2011/4/29(金)~5/1(日) 越後駒ヶ岳~中ノ岳(敗退) ― 2011年04月29日 00:00
無名山塾の自主山行。自分の企画にI干・S氏、T口・H氏が参加して3人パーティ。
T口氏とは2008年11月に雪に阻まれて登頂できなかった駒ヶ岳(http://marukoba.asablo.jp/blog/2008/11/22/9281041)のリベンジ+その先の縦走となる。
が、今回もまた全行程を完遂できず、復讐ノートに1項目が書き加えられたのだった。
●4/29(金・祝)
朝の列車で小出へ。タクシーは大湯までしか入れないとの話で、実際道路には通行止めのポールが渡してあったのだが、とりあえず除雪してある様子なので少し先まで入ってもらう。そこから10分ほどの歩きで駒ノ湯への入口。ここまで除雪は済んでいて、温泉の営業準備らしい車両が入っていた。
路上で身支度をして9時に行動開始。晴れ、気温9℃。
前回11月と同じく板一枚の吊橋を渡って尾根を上がっていくとすぐに暑くなる。
雪にはまだ新しい踏み跡がついている。夏道が出ているところにはイワウチワが咲いていた。ショウジョウバカマやツボミだったり開いたりのカタクリも少し。
適当に休憩しつつ登って小倉山(おぐらやま、1378m)に12:15。1泊してここまでしか来られなかった前回と比べると楽なものだ。11月の新雪で苦労したクサリ場の急登も気づかないうちに通過していた。しかし、次第に曇ってきて小倉山では時折風花のような小雪が舞う。それでも気温は12℃。
小倉山から先には、赤布を付けた篠竹が一定間隔で立ててあった。1459m付近の平坦部で急に雪と風が激しくなり、オーバーヤッケを着用。
だがこれは一時的なもので、駒ヶ岳に向かって斜度がきつくなり、ガスの中に入ると風雪は収まった。こうなるとヤッケを着ているのが暑い。一度、雪崩の音が聞こえた。
1763m地点手前の斜面で小休止していると地元の山対協(山岳遭難防止対策協議会)の人たちが下ってきた。パトロールして赤布を立ててきたとのこと。連休中の登山者を見越してのサポート、ご苦労様です。その他、下りてゆく山スキーと擦れ違う。
ガスの中、赤布を目印に進む。目印がないと広い雪面上では進路に迷ったかもしれない。雪に走る割れ目や足元の狭い岩場に用心しながら進み、駒ノ小屋に14:40着。
まだ新しいきれいな避難小屋で、我々3人の貸切だった。押入れに銀マットや毛布も用意されており、協力金\2000/人を置いて使わせてもらう。I干氏もT口氏もほとんど酒を飲まないので、やることもなく19時前に就寝。
●4/30(土)
テントと違って小屋は広い分、寒い。就寝が早すぎたこともあって明けるのが待ち遠しい夜だった。
6:17 行動開始。薄曇り、2℃。オーバーズボンは暑そうだが、下り坂との天気予報なので着用して出発。踏み跡に従って100mほど高度を上げ、小さな雪壁を乗り越えると山頂に続く平坦部に出る。越後駒ヶ岳(2002.7m)山頂に6:42。山頂標識の傍らに行者像がいる。とりあえず前回のリベンジは果たした。空は晴れてきて周囲は雪が落ちかけてだんだらの山また山。ザックを下ろして暫し山座同定する。やや風が出てきて気温は5℃。
山頂で15分ほどを過ごしてから行動再開、中ノ岳へ向かって南下する。古い踏み跡が見え隠れするが風に消されてほぼノートレース。
なだらかな尾根を下りてグシガハナへの分岐を過ぎると風が強くなり、飛雪が顔に当たって痛い。1933mの手前でアイゼンを装着。
1933mを越え、地形図で左右が崖マークになっている箇所で逡巡する。下った先に道は見えているのだが、雪壁を下降するのに確保支点が取れない。それなら少し戻って右から岩場を回り込めるか? ところどころ岩の出る斜面を慎重に下り、補助ロープを付けてその先を偵察してみると、藪か、あるいは崩れたら埋まってしまいそうな雪の切れ目に阻まれる。
仕方ない真っ直ぐに行こう、無理なら引き返すしかないと、先ほどの地点に戻って支点を考える。と、右手、目の高さの枝に黄色(元は赤と思われる)のテープが巻いてあるではないか! 雪壁を下らずとも夏道が出ていたのだった。岩が顔を出している道をアイゼンを軋ませながら下り、平らになったところで休憩。ここで9:20。ルートを探して1時間をロスした。
1729m付近の天狗平は難なく過ぎ、再び登りにかかると、尾根上はシュルンドや雪壁で危なそうに見える。右側を少しトラバース気味に行こうかと思ったらハイマツやシャクナゲの藪こぎになってひどく消耗した。
ようやく藪を抜け出しても難所の檜廊下はまだ先だ。しかし、尾根は細く岩っぽくなり、右手から檜が被さり、左手は雪がブロックになって落ちている。短い急斜面を、保険でロープを樹に掛けて降りたところ(地形図の「檜廊下」の文字の手前、1800mの等高線付近)で、いよいよ尾根上を直進できなくなった。左斜面にちょうど段差のついた岩があり夏道が通っているかと思われるのだが、その先は雪に覆われて足元がどうなっているのか判らない。ロープを付けて偵察の上、いったん戻ってあらためて30mロープいっぱいまで進む。胸の高さの手近な樹木にロープをフィックスしてI干氏はそれを伝い、T口氏も一応確保の体勢を取って渡ってきた。
そこからは確保なしで少し進めば尾根上に復帰できるので、I干氏、T口氏の順に上がった。自分はロープを片付けていたのだが二人から「ロープは置いたままでいいから来て」と声がかかる。行ってみると先のルートが見渡せるのだが、果たして行けるのか?という相談だった。駒ヶ岳から中ノ岳までの半ば以上を来たとはいえ、時刻はすでに12時、ここまでに5時間を要している。この先が檜廊下の本番で、しばらくルートの状況は変わらなそうだ。無理のない時間で中ノ岳避難小屋は無理か。また藪やルート偵察に手間取るうちに天気が崩れたらやっかいだ... と考えて、今回はここまでとすることに決定。お互いに写真を撮り、周囲を眺めてから引き返す。ううむ、残念。
戻りは足場が判っているのでロープも使わず、藪こぎした箇所も反対側から見ると雪の上を進めた。しかし気温が上がって雪が緩んだか、踏み抜いて腿まで落ちることもあり、一度は連続して落ちた拍子に足が攣った。登り返しは意気が上がらないが、15時前に駒ノ小屋に到着。
小屋に入って間もなく雨と強風。引き返してよかった。雨は間もなく止んで明るくなったが、風は日没頃まで吹いていた。
また3人のみの貸切をいいことに、小屋の梁に上げてあったブルーシートで部屋を仕切って食事。熱が逃げないので昨日より暖かい。
●5/1(日)
4時の起床時には雨音がしていたがやがて止んだ。5:45出発。曇り、気温5℃。幸いガスはなく見通しがいいが、その代わり風が強い。踏み跡も赤布もあるのでさっさと進む。出だしで風によろけそうになった程度で難しい箇所はないが、シュルンドにスノーブリッジがかかっていたりするので、やはりガスで周囲が見えない場合には用心が必要だろう。広い斜面でも、昨晩の雨を考えると上部の雪壁が少し気持ち悪い。
そうして下っていくと、I干氏、T口氏が、前を動物が横切ったと言う。自分は一番後ろを歩いていて見ていない。最初、歩き方からリスかと思った(T口氏)そうだが、実際にはそれなりの大きさで胴が長く足が短かかったとか。この辺だというところまで下っても、それらしい足跡は見つからなかった。リスのような歩き方で胴長短足、足跡を残さないって何だ?
快調に小倉山を越え、1270mあたりの平坦部から高度を下げていく箇所に、一昨日出遭った山対協の人が立てたのであろう赤布があった。そこから踏み跡も続いているのでどんどん下ると、斜面で雪面が切れるところが現れて脇の樹林や藪に出たり入ったりとなる。登りにこんな箇所はなかったが、樹林の中に道は付いているし、雨で雪が落ちたか・・・と思いながら行くと、やがて踏み跡が薄くなり、これはおかしいと気づいた。GPSで現在地を確認すると、何ということか、登ってきたルートと小チョウナ沢を隔てた反対側の尾根にいる。赤布のあった地点から踏み跡に誘い込まれたのだ。時に8時半、高度700m付近。小チョウナ沢に下って向かいの正しい尾根に乗り換えるのは急傾斜の樹林と藪に阻まれて無理、赤布まで引き返さなければならない。もはや意気も上がらず、頻繁に休憩を入れながら、11時にようやく赤布に戻った。周囲をよく見ると、迷い込んだ尾根から90度右に降りる急斜面に正しい踏み跡がついていた。この赤布は下る尾根に注意という目印だったのだ。正しい方角を示すためにもう一つ赤布が欲しかった気もするが、小倉山から駒ノ湯へのルートは一つだけと油断して方角も確認せずうかうかと踏み跡を辿ったミスは覆い難い。
これ以上ルートを誤って消耗したくないので、より慎重に赤布やテープを拾い、不安な箇所ではGPSを確認しながら下る。安全地帯まで来ると、カタクリやコブシがよく咲いていた。
駒ノ湯に13時到着。営業は開始していたものの、立寄り入浴はまだできなかった。
今回、簡単な下りでのルート誤りは痛恨。天候が曇りか小雨だったので余分な時間と体力を費やしただけで済んだが、もし荒天に見舞われていたら大事に繋がりかねない。到達できなかった中ノ岳は、一度無雪期(夏は暑いから降雪前の秋がいい)に下見の上で再チャレンジしてみたい。
■今回のルート
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