2010/6/25(金)~6/27(日) 奥秩父主脈 金峰山~奥多摩縦走 ― 2010年06月25日 00:00
無名山塾の自主山行で、S木・Y氏(女性)と。
金曜深夜に山梨側の瑞牆山荘から入り、都県境の山々を辿って、終着は日曜の奥多摩駅。これを30分以上の休憩なし、眠らずに歩き通そうというスーパーカモシカ山行。エアリア(昭文社の山と高原地図)では「金峰山・甲武信」「雲取山・両神山」「奥多摩」の3枚にわたる。
一昨年6月の同様企画(⇒ 2008/6/28~6/29記事)では笠取小屋からトラバースルートをとったところ、深夜23時に沢の崩落に阻まれて将鑑(ショウゲン)峠に届かず断念。雨の中、ツェルトを被って寝た。今回は雁(ガン)峠から稜線沿いのルートで奥秩父主脈縦走完遂を目指す。
■6/26(土)
新宿駅、金曜22:00のかいじは満席だったが立川で着席できた。韮崎から瑞牆山荘までタクシー11,960円。一昨年の運転手は道を知らなかったが今回はすんなり着いた。同じ会社で運転手は前回のことを知っていたらしい。星空、頭上に夏の大三角が見える。
1:25 瑞牆山荘を出発。4時、朝焼けが赤い。千代ノ吹上で地名通りに風が吹く。
4:40 金峰山(2595.0m)。少し雨が降るが、雨具を着けるほどではない。
6:30 大弛峠。大弛小屋で水汲みがてら小休止していると、小屋の人が天気予報を教えてくれた。これから下り坂、午後は雨とのこと。小屋を出て「夢の庭園」の木道、階段が長いのだが、前回ほど辛くなかった。やはり事前に分かっていると違うものだ。国師ヶ岳手前の分岐を少し行けば秩父山地最高峰の北奥千丈岳(2601m)なのだが、長丁場の完遂優先で寄り道せずに進む。
7:12 国師ヶ岳(2591.8m)(*1)。前回と同じく、この辺では細かい虫が多く寄ってくる。ヌカカ(糠粒のように小さい蚊の意味)という奴か。ここからいったん2150m(国師ノタル)まで下って甲武信ヶ岳へ上がっていくのが長い(*2)。途中、富士見の下りから時々左膝が痛み出す。それ以前、東梓あたりからポツポツ降りだしていたが、甲武信山頂手前で樹林帯を出るといよいよ雨。
11:00 甲武信ヶ岳(2475m)。さっさと甲武信小屋まで下りて水を補給しトイレを借り、雨具を着ける。歩き始めると雨量はそれほどでもないが、風で樹木がざわめくのが物凄い。何となく台風のような風の吹き方。
12:54 破風山(ハフサン)。前回は急登を飛ばし過ぎて疲れたが、今回は適当なところで一息つき、余裕をもって登頂できた。
風雨の中、眠くはないがそろそろ疲れを覚えながら歩いて14時過ぎに雁坂峠。小休止してから歩き出すと、薄暗い樹林の斜面で何か白いものが上下している。目を凝らしてみると、鹿が真っ白なお尻を見せてピョンピョン跳ねているのだった。生きているのが楽しくて仕方がないという様子。最近は増え過ぎが問題になっているが、一頭一頭はこうして生きているのだなぁ。水晶山(2158m)、古礼山(コレイサン、2112.1m)、燕山(ツバクラヤマ、2004m、*3)と進む。
16時過ぎに雁峠。そろそろ途中経過を報告しておこうかと携帯を取り出してみるが、自分(docomo)もS木氏(au)も圏外。また稜線に出れば繋がることもあるだろうと先に進む。峠から草原の中の踏み分け道を行くと道標も何もない左への分岐(エアリアにある「雁峠分岐」より手前、県境に沿う感じ)。そこを入って少し登ると「小さな分水嶺」(という案内がある)で三面に「荒川/多摩川/富士川」と刻んだ碑が建っている。
稜線コースに上がるべく笠取山へ向かう。うっかりすると転げ落ちそうな急傾斜で、特に最後はトラロープくらい欲しいところだ。登りはまだいいが下りはかなり怖そう。斜面を上がってから岩を乗り越え、17:02に笠取山(1953m)。稜線コースと言っても、間もなく稜線からいったん下り、水干(ミズヒ、「沢の行き止まり」の意味)で先ほどの分水嶺からのルートと合流する。ここから下がり気味にトラバースの後、黒槐山(クロエンジュヤマ)の南で稜線に戻った・・・のだが、これは後でGPSの軌跡データを見てのこと。S木氏は以前に別のメンバと夜中に歩いたことがあり、そろそろ唐松尾山のはずと言うのだが、現在位置がはっきりしない。自分もエアリアの実線ルートと油断していた。エアリアでのコースタイムは水干から唐松尾山まで2時間、まだそんなに歩いていないので、とりあえず進んで様子を見ることにする(道標は見当たらないが、道の様子から実線ルートに乗っていることは確実と判断)。しばらく行って足元にやや余裕のある地点で、休憩がてら地図とGPSを見比べて唐松尾山の手前と見当をつけた(*4)。携帯を確認したところ、docomoのi-modeが通じた(auは不可)のでメールで経過報告。18:30を過ぎ、そろそろ暗くなってくる(日没は19時)。
これを越えれば唐松尾山だろうと思いながら行くと、岩に上がった先で道がない。岩を巻くのか、もっと手前から道を逸れたのかと探すと、一見道らしく思われるものが行き止まりだったりする。結局は岩を左から巻くのだったが、薄暗くなって道が分かりづらくなったということだろう。19:13 唐松尾山(2109.2m)に到着。実線ルートと舐めていたが、意外と手こずった。
唐松尾山の先で稜線を離れ、20:04 山ノ神土。これで一昨年の撤収地点を越えて、あとは難しくないと思ったが...
20:27 将鑑峠。ここから飛龍山まで、コースタイム2:20が長い。雨の中でもヘッデンに虫が寄ってくる。暑くはないのだが、どうも喉が渇き、登りでは足が重い。雨具を着けての長時間行動で思ったより汗をかき、脱水気味なのか。水が心細いので、S木氏から少し分けてもらう。しかし、暗い中で飛龍山手前の水場には気づかず、22:50 ハゲ岩に出てしまった。山頂(2077m)には寄らず、北天ノタルから道標に従って雲取山に向かう。
ここも三条ダルミまでのコースタイム2:20。道の他に人工物がまるでなく、時間感覚もおかしくなってきて現在位置が分からない。狼平で道標を見つけてホッとした。すでに日が変わっている。
■6/27(日)
2:43 三条ダルミ。雲取山への登りにかかる前にびしょ濡れの靴下を絞る。S木氏は止まると寒いからと先に行った。こちらは脱水のためか息が上がり、相当くたびれて3:23に雲取山頂(2017.1m)。雨の中、お互いに写真を撮る。
小雲取山に向かって下るが、S木氏がすぐに着かなければおかしいと言い出した。もっとずっと下だろうと思うのだが、こちらも暗い中でルートに自信がある訳でもないので、1950~70m付近を行きつ戻りつした挙句、ツェルトを被って明るくなるのを待つことにする。
4:30 行動再開。休止時間はほぼ30分で、スーパーカモシカの条件からギリギリ外れないで済んだか。ともかく寝てはいないし。またもや登り返してみたりしてから下って行くと、すぐに道標が見つかった。
5:20 奥多摩小屋。S木氏はベンチで待ち、自分は水を汲みに行く。水場まで下りは5分、上りは十分(じゅうぶん)。水をたらふく飲み、明るくなったこともあって疲労はやや回復したようだ。
あとは石尾根をひたすら歩くだけなのだが、6:10 七ツ石山(1757.3m)に登ったあたりから意識が途切れがち。この先はトラバースルートを行くとS木氏から聞いた気がするが、夢の中でのよう。S木氏も半分寝ているようなところがあるが歩きは速く、後を追いながら時々意識が鮮明になるとずっと変わらずにトラバース道を歩いていて、ぐるぐる回っている気がしてくる。
7:30頃、立ち止まったS木氏に追いつくと現在地が分からないと言う。これは寝ぼけているなと思うがそれはお互い様。前後の特徴のない道のためGPSを見てもよく分からず、通りがかったパーティに尋ねると日蔭名栗峰の下あたりだった。8:15に鷹ノ巣避難小屋。
六ツ石山分岐を経て三ノ木戸(サヌキド)山。ここから実線ルートを外れて尾根を下りる近道があるという話で、行き合わせた人にも尋ねてそれらしいルートを辿ったのだが、道標のある道に出てみると結局遠回りしたような気がする(鷹ノ巣避難小屋を出て間もなくGPSの電池が切れ、実際のルート、時間は不明)。ようやく雨が落ちてこなくなったので雨具を脱ぐ。
最後に車道に出るまでの下りがぬかるんでいてウンザリし、ようやくアスファルト道に出ても街はまだ下。濡れた靴下でマメができそうな足を動かして13時前に奥多摩の街に着いた。三河屋旅館で入浴(1000円)し、駅前の土産物屋兼食堂でビールと食事。
どうにか完遂したが、さすがに「スーパー」カモシカ、しんどかった。体力はともかく、判断力の低下が如実に出る。それに雨具着用での長時間行動という思わぬ弱点も露呈。もっとも、普通の山行ならこれほどの長時間にわたって行動を続けることはありえないが。
しんどかったけれど、2、3年に一度はやってみてもいいかな。さすがに毎年やりたくはないが。
■今回のルート
*1:国師ヶ岳には「西沢渓谷方面は通行止め」の案内が出ている。これはエアリアに破線ルートとして示された天狗尾根のことかと思って昭文社に確認したところ、地図のルートは通行可能、それより下部、西沢渓谷への進入が不可とのこと。案内は救助隊が設置したものらしい。
*2:エアリアでは国師~甲武信が約5時間となっているが、その途中の富士見~千曲川源流遊歩道との分岐まで1:30というのは間違っていると思う。実際には30分程度だ。
*3:燕山は地図(エアリアも2.5万図も)ではルート右手(南)の小ピークになっているが、道標はその先でルートが曲がる手前の左手ピークを示しており、そこに山頂の標識もある。確かに地図の地点の方が標高は高い。
*4:後でGPSデータを確認したところ、黒槐ノ頭(2044m)を越えてまた登った2020m地点だった。
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