2017/5/3(水)~5/5(金) 毛勝山2017年05月03日 00:00

無名山塾の自主山行。リーダY田・M氏と自分の二人パーティ。計画は片貝第四発電所から大明神山への尾根に乗り毛勝三山を踏んで戻る3泊4日だったが、出だしで躓いて、短い毛勝谷ルートで毛勝本峰のみ登頂した。
毛勝山の読みは、地形図の見出しや『日本山名総覧』では「けかつやま」だが、ネット検索すると「けかちやま」と混在している。

■5/3(水・祝)
新幹線かがやきの立ち乗りで富山へ、あいの風とやま鉄道に乗り換えて魚津に9:22。道路が開通している片貝第四発電所までタクシー\6720。駐まっている車の多くは山菜取りらしいが、登山者もいる模様。10時半、晴れているが薄い雲があり、太陽が暈を被っている。
ここから大明神山への尾根へは送水管脇を上がる。片貝山荘方面への道に入ってみたり少しうろついてから、11時に登り始め。プレートによると送水管の有効落差221.20m、本管の鉄管延長434.117m。狭くて長い階段を上がるだけで大汗をかいて青息吐息だ。
片貝第四発電所送水管
送水管上端からは南へ向かう巡視路らしい道があるが、辿ってみるとかなり荒れており、念のためロープを出す箇所もある。しかし、ほぼ水平に進むばかりで尾根に取り付く気配がない。送水管上端に戻って改めて周囲を探ると、空身で木登りのようによじ登った藪の中に赤テープがあった。この藪斜面を重いザックを担いで登るのは到底無理だ。この赤テープや計画の参考にした記録は、雪が藪を隠した時のものなのだろう。今は谷に残っている以外はかなり上まで行かないと雪がない。大明神山は諦め、片貝山荘まで行って阿部木谷~毛勝谷経由で登頂できないか確認することとした。谷を上り下りするのは雪崩リスクもあるので慎重になる。
せっかく登った階段を転げ落ちないように注意して下ると早くも14時。休憩後、ところどころ雪の押し出している道を1時間ほど行くと発電所が見えた。しかし、近くにあるはずの片貝山荘は見当たらず、あるのは廃屋っぽい発電所宿舎のみ。首をかしげながら阿部木谷に沿って折れ、少し行くと道脇にテント適地があった(標高740m)。堰堤下で水も取りやすいのでここに泊まることにする。15時半、もう道を通る人もなく、ゴウゴウという沢の音を気にしなければ静かなものだ。
※帰路、インターネットに接続できてから確認したところ、片貝山荘は先ほどの廃屋のような宿舎で、発電所の東又寮を転用しているのだった。今回は事前にそこまで把握していなかったが、それにしても看板の1枚くらい出しておいてもよさそうな...
片貝山荘

■5/4(木・祝)
3時起床。雪の状態次第でどこまで行けるか分からないが、13時になったら引き返すと決めて4:50出発。晴れ、9℃。
地形図の994m地点近くまでは阿部木谷に沿って道があるが、宗次郎谷を分けて、右岸から左岸に堰堤の上を渡るともう見えなくなる。その先の小屋は第四発電所の送水管に繋がる取水口のようだ。
標高1000mを越えたところで谷は南に向きを変え、幅も狭くなる。ルート上に雪崩のデブリはあるが、もう落ちきってしまい、新たな発生はなさそうだ。ただし、左右からの落石はいつあるか分からない。最初からここを歩く計画ならヘルメットを用意するところである。
7:20、1234mを過ぎて大明神沢を分け、毛勝谷に入る。年配の単独行者(後で聞いたら今年70歳!)が先行していて、後から若者が追い抜いて行った。その他、登っているうちに数パーティが後ろに見えてきたのは片貝山荘に泊まった人たちなのだろう。毛勝谷の出だしは幅も広く傾斜も緩やかだが、斜度が徐々に増していき、1550mを超えた地点でアイゼン装着。行く手の谷は再び狭まり、奥は右に曲がって見通せない。ここまで自分はTシャツで来たが、肌を露出して滑落すると痛いことになるので、暑いがシャツを羽織った。
トレースを追って急斜面を汗をかきながら1時間ほど登り、斜面上に出ている岩と樹木の陰なら落石を避けて休憩できるだろうと行ってみると、二人用テント程度のビバーク跡があった。腰を下ろして下を見るとずいぶんな急斜面で、大人しく寝ていれば安全だが夜中にトイレに出て踏み外したらそのまま・・・というロケーションだ。しかし、標高1880mからの眺めは抜群。追ってきたトレースはここに泊まった人のものだったらしく、他の登山者のいる谷底の本流から少し右(南)にそれてしまった。
トラバース気味に本流に復帰し2000m付近まで高度を上げると、谷が二股になっている。右の方が広く、毛勝山の北峰(山頂)と南峰の間に出るようだ。左は直接山頂に向かうらしい。年配男性は右へ行き、別の単独男性が左に先行している。我々は左に行くことにした。
毛勝山の登り
急斜面を直登していくと2250mでハイマツにぶつかった。先行男性は左に避けたがそちらが特に良さそうにも思えないのでそのまま突っ込む。枝に引っ掛かってバランスを崩したりしないよう慎重に潜りあるいは踏み越えて雪面に出るとようやく傾斜が緩み、11:45 毛勝山(2414.5m)登頂。
平らな山頂にはテント跡のブロックが4つほど残っていた。ここにテント泊装備を持ち上げるのは大変だったろう。先ほどの男性が先に着いていて、ハイマツを避けたルートも危ない箇所があったとのこと。360度の大パノラマを眺めながらゆっくり休憩。剱岳をバックに記念撮影したり、40分ほどを過ごした。
毛勝山頂
脱水気味でヘロヘロだし、決めておいたリミット時刻も近いので、南峰は割愛して下山することにする。鞍部に向かっていると年配男性が登ってきた。南峰を踏んでからこちらに来たらしい。
鞍部からの下りは雪がグサグサ。ポールしか持っていない人は急斜面を後ろ向きに下りている。やはりこういう場所では滑落停止に使えるピッケルに限る。もっとも、実際に停止できるかと言えば、この急傾斜と緩んだ雪では難しいかもしれない。しかし斜度以外に困難はなく、登りもやはりこちらがよかった。時間が経つにつれて雪はますます緩み、ザラメになってアイゼンが利かない。そんな中を大きなザックで登ってくるパーティは頂上に泊まるのだろうか。下りでもそれなりに筋力を使って草臥(くたび)れてくるのを、傾斜が緩み落石の心配もない場所まで・・・と足を出していたら、結局、大明神沢を分ける1234mのすぐ上まで、標高差1100mを2時間近くかけて一息に下ることになった。
あとはのんびり、道端に出ているフキノトウから若いのを選んで摘んだりしながら歩き、15:20 テントに帰着。Y田氏は近くからコゴミも採ってきた。装備を干したり豊富な水流で汗を拭ったりしていると年配の男性が戻ってきて会話。山頂で我々の踏み跡を見て「こんなところを上がった奴がいる」と写真を撮る人もいたとのこと。今年70歳と聞き、自分はその年にはどうなっているかと思う。フキノトウとコゴミは茹でて夕食の海藻サラダに混ぜて頂いた。

■5/5(金・祝)
4時起床、テントを畳んで6:10出発。晴れ、11℃。
道端の山菜や花を見ながら歩いて第四発電所を通過、片貝山ノ守キャンプ場に8:20。公衆電話で呼んだタクシーの運転手は一昨日のオバチャンで、魚津で入浴できるところはないかと訊くと、辻わくわくランドに着けてくれた。
魚津からは富山に戻って新幹線のつもりだったが夜まで空席のないことが判明、高速バスもない。もともと明日帰宅の予定で今日はオマケの一日なので、鈍行でゆっくり魚津→泊→直江津→越後湯沢→水上→高崎→小川町と行くことにした。あとはY田氏も東武東上線で帰れる。昼時の泊で乗換時間があるので海産物を食って・・・と思ったのだが、降りてみると何もない。昭和で時が止まったような食堂で焼き飯を注文し、食後に静かな町を歩いた。お寺が3件も並んでおり歴史を感じさせるが、詰まるところ、新幹線の停まらない駅は人の通行が減り、路線もJRから切り離されて第三セクターとなって寂れる一方ということか。直江津でも降りてみたが、やはり閑散としていた。新幹線は便利だが、周辺の街から活気を奪っているのだとしたら残念なことだ。他の乗換駅では時間的に弁当も買えないまま、小川町に21時。思わぬ大旅行だった。

■今回のルート(山行時のGPS軌跡を2023年3月時点の地形図に表示)
毛勝山ルート

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