2013/5/3(金)~5/7(火) 剱岳・赤谷(あかたん)尾根2013年05月03日 00:00

無名山塾の自主山行。リーダーS木・Y氏(女性)で、M井・Y氏(女性)と自分が参加。
番場島から赤谷山に上がり北方稜線から剱本峰を踏んで早月尾根を下りる計画だったが、時間がかかって本峰に届かず、長次郎谷を下りてしかも剱御前小舎に追加の一泊という結末。

■5/2(木)
スーツ姿にでかいザックで通勤列車に乗り、コインロッカーに荷物をデポ。残業後に仕事場のトイレで着替え、ロッカーの荷物を回収して、池袋23時の富山行きバス。

■5/3(金)
馬場島を9時。12℃。晴れから少し雲出てくる。
白萩川を見送ってブナグラ谷の左岸から右岸に移り大ブナグラ谷を跨いで進む。ブナグラ谷を高巻いて赤谷尾根下部の藪を避けようという目論見なのだが、どうも対岸に戻れそうにない。仕方なく大高巻を諦め、戻ってデブリが沢を埋めた箇所を渡る。対岸斜面のトラバースで今回初のロープを出し、ルンゼ脇に取り付く。ここで12時。
やがて急傾斜となり、標高1100~1200m辺(?)で藪に掴まって木登り状態。ちょっと途切れたところで休憩したら、その先で抜け出した。
赤谷尾根の藪をほぼ抜けたところ
その後、足元は再び雪になる。14:30、1370mで赤谷尾根に乗った。
1563.4mピークを過ぎるとまた藪になりそうなので、ピーク手前をL字に掘ってテント設営。16時近くで、行動停止には適当な時間だ。
夜は無風でまったく静かだった。

■5/4(土)
5:30 晴れ、4℃、風少し。
テント撤収時に危うくポールを流しかけるが、樹の周囲の雪が解けた窪地に引っ掛かった。
進んでみると、ピークを過ぎた平坦部もまたテント適地。
赤谷山手前の急登で雪の下が凍っており、M井氏ちょっと滑る。そのすぐ下を上がっていたのでヒヤリとする。
赤谷山手前の急登
赤谷山(2261m)に8:50。山頂は少しガスが掛かって風強く、1℃。ここでブナグラ尾根を来た3人パーティと会う。そちらは夜中に大風だったとのこと。赤ハゲと白ハゲの間に雪庇が出て、ついているトレースもいつ崩れるか分からない、と情報をもらう。
その後、雲多いが晴れ。
赤ハゲ手前のコル
白ハゲ手前のピークに上がる箇所、足元が崩れたら一気に転げ落ちそうで緊張。白ハゲから大窓まではロープ2回出した。
白ハゲを過ぎると曇り、風が出てきた。13:30、大窓で行動停止。テント設営中に完全に曇り、ガスに閉ざされ小雪が降った。

■5/5(日)
5時 晴れ、3℃、無風。
大窓からの急登に2時間半をかけ、多少のアップダウンを経て池ノ平山へ。稜線の一部なので山頂という感じはしないが、そこに上がるには右側岩場に突き当たって樹の生えた斜面を上るトレースと、その左のルンゼを行くトレースがあり、前者を選ぶ。雪面にピッケルを埋めて支点とし、S木氏が登る。岩場で苦戦してようやく上がると眼の上に人がいて、これがボーダー。「どうしてそこにいらっしゃるんですか?」 その後の短い登りも急で、気温上昇につれ雪もグズグズと悪くなって、思わぬ苦労をした。池ノ平山(2555m)に11:30。山頂に雪は着かず、山名を記した板も見えていた。
池ノ平山
         池ノ平山2561ピークから2555ピークへ向かう
稜線上の2505を越え、小窓の手前でガスに巻かれてルート探索に時間を取られた(14時~15時過ぎ)。一人を起点に残してロープを引いて偵察し、良さそうならば残った者も前進。
ようやく進路が定まって小窓(2340m)を横断すると、見上げてため息の出るような大登り。難しくはないが、特にM井氏はかなり疲れている。小窓ノ頭の南の稜線(2600m)に上がったのは17時。しかし、まだ歩かねばならぬ。稜線の雄大な景色が救いだ。
小窓と小窓ノ王の間
小窓と小窓ノ王の間
傾いた日を受けて小窓ノ王の岩壁に自分の影が指す。
小窓ノ王付近
小窓ノ王付近より
小窓ノ王の足元から懸垂下降し、岸壁伝いをひやひやしながらトラバース。それほど難しいと思わずに突入したトラバースだが、踏み込んでから手前に支点があった意味を理解した。19時、やっと三ノ窓に到着し、整地済みのよさそうなところにテントを張って、とにかく潜り込む。手持ちの残ったお湯を飲んで少し落ち着いたところで水作り用の雪を取りに出た。サラサラの雪で少しの水しか出来ず、必要量を作るのに24時過ぎまでかかった。
しばらくは断続的に強風が吹いていたが、夜中はほぼ静か。

■5/6(月)
6:20 晴れ、7℃。午後から山頂は吹雪との予報に登頂は断念して、池ノ谷乗越から長次郎谷を下降することに決定。
池ノ谷乗越に7:30。
池ノ谷乗越より
上天気で、予報を聞いていなければ登頂しないなどあり得ないところだが、思い切りよく長次郎谷を下り、9時、剱沢雪渓に到着。
あとはとにかく歩けば帰れると思ったところが、M井氏が体調不良でペース上がらず、剱沢小屋を通過したのが12時過ぎ。おかしな風が吹き始め、剱沢キャンプ場でとうとう悪天候に掴まった。広い場所にはガス中でも見失わない間隔で旗が立っていて助かるが、ぐずぐずしていると低体温にやられるかもしれない。前方に見えた人影は、もしかすると今時分行動している者を気遣ってくれていたのか。
14時、剣御前小舎まで来て雷鳥沢を覗き込むとガスと強風で視界なし。方角が判るかと不安になったところで小舎に人の気配がする。なんと営業しているのだった。これ幸いと逃げ込んで1泊2食付で\9000、10号室を3人で占拠した。16号室の窓際で携帯電話が使えるとのことで、まず警察に下山日、下山地の変更を連絡。
夕食時にも外は風吹き荒れる。談話室で残った酒とツマミを消費。

■5/7(火)
朝食時、窓の外は昨日と打って変わった好天。しかし、もはや急ぐこともなくノンビリしていたら、7時半の出発時には曇ってしまった。
広い雷鳥坂を下り、次第に晴れてくる中を谷底からみくりが池温泉まで上がると、ちょうど立寄り入浴開始の9時。汗を流してからバスターミナルへ。11時過ぎのターミナルは観光客で一杯だった。
扇沢経由で帰るM井氏と別れ、バスで立山に出る。雪の回廊は初めて通った。電車待ちの間に砂防博物館の無料コーナーを見物し、富山駅前で白魚など食って在来線で帰宅。

■今回のルート
剱岳・赤谷尾根ルート

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://marukoba.asablo.jp/blog/2013/05/03/9456129/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。

Google
wwwを検索 このブログを検索