2024/12/27(金)~12/29(日) 白峰南嶺(初戦敗退) ― 2024年12月27日 00:00
無名山塾のT中・H氏、S谷・A氏が年末年始に北鎌尾根を計画、そのサブプランが以前にT中氏と二人で敗退した白峰三山(⇒ 2021/12/28~12/30 北岳(敗退))なので、サブになった際には加えてもらう予定でいた。ところがT中氏インフルのため計画全体が白紙に。ならば単独で適当な処を、と考えた。
以前から繋いでみたかった転付(でんつく)峠~大門沢(だいもんざわ)下降点は厳冬期には少々長過ぎるので、今回は奈良田(ならだ)から上がって広河内岳(ひろこうちだけ)~笹山を縦走、奈良田に下りる周回ルートとしよう。2泊3日で一日の行動が10時間超となりそうだが、大門沢下降点までは農鳥岳登山者のトレースを当てにできるだろう。
しかし実際は想像以上に雪が深く、トレースもほぼ皆無。雪山テント泊装備を背負っての一人ラッセル&ルートファインディングで行程が伸びず、大門沢下降点さえも届かずに時間切れ撤退となり、思わぬボッカラッセル訓練に終わった。白峰南嶺は時期を変えて再挑戦することにしよう。
■12/27(金)
あずさ1号から身延線、はやかわ乗合バスと乗り継ぎ、奈良田温泉到着は12:55。予報は晴れだったが、曇って時折小雪が舞う。身支度して13:15に出発。
まだ雪は積もっていない道を1時間で登山道入口に至り、「立派な吊橋」(昭文社山と高原地図、手持ちは2018年版)を渡って堰堤を過ぎる。と、道が分岐し、どちらにも「登山道」の矢印が。上へ行く道は先に見える橋に繋がるようだ。近くの看板には図解入りで、工事のため登山道は川を渡って橋を迂回、とある。地図でも「堰堤から上流は河原を歩く」だ。
図解に従って河原に下りるが、適当な渡渉箇所がない。上流へ向かったり戻ったりした挙句に危なっかしく流れを跨いで進むと、なるほど手すり付きで急登する迂回路があった。ところがその先で合流した道には、橋へ向かう方に「登山道 奈良田方面」の矢印。橋を渡れるのではないか! 古い道案内は撤去して欲しいものだ。間違った案内のおかげで20分以上ロスした。
「大きな岩」を見る頃に足元が少し白くなってきたが、「ジグザグの急坂注意」の八丁坂は雪ではなく落葉のラッセル。そこを上がると地面が雪に覆われるようになった。雪は徐々に深くなるが、沢沿いの岩がゴロゴロした道ではアイゼンを着けるタイミングがない。そこに木橋や鉄パイプの桟道が現れ、軽くスリルを味わう。
それにしても雪の上に人が通った跡が無い。17時を過ぎて薄暗くなり、ヘッドランプを点灯。赤テープが見えず、ルートが判りづらい。もう大門沢小屋のはずだが道は何処だ・・・と思ったら、小屋へ上がる道を示す赤テープを見落としていた。
17:40、大門沢小屋に到着。避難小屋には誰も入っていなかった。当然テントを張っている人もいないが、水はテント場の隅に出ている。小屋内の「お気持ち」の料金箱に1000円入れて、細かく区切られたスペースを一つ使わせてもらう。
20時半頃、小用(外トイレの個室は床に穴が切ってあるだけのワイルドさ。男子小用のアサガオが別に一つある)に出ると、一部に雲はあるものの星が見えた。小屋内は-3℃。夜中、周囲でカサカサパタパタと物音がするのをライトで照らすとネズミだ。
■12/28(土)
ネズミは糞を残していった。小屋内が飲食禁止とされているのは、ネズミ対策か?
昨日はここまでスパッツさえ着けずに来てしまったが、今日はオーバーズボンにスパッツ、アイゼン装着の上で5:40に出発。雪、-6℃。しかし、ヘッドランプの視野内で道と思えるところを行くと行き詰ってしまう。行きつ戻りつしてようやく進路が定まる頃には明るくなった。30分ほどもロスしたか、夜明けを待って出発した方が良かった。
その後もノートレースで次第に深くなる雪の中、時々ルートファインディングで行き悩む。沢を渡って高度を上げて行き、標高2000mを越えると雪も深まり、膝辺りまでくる。しかし、サラサラとした雪の下にしばしば岩が隠れており、ワカンに替えたところで潜るのは同じだし、岩を踏む際にはアイゼンの方が適している(ワカンは今回、ザックに付けたままで終わった)。
2000m地点で既に8時半。このペースで計画通りに縦走しようとすれば稜線上での泊りとなり、明日の下山もおそらく無理。ガスを1缶しか持っていないので山中3泊は厳しい上に、下山遅れを連絡できる保証もない。今日は12時まで行動して大門沢小屋に引き返すことにしよう。
そう決めて雪を掻き分けていくうち、左足が斜めの岩をガッと踏んでアイゼンがずれた。次の休憩時に締め直そうと、もう少し頑張って9:40、2140m。腰を下ろしてみると左アイゼンが無い!?「ハイィ?」と声が出た。雪の上に足が出ない状態で雪を踏んでいる限りでは、アイゼンの感触は判らないのだ。何処に埋まっているか知れないアイゼンを探すためザックを担いで下り始めると、幸いなことにすぐ数メートルの地点で見つかった。やれやれ。
気を取り直して標高を上げ、2250m辺りからいよいよ大門沢下降点へ向けての急登。ますます雪が深まり、場所によって腿まで、さらに斜面に直面すれば腰まで潜る。赤テープの乏しい区間もあって、上がるのか?トラバースするのか?と見極めながら悪戦苦闘。12時となり、到達高度2420m。
ここまでの行程で自分以外の足跡は、道が明瞭でラッセルも不要な区間に一部だけ、昨日か一昨日と思われるものが見られただけだった。その人はラッセルになる前に引き返したのか、ラッセルしたのだが降雪や風で消えてしまったのか。
登りに6時間以上かけたので下り4時間と想定したのだが、あっさりと14:45、小屋に戻った。やはり無人の小屋の、昨日と同じスペースに収まって、また協力金を1000円入れる。夕方になると窓の外に青空が見えた。
■12/29(日)
奈良田まで地図のコースタイムで3.5時間、小屋前の案内プレートで3時間。9時50分のバスに間に合わせるべく、6時に出発。好い天気だ。
自分の足跡を辿るだけと思ったのだが、昨日の降雪で消えている部分もあり、小屋から沢に下りて丸太橋と思ったのがただの倒木だったり、巨大な三角岩の近くで左岸から右岸に渡る橋を見落として行き詰ったりなど。八丁坂を下りて雪がすっかり薄くなったところでアイゼンを外した。安全地帯まで下りて今回初めて人(夫婦らしい二人)と擦れ違い、その後バス停までに単独男性、男性二人パーティと続く。皆さん年末年始登山は天気を見て今日からですか。
9時40分にバス停に到着、ピッケル、シャベル等を慌ただしくバッグに収めて乗車。途中、地元のお年寄りや七面山登山口で登山者を拾い、下部温泉駅へ。ニュー梅月で土産に下部まんじゅうを買ったら、身延町商工会のキャンペーン「みのぶをゆるっと巡ろう!」で「ゆるキャン△」マグネットをくれた。線路反対側のヘルシースパサンロードしもべの湯で忙しく入浴し、さっぱりしてからワンマン電車に乗った。
■今回のルート
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