2025/3/1(土)~3/2(日) 八ヶ岳・本沢温泉 ― 2025年03月01日 00:00
T橋・M氏との無名山塾自主山行で、通年営業として日本最高所を謳う本沢温泉へ。今回は温泉がメインで、ついでに硫黄岳まで足を伸ばそうという緩い計画。週末は春のような暖かさという予報だが、ヤマテンによると土曜の晴天が日曜には崩れてきそうだ。
■3/1(土)
7時過ぎ、熊谷駅でT橋氏のクルマにピックアップしてもらい、稲子湯手前の林道分岐の駐車スペースに9時半到着。晴れ、ザックに付けた温度計では10℃もある。林道には雪があり、また「崩壊のため諸車通行禁止」の掲示もあって、ここから歩く。9:40に出発、林道を辿って本沢温泉入口(標高1600m)まで1時間。ここに2台が駐車していた(途中、「本沢温泉入口まで700m」の立札地点にも数台が駐車できそうなスペースがあったが、地図に駐車場マークは無い)。目指す野天風呂の「日本最高所 2150m」看板がある。550mの登りだ。一部ツボ足になるものの全体に雪は良く踏まれており、廃車の置かれたゲート(1850m)を通過、北面をトラバースしていったん稜線に上がる。南面のトラバースに入ると、雪の消えている箇所(桟道の前後)もある。しらびそ小屋方面への分岐より手前で樹林の中を上がっていく手すりは登山道のように見えるが何だろう?沢を跨ぎキャンプ場を過ぎて、13:20、本沢温泉(2100m)に到着。予約した通りに相部屋・夕食付(1万円/人)で受付を済ませ、大部屋の下段隅に入った。スマホは小屋の外と食堂先の廊下で通じた。
荷物を置いて、さっそく野天風呂へ。受付で「靴を履いて行ってください」と言うだけあって、宿から雪を踏んで10分程、標高差50mを登ることになる。夏沢峠へ向かう登山道から分岐し、沢を下に見るトラバースの先に湯船が見えた(下の写真1枚目は湯船側から見た様子)。先に入っていた男性がちょうど上がったところに到着。周りに散乱する板は湯船の蓋か脱衣場の名残か? 足場用にレジャーシートの1枚もあれば便利だが、持ち合わせが無いので適当に服を脱ぐ。
白濁した湯は熱め(道端の泉質表示看板には40.8℃とあった)。T橋氏が以前に来た時は湯音が低く、極寒の中で湯船から出るに出られず1時間も浸かっていたそうだが、今回は気温も高く、気持ち良いの一言。ビールを買ってくるのだった~!互いに写真を撮りあったりするうちに男性グループがやって来た。一緒に浸かっていると、男性らと同パーティの女性も二人(うち一人はトラバースで竦(すく)んでいた)現れたので、名残惜しいが譲ることにした。良く温まって、帰り道でも身体がほかほかしていた。
宿の談話室で缶ビール(600円)で乾杯。もう一つの温泉<石楠花の湯>の男性時間帯を待ち、ビールをもう一つ買って浴場へ。熱めとぬるめに仕切られた浴槽の湯のオレンジ色は鉄分だろうか。先に入っていたグループは間もなく上がって、ゆっくりできた。夕食はテーブル毎に煮るおでん。食堂入口に美味しそうな日本酒や焼酎の瓶が並んでいるが、今日飲めるのは4種で、渓流(⇒ 遠藤酒造場)と高天(⇒ 髙天酒造)(グラス各600円)を頼んだ。温泉に到着してからビール2缶、日本酒2杯を飲んでご機嫌となる。
受信したヤマテンによると明日は「雪(標高2,200m付近より下部では朝から雨で、夜には雪線が2,600m付近まで上がる)が降る時間も」。雪ならともかく雨に濡れたのでは堪らない。朝から雨や雪なら即撤退、降っていなければ硫黄岳に向けて行けるだけ行こう。
大部屋はストーブで十分に暖まり、快適に眠れた。
■3/2(日)
5時起床、昨日買っておいた水(各自1L、200円)を談話室で沸かして簡単に朝食。小屋から見える硫黄岳の上部はガスに隠れているが、まだ降る気配はないのでアイゼンを着けて6時半に出発した。樹林帯の中、トレースを辿って1時間で夏沢峠(2430m)に到着。ガスが近づき、峠より上の木々は風にゴウゴウと鳴っている。並んで建つ山びこ荘とヒュッテ夏沢の間で休憩がてら相談し、今回はここから引き返すことにした。
本沢温泉までに擦れ違った数パーティは何処まで登っただろう。昨日の道を下り、雪の消えた箇所でアイゼンを外す。まだ降り出す様子はなく、どんどん歩いていると暑くなってヤッケを脱いだ。10時前に本沢入口を通過。林道の緩い下りでは路面の雪が融けて流れ、梢の雪か天気雨かが時折落ちてくる。途中、本沢入口に停まっていたクルマが追い抜いて行った。林道に崩壊個所は無かったものの、やはり雪に滑りそうだ。10時半、駐車場所に戻って山行終了。
■今回のルート
■3/1(土)
7時過ぎ、熊谷駅でT橋氏のクルマにピックアップしてもらい、稲子湯手前の林道分岐の駐車スペースに9時半到着。晴れ、ザックに付けた温度計では10℃もある。林道には雪があり、また「崩壊のため諸車通行禁止」の掲示もあって、ここから歩く。9:40に出発、林道を辿って本沢温泉入口(標高1600m)まで1時間。ここに2台が駐車していた(途中、「本沢温泉入口まで700m」の立札地点にも数台が駐車できそうなスペースがあったが、地図に駐車場マークは無い)。目指す野天風呂の「日本最高所 2150m」看板がある。550mの登りだ。一部ツボ足になるものの全体に雪は良く踏まれており、廃車の置かれたゲート(1850m)を通過、北面をトラバースしていったん稜線に上がる。南面のトラバースに入ると、雪の消えている箇所(桟道の前後)もある。しらびそ小屋方面への分岐より手前で樹林の中を上がっていく手すりは登山道のように見えるが何だろう?沢を跨ぎキャンプ場を過ぎて、13:20、本沢温泉(2100m)に到着。予約した通りに相部屋・夕食付(1万円/人)で受付を済ませ、大部屋の下段隅に入った。スマホは小屋の外と食堂先の廊下で通じた。
荷物を置いて、さっそく野天風呂へ。受付で「靴を履いて行ってください」と言うだけあって、宿から雪を踏んで10分程、標高差50mを登ることになる。夏沢峠へ向かう登山道から分岐し、沢を下に見るトラバースの先に湯船が見えた(下の写真1枚目は湯船側から見た様子)。先に入っていた男性がちょうど上がったところに到着。周りに散乱する板は湯船の蓋か脱衣場の名残か? 足場用にレジャーシートの1枚もあれば便利だが、持ち合わせが無いので適当に服を脱ぐ。
白濁した湯は熱め(道端の泉質表示看板には40.8℃とあった)。T橋氏が以前に来た時は湯音が低く、極寒の中で湯船から出るに出られず1時間も浸かっていたそうだが、今回は気温も高く、気持ち良いの一言。ビールを買ってくるのだった~!互いに写真を撮りあったりするうちに男性グループがやって来た。一緒に浸かっていると、男性らと同パーティの女性も二人(うち一人はトラバースで竦(すく)んでいた)現れたので、名残惜しいが譲ることにした。良く温まって、帰り道でも身体がほかほかしていた。
宿の談話室で缶ビール(600円)で乾杯。もう一つの温泉<石楠花の湯>の男性時間帯を待ち、ビールをもう一つ買って浴場へ。熱めとぬるめに仕切られた浴槽の湯のオレンジ色は鉄分だろうか。先に入っていたグループは間もなく上がって、ゆっくりできた。夕食はテーブル毎に煮るおでん。食堂入口に美味しそうな日本酒や焼酎の瓶が並んでいるが、今日飲めるのは4種で、渓流(⇒ 遠藤酒造場)と高天(⇒ 髙天酒造)(グラス各600円)を頼んだ。温泉に到着してからビール2缶、日本酒2杯を飲んでご機嫌となる。
受信したヤマテンによると明日は「雪(標高2,200m付近より下部では朝から雨で、夜には雪線が2,600m付近まで上がる)が降る時間も」。雪ならともかく雨に濡れたのでは堪らない。朝から雨や雪なら即撤退、降っていなければ硫黄岳に向けて行けるだけ行こう。
大部屋はストーブで十分に暖まり、快適に眠れた。
■3/2(日)
5時起床、昨日買っておいた水(各自1L、200円)を談話室で沸かして簡単に朝食。小屋から見える硫黄岳の上部はガスに隠れているが、まだ降る気配はないのでアイゼンを着けて6時半に出発した。樹林帯の中、トレースを辿って1時間で夏沢峠(2430m)に到着。ガスが近づき、峠より上の木々は風にゴウゴウと鳴っている。並んで建つ山びこ荘とヒュッテ夏沢の間で休憩がてら相談し、今回はここから引き返すことにした。
本沢温泉までに擦れ違った数パーティは何処まで登っただろう。昨日の道を下り、雪の消えた箇所でアイゼンを外す。まだ降り出す様子はなく、どんどん歩いていると暑くなってヤッケを脱いだ。10時前に本沢入口を通過。林道の緩い下りでは路面の雪が融けて流れ、梢の雪か天気雨かが時折落ちてくる。途中、本沢入口に停まっていたクルマが追い抜いて行った。林道に崩壊個所は無かったものの、やはり雪に滑りそうだ。10時半、駐車場所に戻って山行終了。
ものはついでと、クルマで稲子湯に上がってもう一風呂(650円)。泉質は単純二酸化炭素・硫黄冷鉱泉で、浸かると金臭い。湯船に注ぐ処に冷たいまま出ているのを口に含むと微かに炭酸の風味がする。まったくの温泉山行となったが、大いに満足した。
道の駅八千穂高原の食堂は満席だったので土産のみ買い、昼食は佐久まで走ってT橋氏お勧めの麺や天鳳(⇒ 食べログ)にて。美味いラーメンだった。■今回のルート
2025/3/6(木) 「ロボット・ドリームズ」 ― 2025年03月06日 15:15
「ロボット・ドリームズ」鑑賞@グランドシネマサンシャイン池袋。
この劇場での上映終了日だったためか、平日にもかかわらず混んでいた。
⇒ 作品公式サイト
スペイン・フランス合作のアニメーション映画。
マンハッタンのアパートに住む寂しい犬が友達ロボットを購入。友情を育んでいくが、ある日ロボットはビーチで動けなくなり、そのままビーチは季節閉鎖。翌年のビーチ明けでの救出を期すが、それまでロボットと犬はそれぞれ相手の夢を見る。互いを求め、また友達を想うこその別れ・・・
セリフやナレーションは一切無く描線もシンプルだが、心情がひしひしと伝わってくる。温かみのある画面と語り口ながら切なく心にしみる良作。
2025/3/11(火)~3/12(水) アカンダナ山~安房峠 ― 2025年03月11日 00:00
T中・H氏と無名山塾の自主山行。焼岳から十石山までを繋ごうという、一昨年に途中エスケープ(⇒ 2023/3/18~3/21 焼岳~白谷山)、昨年同時期に続きを計画したものの都合で中止した山行の完結編とするつもりだったのだが・・・
■3/11(火)
新宿バスタから高速バスで平湯温泉へ。今日はまだ降らない予報だったが、待合室で身支度するうちに小雨になってしまった。14:10、気温2℃。ともかく歩き出す。
あかんだな駐車場入口を過ぎ、国道158号の冬期閉鎖ゲート前から右手の斜面に入る。結構な傾斜の上に時々踏み抜いて潜る。汗をかいてシャツを脱いでいると、東日本大震災の犠牲者を悼む黙祷のサイレン。14年前のあの時は護国寺のビル8階で仕事をしていて酷く揺れ、当日は帰宅できなかったことを思い出す(⇒ 2011/3/12記事)。
上の道路に出ると雨は小雪に変わった。前回下山時の幕営地点を通過し、カーブミラー(標高1500m)から大きな谷地形に入っていく。雪は割合に固く、アイゼンを着けることもない。地形図上の計画では1909m地点の北に泊まる考えだったが、徐々に谷を右に見るように進んで急登をこなすと、1909mの少し下でいくらか広い雪面が現れた。すでに17時半なので、暗くなる前にと整地してテントを張った。自分のテント外張り(プロモンテVL26TS)は今回山行を前に購入(35,200円)したもの。せいぜい使って元を取らなくては。テント内に落ち着くと軽くさらさらと雪の音。ここはスマホの電波が入り、受信したヤマテンによると、明日朝のうちは晴れるが日中から降り出し風も強まる。雪ならばまあ良いが、雨は困る。
■3/12(水)
予報通りに晴れた。まだ暗い中、眼下に平湯温泉の灯が美しい。夜明け前の5:50に出発。
アカンダナ山南西面を眺めると、樹林の間の雪斜面が雪崩の走路に思える。登るなら樹林だが、それも急傾斜で難しそうだ。北側の広い箇所へ回り込んで幾分緩やかな面を登るか・・・と相談し、コンパスを振る。7:50、北側広場に到着。ここにザックをデポして山頂をピストンする。山頂から南東へ下りて県境稜線に繋ぐことも考えたが、前回稜線東側での難渋を思い返すと、稜線に乗るのに苦労する恐れがある。樹林の隙間の登りやすそうな箇所から取り付く。それほどの困難はないものの、時に枝をかわし、あるいは掴み、大岩の際(きわ)を攀じる場面もあり。8時半、アカンダナ山(2109.4m)に登頂した。広い山頂は雪に覆われ、三角点標石は無論、山名板も見当たらなかった。焼岳は3/4に噴火警戒レベル2(登山禁止)に引き上げられたところだが、こちらは静寂の世界だ。眺めは良好。間近に大きく焼岳、その右に続くのは穂高連峰から明神岳、焼岳の左手前に前回苦しんだ白谷山、その左奥に尖っているのは笠ヶ岳。山頂で15分ほど過ごし、北側広場に戻った。
広場から県境稜線へ漸近していくつもりだったが、やや方角がずれて2110m小ピークに上がってしまった。ここで10時前。あとは基本的に尾根を下ればよいのだが、踏抜きを警戒してワカンを避け、アイゼンでのツボ足を通したこともあって案外と時間を要した。そうこうするうち行く手の空に雲が出て、太陽に暈(かさ)がかかる。この気温(8℃前後)で降り出せば雨になる。雪山装備のヤッケやテントに撥水・防水性能はなく、濡れた上に風に吹かれれば低体温の恐れもある。2泊3日の計画だったが、残念ながら今回は1日短縮して安房峠で打ち切った方がよさそうだ。せめて安房山は落としたかったが、リベンジを誓って写真だけ撮った。鞍部を経て、こんもりとした2019mピーク(<安房峠西峰>の山名板あり)に上がると、はや12時近い。ここから峠にかけての県境は単なる山腹斜面で、尾根のような目安になる地形が無い。コンパスを合わせた上でスマホGPSを併せ見て外さないように下りていく。傾斜は出だしから急で、山側を向いてピッケルを刺し、アイゼンを蹴り込む。50m程下るといったん緩むが、その先がさらに厳しくずっと雪壁下りだった。しかも雪が柔(やわ)で、下ろした足が時々沈み込んで抜くのに四苦八苦したりもする。13時過ぎ、ようよう安房峠(1790m)に下り立った。中ノ湯に下山することにしたが、国道歩きも思ったほど楽ではない。相変わらずのアイゼンツボ足で、安房山の北側に回るといっそう雪が深く、雪崩のデブリが出ている箇所まである。途中から小雨となる中、最後のヘアピンカーブのみショートカットして、中ノ湯温泉には15時半過ぎ。アイゼンを外してさらに歩き、16:20、釜トンネルまで下山した。雨が本降りにならなかったのは幸いだが、安房峠からの下りで足にマメができた。
■今回のルート
■3/11(火)
新宿バスタから高速バスで平湯温泉へ。今日はまだ降らない予報だったが、待合室で身支度するうちに小雨になってしまった。14:10、気温2℃。ともかく歩き出す。
あかんだな駐車場入口を過ぎ、国道158号の冬期閉鎖ゲート前から右手の斜面に入る。結構な傾斜の上に時々踏み抜いて潜る。汗をかいてシャツを脱いでいると、東日本大震災の犠牲者を悼む黙祷のサイレン。14年前のあの時は護国寺のビル8階で仕事をしていて酷く揺れ、当日は帰宅できなかったことを思い出す(⇒ 2011/3/12記事)。
上の道路に出ると雨は小雪に変わった。前回下山時の幕営地点を通過し、カーブミラー(標高1500m)から大きな谷地形に入っていく。雪は割合に固く、アイゼンを着けることもない。地形図上の計画では1909m地点の北に泊まる考えだったが、徐々に谷を右に見るように進んで急登をこなすと、1909mの少し下でいくらか広い雪面が現れた。すでに17時半なので、暗くなる前にと整地してテントを張った。自分のテント外張り(プロモンテVL26TS)は今回山行を前に購入(35,200円)したもの。せいぜい使って元を取らなくては。テント内に落ち着くと軽くさらさらと雪の音。ここはスマホの電波が入り、受信したヤマテンによると、明日朝のうちは晴れるが日中から降り出し風も強まる。雪ならばまあ良いが、雨は困る。
■3/12(水)
予報通りに晴れた。まだ暗い中、眼下に平湯温泉の灯が美しい。夜明け前の5:50に出発。
アカンダナ山南西面を眺めると、樹林の間の雪斜面が雪崩の走路に思える。登るなら樹林だが、それも急傾斜で難しそうだ。北側の広い箇所へ回り込んで幾分緩やかな面を登るか・・・と相談し、コンパスを振る。7:50、北側広場に到着。ここにザックをデポして山頂をピストンする。山頂から南東へ下りて県境稜線に繋ぐことも考えたが、前回稜線東側での難渋を思い返すと、稜線に乗るのに苦労する恐れがある。樹林の隙間の登りやすそうな箇所から取り付く。それほどの困難はないものの、時に枝をかわし、あるいは掴み、大岩の際(きわ)を攀じる場面もあり。8時半、アカンダナ山(2109.4m)に登頂した。広い山頂は雪に覆われ、三角点標石は無論、山名板も見当たらなかった。焼岳は3/4に噴火警戒レベル2(登山禁止)に引き上げられたところだが、こちらは静寂の世界だ。眺めは良好。間近に大きく焼岳、その右に続くのは穂高連峰から明神岳、焼岳の左手前に前回苦しんだ白谷山、その左奥に尖っているのは笠ヶ岳。山頂で15分ほど過ごし、北側広場に戻った。
広場から県境稜線へ漸近していくつもりだったが、やや方角がずれて2110m小ピークに上がってしまった。ここで10時前。あとは基本的に尾根を下ればよいのだが、踏抜きを警戒してワカンを避け、アイゼンでのツボ足を通したこともあって案外と時間を要した。そうこうするうち行く手の空に雲が出て、太陽に暈(かさ)がかかる。この気温(8℃前後)で降り出せば雨になる。雪山装備のヤッケやテントに撥水・防水性能はなく、濡れた上に風に吹かれれば低体温の恐れもある。2泊3日の計画だったが、残念ながら今回は1日短縮して安房峠で打ち切った方がよさそうだ。せめて安房山は落としたかったが、リベンジを誓って写真だけ撮った。鞍部を経て、こんもりとした2019mピーク(<安房峠西峰>の山名板あり)に上がると、はや12時近い。ここから峠にかけての県境は単なる山腹斜面で、尾根のような目安になる地形が無い。コンパスを合わせた上でスマホGPSを併せ見て外さないように下りていく。傾斜は出だしから急で、山側を向いてピッケルを刺し、アイゼンを蹴り込む。50m程下るといったん緩むが、その先がさらに厳しくずっと雪壁下りだった。しかも雪が柔(やわ)で、下ろした足が時々沈み込んで抜くのに四苦八苦したりもする。13時過ぎ、ようよう安房峠(1790m)に下り立った。中ノ湯に下山することにしたが、国道歩きも思ったほど楽ではない。相変わらずのアイゼンツボ足で、安房山の北側に回るといっそう雪が深く、雪崩のデブリが出ている箇所まである。途中から小雨となる中、最後のヘアピンカーブのみショートカットして、中ノ湯温泉には15時半過ぎ。アイゼンを外してさらに歩き、16:20、釜トンネルまで下山した。雨が本降りにならなかったのは幸いだが、安房峠からの下りで足にマメができた。
■今回のルート
2025/3/21(金) 棒ノ嶺~大仁田山 ― 2025年03月21日 00:00
最近気付いたのだが、これまでほっつき歩いてきた結果、埼玉県境が北は神流湖から西へ回って三国峠、甲武信ヶ岳、東へ向きを変えて雁坂峠から雲取山、そして都県境尾根を棒ノ嶺まで来て、権次入(ごんじり)峠の先の黒山までが繋がっていた(ルートを誤って県境線を外した箇所もあるが)。
山を辿れる限りの県境を歩き尽くしてやろうと、トレッキングシューズの履き馴らしを兼ね、好天を選んで出掛けた。
東飯能駅からバスでさわらびの湯へ。
9時半過ぎに出発。トイレの先から坂を下り、橋を渡って滝ノ平尾根に入る。地形図496m地点のベンチ辺りから足元に融け残りの雪が出てきた。白地(しきじ)平(730m)のベンチで休憩。滝ノ平尾根では足跡のみで人は見なかったが、白谷沢ルートとの合流でそちらを上がってきた二人パーティと擦れ違った。以後、棒ノ嶺の前後は登山者多数あり。
権次入峠(893m)に11:10。一昨日はかなり降った様子で雪が深く、陽射しの反射が眩しい。棒ノ嶺は計画に入れていなかったのだが、時間に余裕があるので山頂(969m)を往復した。11時半、権次入峠に戻り、指導標に従って小沢(こさわ)峠へ向かう。植林の間に伸びるルートの雪はしっかり踏まれていた。黒山(842.3m)には<奥武蔵ロングトレイル105k>のプレート付き山頂標が建っていた。ここにいた単独男性が、今回山中で会った最後の人間。雪を踏み、畠山重忠の伝説の残る馬乗馬場(776m手前の平坦地だが、杉が立ち並んでいて馬を自在に走らせるのは難しい)を過ぎる。689mにはロングトレイルの<長久保山>標あり。所々に旧名栗村の指導標も残っている。都県境が660mで方向を変える地点を登山道が南側に回り込むと、雪も薄くなった。550m付近に祀られた<熊野三社大権現>碑はくっきりした彫りの割にずいぶん古く、寛政11(1799)年のものだ。傍らに石祠もあり、ここには南の集落から上がってくる道(地形図の徒歩道)があったのだろう。そろそろ小沢峠のはずと思っていると、ずいぶん広く歩きやすい道になって高度を下げて行く。気付かぬうちに峠を過ぎて集落へ出る道に入ったのでは?と引き返してみると、道標も何もない分岐があり、目立たない方の道を下りたところが小沢峠だった。地図に未記載の作業道に引き込まれたようだ。
小沢峠には先ほどの作業道と同様の広い道から外れて成木尾根を久方(くがた)峠・細田・安楽寺へと導く案内が付いている。久方峠は都県境上の次の峠であり、細田も地図で大仁田山の近くに見えるが、安楽寺は何処だか判らない。山と高原地図「奥多摩」の2021年版では小沢峠と大仁田山の間にルート表記は無いのだが、踏み込んでみると普通の登山道で、小沢峠~安楽寺の方向を示す案内プレートが随所にある。さらにロングトレイルのルートにもなっているから、最新版では破線ルートくらいにはなっているかもしれない。
久方峠には「現在、久林に降りる道は、ありません。」の注意喚起あり。この辺り、しきりに作業道が絡んでくる。峠からひと登りした460m辺の木の根方に「黒山」のプレートが置かれていた。権次入峠近くの黒山との混同があるのか、あるいは双方とも昔日の植生からでも呼びならわされてきたものか。ロングトレイルの<大峰山 505m>標柱を見、登山道が分岐する箇所に<細田 大仁田山/丸屋の頂 安楽寺>の指導標あり。都県境から離れ、今回最後の頂、大仁田山(505.4m)に14:20。一休みしてから下山先である上赤沢のバス時刻を確認すると、15時の次は15:57。15時便に間に合わせるべく急いで下りる。もはや雪もなく歩きやすいが、最後に笹薮の細い踏み分けに突っ込んだのは、他に道があったのか? 車道に出てわずかに進むとバス停だった。14:50、山行終了。
帰宅後、地図上で都県境をずっと辿って尾根が住宅地に下りる地点に安楽寺(⇒ おうめ観光ガイド)を発見した。いずれ、大仁田山から繋いでみるか。
山を辿れる限りの県境を歩き尽くしてやろうと、トレッキングシューズの履き馴らしを兼ね、好天を選んで出掛けた。
東飯能駅からバスでさわらびの湯へ。
9時半過ぎに出発。トイレの先から坂を下り、橋を渡って滝ノ平尾根に入る。地形図496m地点のベンチ辺りから足元に融け残りの雪が出てきた。白地(しきじ)平(730m)のベンチで休憩。滝ノ平尾根では足跡のみで人は見なかったが、白谷沢ルートとの合流でそちらを上がってきた二人パーティと擦れ違った。以後、棒ノ嶺の前後は登山者多数あり。
権次入峠(893m)に11:10。一昨日はかなり降った様子で雪が深く、陽射しの反射が眩しい。棒ノ嶺は計画に入れていなかったのだが、時間に余裕があるので山頂(969m)を往復した。11時半、権次入峠に戻り、指導標に従って小沢(こさわ)峠へ向かう。植林の間に伸びるルートの雪はしっかり踏まれていた。黒山(842.3m)には<奥武蔵ロングトレイル105k>のプレート付き山頂標が建っていた。ここにいた単独男性が、今回山中で会った最後の人間。雪を踏み、畠山重忠の伝説の残る馬乗馬場(776m手前の平坦地だが、杉が立ち並んでいて馬を自在に走らせるのは難しい)を過ぎる。689mにはロングトレイルの<長久保山>標あり。所々に旧名栗村の指導標も残っている。都県境が660mで方向を変える地点を登山道が南側に回り込むと、雪も薄くなった。550m付近に祀られた<熊野三社大権現>碑はくっきりした彫りの割にずいぶん古く、寛政11(1799)年のものだ。傍らに石祠もあり、ここには南の集落から上がってくる道(地形図の徒歩道)があったのだろう。そろそろ小沢峠のはずと思っていると、ずいぶん広く歩きやすい道になって高度を下げて行く。気付かぬうちに峠を過ぎて集落へ出る道に入ったのでは?と引き返してみると、道標も何もない分岐があり、目立たない方の道を下りたところが小沢峠だった。地図に未記載の作業道に引き込まれたようだ。
小沢峠には先ほどの作業道と同様の広い道から外れて成木尾根を久方(くがた)峠・細田・安楽寺へと導く案内が付いている。久方峠は都県境上の次の峠であり、細田も地図で大仁田山の近くに見えるが、安楽寺は何処だか判らない。山と高原地図「奥多摩」の2021年版では小沢峠と大仁田山の間にルート表記は無いのだが、踏み込んでみると普通の登山道で、小沢峠~安楽寺の方向を示す案内プレートが随所にある。さらにロングトレイルのルートにもなっているから、最新版では破線ルートくらいにはなっているかもしれない。
久方峠には「現在、久林に降りる道は、ありません。」の注意喚起あり。この辺り、しきりに作業道が絡んでくる。峠からひと登りした460m辺の木の根方に「黒山」のプレートが置かれていた。権次入峠近くの黒山との混同があるのか、あるいは双方とも昔日の植生からでも呼びならわされてきたものか。ロングトレイルの<大峰山 505m>標柱を見、登山道が分岐する箇所に<細田 大仁田山/丸屋の頂 安楽寺>の指導標あり。都県境から離れ、今回最後の頂、大仁田山(505.4m)に14:20。一休みしてから下山先である上赤沢のバス時刻を確認すると、15時の次は15:57。15時便に間に合わせるべく急いで下りる。もはや雪もなく歩きやすいが、最後に笹薮の細い踏み分けに突っ込んだのは、他に道があったのか? 車道に出てわずかに進むとバス停だった。14:50、山行終了。
帰宅後、地図上で都県境をずっと辿って尾根が住宅地に下りる地点に安楽寺(⇒ おうめ観光ガイド)を発見した。いずれ、大仁田山から繋いでみるか。
■今回のルート
2025/3/25(火) 「Flow」 ― 2025年03月25日 14:05
「Flow」鑑賞@TOHOシネマズららぽーと富士見。
⇒ 映画公式サイト
ラトビア・フランス・ベルギー合作のアニメーション作品。
最初、主人公の猫などの質感を絵筆のタッチかと見紛(みまが)うが、全編CGだ。その絵柄で描き出されるのは不思議な世界。人間は滅びたのか去ったのか、残されたアトリエや石造物、また、森や岩の尖塔を洪水が洗う。
主人公のネコはカピバラの乗ったボートに拾われ、やがてキツネザルやイヌ、ヘビクイワシが加わる。どうも同種の群から離れた者たちのようだが、乗り合わせた異種同士の間に助け合う心や友情が芽生えていく。これを、一切セリフなし、擬人化を排したそれぞれの動物の鳴き声や仕草で表現している。
動物たちはボートの舵を取るなど知能が高く、水中にはクジラに似た神のごとき巨大生物が遊弋して、舞台が地球でないことを窺わせる。あるいは遠い未来なのかもしれない。
この世界に揺蕩(たゆた)って過ごす1時間半は心地よい。
最近のコメント