氏も復調した様子。傾斜が緩やかになると、左手に何か標識の立った小ピークがある。足もとの岩には「←山頂」と書いてあるが、2267mのピークにはまだ早いし、そもそも巻くはずだ。ともかく行ってみると、標識は「長栂山」(9:20)で、三角点(「点」は旧字)もある。後でGPSデータを確認したところ、2267ピークに向かう県境と登山道が分かれる手前、東側の小ピークだった。おそらく高山植物保護のため2267ピークは立入禁止で、その代わりにここを山頂としているのだろう。
10:10 吹上のコル(この辺が森林限界)を通過し、10:50 朝日岳ピーク近くの水場。地図で見てこんなところに水があるのかと思っていたら、雪渓から直接流れ出ているのだった。冷たい水で喉を潤すと、朝日小屋のビールを心待ちにしていた欲求の半分くらいが満たされてしまう。
心行くまで水を飲んでから高度計を見て「ラスト100m!」と声を掛けて歩きだしたら、山頂まですぐだった。11:10 朝日岳(2418.3)に登頂。
栂海新道の始点から終点まで歩いた記念として、講師が海岸で汲んで来た海水2本のうち1本を全員で代わるがわる三角点に注ぐ。
相変わらずのピーカンで眺望絶佳。雪倉岳や白馬岳は間近だし、剱岳も凛々しい。それはいいのだが、むき出しの足がひりひりしてきた。日焼け止めを塗るが後の祭りである。12:00にピーク発。
下りはH方氏が先導し、12:30 朝日小屋に到着。テント設営の後、小屋で買った冷たいビールで乾杯。雪渓の水の満足感もあるが、それはそれこれはこれ。
そのまま夕食を挟んで宴会。小屋で焼酎や日本酒(地酒「銀盤」)を買い足し、持参のツマミを食べ尽くして明日の下山に備える。
さすがに夜は少し冷えて若者組もシュラフ+シュラフカバーで就寝。
■8/14(火)
特に防寒着を着けずにいたら明け方は少し寒い。3時に起き出して空を見たが、流星は昨夜の方が多かった。
5:50 出発。今日は本科生が交替で先頭を務める。しばらくチングルマの群落の間を行き、イブリ尾根で眺望が開けると台形が特徴的な犬ヶ岳が遠方に見える。
7:00にイブリ山(1791)。ここに「10合目」の標識があり、北俣ダム近くの「1合目」に向けて下って行く。標柱には標高も記してあるが、6合目あたりから下は実際とかけ離れた数字になっていた。
5合目(8:00)では水場の様子を偵察。5分ほどトラバースした先の沢で、水場まで下らないのは珍しいかも。
北又ダム下の吊橋を渡り、北又小屋に9:50到着。小屋の電話でタクシーを呼び、到着までの間にテントを干す。
タクシーでまず小川温泉元湯へ。熱い内湯で汗を流す。別棟に洞窟大露天風呂があるらしいが時間がないので割愛。ふたたびタクシーで泊駅へ。静かな駅前で見つけた食堂で食事してから乗車、親不知駅まで3駅だが、いやー、歩くのは長かった暑かった。しかし、海抜0mから実直にピークを繋いでいく歩きも性に合っていて楽しい。
■今回のルート(山行時のGPS軌跡を2024年3月時点の地形図に表示)
↑前半(1~2日目)
↑後半(3~4日目)
【付記】
下山後、足の虫刺されの痒みがひどいH方氏は皮膚科を受診。クマザサ等に潜むマダニに咬まれるとライム病、ツツガムシ病に発展する可能性があるという診断で抗生物質他を服用。自分も両足それぞれ数十ヵ所に被害あるも痒みは軽く自然治癒した。これがあるから肌を出していてはいかんのだよね。しかし今回ばかりは日焼け・虫刺されと肌を覆うことでの熱中症との危険を天秤にかけないといけなかった。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://marukoba.asablo.jp/blog/2007/08/11/9673461/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。