2007/3/10(土) 裏妙義 ― 2007年03月10日 00:00
無名山塾同期で、今度四国に転勤になるK山・N氏企画の自主山行。土曜に裏妙義、日曜に表妙義をやり、土曜夜はテントで猪鍋というてんこ盛り企画だが、自分は日曜朝は自宅待機した方がいい状況なので、裏のみ参加。
土曜の参加者は自分ひとりになってしまったので、9日(金)は急遽、K山氏のお宅に泊めていただくことになった。雨の中を新前橋まで迎えにきていただいて、お邪魔するのは2度目。お酒と奥さまの料理、K山氏の獲った鹿の刺身などご馳走になった。慌ただしくてメガネを忘れて出てきたような有様で手土産もなし、かたじけなし。
当日は5時半起床、晴れた。K山氏の車で裏妙義国民宿舎へ。駐車して、K山氏が弁当を食べている間にザックを車に立てかけておいたところ、K山氏が車の位置を直そうとしてザックを轢いてしまう事故が発生。幸い、雨蓋に付けていた温度計が割れた他は、チョコレートなど食料が粉砕された程度で損害はほとんどなかった。
7時過ぎに歩き始め。登山口は国民宿舎前の自然探勝道だが、間もなく「これから先は急峻な岩場や鎖場など危険な場所が多くあります。体力、技術に自信のない人は引き返してください」の警告標識。もちろん無視して(いや、K山氏が写真を撮りたがったので写してあげたが)進む。
時折大岩が転がっている他は、しばらく普通の山道。標高800m付近に丁寧に石を積んだ室があった。入口は狭いが、中は2~3人快適に過ごせそうな広さ。K山氏によると炭焼き小屋とのこと。キツツキの音が聞こえる。気温約6℃。
もう少し行くと笹の葉に薄く雪が乗っている。夕べの雨が一時雪になったのだろう。上がるにつれ、積もっているという程ではないが白が目立つようになってきた。鎖場も出てきて、素手では冷たい。
丁須の頭の手前、鎖付き急傾斜を越え北面に入るといよいよ道が白いが、踏んでみると特に滑ることもない。軽アイゼンは持参しているが、そのまま行く。
丁須の頭の下の鎖場は、まっすぐ上がってから右にトラバース。鎖が少し濡れており、素手では滑りそうなのが嫌らしい。K山氏の着けている滑り止め付き軍手が効果ありそうだ。トラバースには少し雪が付いていて、足を掛けると滑る。ここは鎖に体重を預け、腕を伸ばして岩に垂直になる感じで通過。トラバースが終わったところに直登してくる鎖もあったので、こちらの方が登りやすかったかもしれない。
9時過ぎ、丁須の頭の肩に到着(写真はその手前)。
エアリア(昭文社の山と高原地図)には「丁須の頭には鎖がついているが、危険なので一般登山者は登らないこと」とある。ここを鎖だけで登るのはよほど上手いかバカかのどちらかだろう。足場から鎖に掴まる部分はオーバーハングで、手が滑ったら5~6mの墜落後、岩場を転がり落ちることになる。ヘタすりゃ死ぬ。
鎖にセルフビレイを取りながら上がることにして、狭い岩の上でハーネスを装着。ここもビレイなしで動くのは少々怖い。ハーネスは下で着けておくべきだった。
準備が出来たところで、K山氏が「一応ロープを引いていくか。ビレイしなくていいからね」。ビレイしようにも支点がないし、第一ロープを張ったらトップを引き落とすだけだ。分かってますって。
K山氏、まずセルフを取った上で鎖に掴まり岩に足を掛けてハングを越える。そこから上は見えなくなってしまうが、やがて「確保するからロープ着けて」の声。上に支点が取れたらしい。
自分もロープの他に一応セルフを取って鎖を掴むが、さて最初の一歩が難しい。ここを思い切りよく行ったK山氏は上手い。少しジタバタしてハングの上に立ち、あとはセルフを外して登る。保険のために何らかの確保は必要だが、上部は特に難しくない。
9:30 丁須の頭頂上。K山氏は鎖の基部を支点にしていた。細長い岩の上、それぞれにセルフビレイを取って一休み。周りのギザギザの峰、横川の街、いい眺めである。下の樹林では葉の上で融けた雪がキラキラと光っていた。
下降は懸垂で。と言っても出だしは鎖と岩に手を掛けている。ハングの上から懸垂体勢になるが、肩の岩場は斜め下なので、戻るのがちょっと苦労。降りたところの樹に「丁須の頭」と小さなプレートが付いていた。もう10時近い。
エアリアにいう「展望よい岩稜」は道が不明瞭で上がらなかったが、振り返ると丁須の頭の全体がよく見える。K山氏が丁須というのは金槌のことだと教えてくれたが、なるほど納得。
少し行くと「チムニー内20mの鎖」。鎖の起点から下を覗くと懸垂の方が楽そうだ。30mロープを繋いで降りようと、分担していたロープを出すと...K山氏、なんで2本持ってるの? 二人で3本とは豪勢だが、1本はザックにしまって降りる。
次は赤岩。エアリアではこの先「鎖でトラバース」が二箇所だが、その前に鎖の下りがあった。上からは見づらいが岩に足場が切ってある。トラバースは実際には4ヵ所ほどあるが、本当に厳しいところはハシゴと金網で道が作ってあるので、足元が乾いていれば難しいことはない。それでも、通過してから後ろを見るとかなりの高度感である。
エアリアに「見晴」とある辺りか、浅間山が見えた。噴煙なし、雪少ない。岩の窪みには熊野修験の札が置かれている。日付は昨年12月。信仰の山の割には神仏の姿を見かけないコースだなと、ふと思う。
烏帽子岩や丁須の頭を振り返りつつ、11:30に三方境。
一休みしていると、これから行く谷急(やきゅう)山から単独の登山者が下りてきた。国民宿舎以来、人に会うのは初めて。
ロープ等の不要な荷物をK山氏のザックにまとめてデポし、谷急山へはただ歩くだけ。しかし、エアリアで破線になっているだけあり、後半の急登は木の根やトラロープを掴んだりとかなり厳しい。登山道の下にところどころ氷が見える。沢ではないが滲み出した水が凍ってちょっと氷瀑のようだ。P4、P5・・・とアップダウンを越え、13:00ちょうどに妙義山の最高峰1162mに登頂、三角点にタッチ。傍の樹木に丁須の頭と同じ小さな山名プレート、その隣に熊野修験の札が付けられていた。
やや曇ってしまったが、ここも周囲の山、眼下の高速道路と眺望良好。北西尾根のバリエーションルートへの下り口は、上がってきた道から山頂に向かって右側にある。
休憩の後、往路の急登を今度は転げ落ちないように下り、14:10に三方境に戻る。おや人がいる、と思ったら、K山氏「あれ、来たんかい!」 K山氏の弟さんが国民宿舎からの巡視道を上がってきたのだった。
3人でその巡視道を行くと、これが長い。樹林の中の淡々とした下りだが、三方境から国民宿舎まで標高差500m近く、それなりの傾斜だ。登りルートにはお勧めできないが、秋には紅葉が奇麗だという場所まで来るのはいいかもしれない。エアリアに「馬頭尊」とある石仏が今回お目にかかった唯一の神様だった。
やがて中木川を渡って林道に上がり、15:30 国民宿舎。
登攀要素とハードな歩き要素と両方あって、面白いコースだった。
弟さんの車と2台で温泉「峠の湯」へ向かい汗を流す。K山氏は明日の表妙義に備えて筋肉をほぐすと言っていたが、兄弟揃って長湯だ。弟さんとはここで別れ、K山氏に横川駅まで送ってもらう。
おそらく、四国出発までに会う機会はないだろう。簡単に別れの挨拶。定年後にこちらに戻るとのことなので、それまでに一度、四国の山に行ってみたいものである。
三方境からの下り、杉林の中で花粉を浴びたのか、帰宅後、夜中になってから鼻水とめどなし。歩いている最中は花粉症がでないのが不思議。
■今回のルート
【追記】
この記事を書くために地図を見ていて発見。
谷急山の北、上信越道を挟んで山急(やまきゅう)山があった。碓氷の関所辺りからペアで名づけたものだろうか。上から読んでも山急山、下から読んでも山急山。
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