2007/11/24(土)~11/25(日) 雲取山~三峰山カモシカ縦走2007年11月24日 00:00

何となくパタパタしていて三連休の予定も立てていなかったのだが、晴天で土日は暖かいという予報に出掛けることにした。手近なところで考えると雲取山には登ったことがない。しかし、今さらただ歩いても面白くないので長時間&夜間行動をテーマとする。
カモシカとは無名山塾で夜通し歩くことを言うが、いきなりで自主山行の承認を取る余裕もないので、単独の個人山行とした。

■11/24(土)
10時過ぎ、奥多摩駅を出発。エアリア(昭文社山と高原地図)が小さくて分かりづらいと思っていたら、てきめんに奥多摩むかしみちからの分岐を行き過ぎてしまった(今エアリアを見たら、裏面に拡大図があった!)。戻ろうとすると、通行止めのゲートを置いた林道が目的のルートの方向に向かっている。入ってみると土石流でぶった切られており、それを乗り越えたところが林道末端。そこから見上げる舗装路に這い上がって位置確認し、間もなく縦走路に復帰できた。

初っぱなで30分以上ロスしたが、あとはサクサクと進む。13時過ぎに六ツ石山(1478.8m)。将門馬場(まさかどばんば)から尾根筋コースを取り、14時半に鷹ノ巣山(1736.6m)。頂上標識を背にすると正面に富士山がうっすらと見える。気温13℃で予報通りの小春日和だ。
富士山
高丸山、千本ツツジを経て七ツ石山への登りで日没となった。樹林の中を鹿の群れが走り過ぎる。七ツ石山(1757.3m)は16:40。まん丸のお月様が登ってきた。ヘッドランプを用意し、ザックに熊鈴を付ける。歩き出すと、これが煩(うるさ)いくらいによく鳴る。静かな夜の中、鹿の声を聞きながら歩くのも風流だと思うが、月夜の散歩に出た風流な熊と出会(でくわ)しても困るので仕方ない。
小雲取山では暗い中を山頂標識を捜すがケルンしか見あたらず、目の前に出てきた斜面を上がったら、もう雲取山避難小屋だった。雲取山頂(2017.1m)は18:15。ザックに付けた温度計は氷点下1℃を示しているが、それほど寒いとも思わない。南東に見える夜景は奥多摩の街だろう。月が明るい。
雲取山頂

雲取山荘で山バッジを買い、水場を訊く。エアリアでは山荘と雲取ヒュッテ(閉鎖)の間に水マークがあるのだが、そこが水場という意味ではないらしい。山荘の水場はテント泊を含む宿泊者用ということなのだろう、白岩山の水場の位置を教えてくれた。

大ダワを越えると白岩山と長沢山方面への分岐。エアリアによると、長沢山に向かっても芋ノ木ドッケ(*1)から白岩山へ行く道がある。朝まで時間はたっぷりあるので、芋ノ木ドッケを踏んでやろうと長沢山方向へ進む。
芋ノ木ドッケのピークを下りると三方向(大ダワ、長沢山、白岩山)を示す立派な道標があった。
芋ノ木ドッケの指導標
しかし、白岩山方向に向かう踏み跡がどうも頼りない。進むと間もなく倒木を跨ぐようになり踏み跡も消えてしまう。コンパスを合わせて突破しようとも思ったが藪に阻まれて無理。いくら月が明るいと言っても、夜中に足下の見えない藪こぎはやりたくない。2.5万図にはこの道が載っていないのが少し引っ掛かっていたが、これだけ立派な道標がありながら踏み跡さえないというのも腑に落ちない。おそらく明るいところで見れば簡単に道が見つかるのだろう。40分あまり試行錯誤して結局諦め、先ほどの分岐まで戻った。(*2)
今度は素直に白岩山に向かうと、途中に芋ノ木ドッケへの道標。ここに出るはずだったのか。「健脚向き」とあるが、まさか藪こぎではあるまい。

21時半、白岩山(1921.2m)で休憩。気温4℃で暖かい。さすがにちょっと疲れてきたが10分ほどで歩き出す。
白岩小屋はもう寝静まっていたので、熊鈴を押さえて静かに水場を捜す。それでも多少は鳴ったから、寝付かれずにいた人がいれば、浮かばれない亡霊が外を歩いていると思ったかもしれない。夜中に行動している登山者よりも遭難者の幽霊の方がありそうだ(笑)。それはともかく、水場はここから西側に下った沢。雲取山荘で教わっていなかったら見つからなかったかもしれない。

ここまで来ると、道はよく整備されて自然観察の案内板などもあり、ハイキングコースの感覚である。左手の月光に照らされた山塊(和名倉山周辺)が美しい。急坂を下ってお清平(お経平)が23時半、ちょっと登って立派な休憩所のある霧藻ヶ峰(1523.1m)を静かに通過、三峰神社奥宮のある妙法ヶ岳に向かう。

■11/25(日)
地蔵峠で日が替わった。
縦走路から分岐に入り、0:50に石造りの鳥居を潜ると奥宮までは尾根伝い。杉林の中のごく緩やかな登りだが、夜のマジックで木立の中にあらぬものが見えてくる。行く手にコンクリート製らしい建物があるな、その下には鳥居もある、あれが奥宮であんなところに参道があるのか、と思って近づくと何もない。キツネにつままれた気分で進むと木製の鳥居があって、今度は本物だ。最後に階段とクサリを上がり、石の祠の奥宮に1:04到着。地図では奥宮の手前に1329のピークがあって妙法ヶ岳の頂上のように読めるが、実際にはこちらの方が高いと思う。
祠の左右に控える狛犬はやはりオオカミ系だろう。装飾的ないわゆる狛犬よりもスッキリ精悍な姿をしている。脇の石塔の下には奉納された石の犬が何体も置かれているが、台座の前に場所がなくて裏に回っている奴が健気だ。祠の下にある舞台は修法の場だろうか。歩いてきた山を眺めながら一休み。
オオカミ狛犬
お犬様たち

来た道を戻るとまたコンクリの建物が見えるが、真っ直ぐに伸びる杉の木と月光の影とによる錯覚であることを確認。行きでは奥宮があることを期待しているから建物に見えたのだろうか。
石の鳥居の分岐を右にとって縦走路に戻ると、あとはゆったりとした道で三峰神社に至る。草木も眠る丑三つ時(2時過ぎ)に参拝しようと本殿の横手から入ったら、警報ベルが仕掛けてあって宿直のおじさんを起こしてしまった。
ここからは昔の参拝路を大輪に下りようと思ったのだが、下り口が分からずしばらくウロウロ。結局、本殿横手の職員駐車場への道から入ったが、もっとスンナリした入り口があるはず。
3:50にロープウェイ大輪駅。ここでバスを待つのも馬鹿馬鹿しいし寒いので三峰口まで歩くことにする。車道をどんどん歩いて、三峰口駅に5:23。6時過ぎの始発に乗車。

今回の山行は最初と真ん中と最後で迷ってしまった。そのうち昼間に歩いて道を確認するとしよう。それにしても夜を歩くのは楽しい。

■今回のルート(山行時のGPS軌跡を2023年5月時点の地形図に表示)
雲取山~三峰山ルート(1)
        (1)奥多摩駅~雲取山
雲取山~三峰山ルート(2)
        (2)雲取山~三峰口駅

*1:または「芋木ノドッケ」。2.5万図は「芋木ノドッケ」、エアリアは「芋ノ木ドッケ(芋木ノドッケ)」としている。道中にあった案内板によれば、「芋ノ木」とはウコギ科の落葉広葉樹コシアブラであり、「ドッケ」は「突起」の訛り。しかし、日本人が山の呼び名に「突起」という漢語を使うはずもなく、尖った形状を示す朝鮮語系統の名称と考えるのが正しいのだろう。本来は「芋木ノドッケ」だったものが、「芋木」も「ドッケ」も意味が分からなくなったため、何となく落ち着きのいい「芋ノ木ドッケ」に移ってきたのではないだろうか。
*2:帰宅してからGPSデータを地図に落としてみると、自分は芋ノ木ドッケのほぼピークから下降しようとしたのに対し、エアリアのルートは長沢山方向にもっと下ってからピークをトラバースするようについている。下の地形図で言えば、赤線が自分、「芋木ノドッケ」の「ケ」の下あたりから「芋」の上あたりを通るのがエアリア。三角形になっているエアリアルートの真ん中を突っ切ろうとした訳だが、分岐の道標は確かにそこにあった。謎...
芋木ノドッケ地図

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://marukoba.asablo.jp/blog/2007/11/24/9585379/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。

Google
wwwを検索 このブログを検索