2006/11/4(土) 「星と嵐」 ― 2006年11月04日 00:00
アイ・ヴィー・シーから発売になったDVD「星と嵐」を観る。
著名なアルピニストでありアルプスの山岳ガイドであるガストン・レビュファの1955年作品。
前半ではシロウト(という設定)のモーリス・バケにクライミングを教え、後半では二人で5大北壁を登る。前半にはユーモラスな演技もあるが、全体は作り事を排したドキュメンタリーだ。
とはいえ、山もレビュファのクライミングも美しく、全編を彩る音楽もいい。山の厳しさよりも信頼できる仲間との登山の喜びが謳いあげられている。映像と音楽、それにバケ自身によるナレーションが相俟って詩を感じさせる(ここはやはりフランス語でないといけない)。
それに比べれば登頂の成否はさほど問題ではない。登頂を語っていない部分は撮影できなかったのだろうという邪推も成り立つが、そうだとしても作品の価値が減ぜられることはない。そもそも50年前にこの作品を撮っていることが驚異だ。
クライミングを経験する前だったらレビュファの技術を凄いと思うだけだったろうが、今となっては自分があの壁に置かれたらと考えて尻がムズムズする。
それにしてもアイ・ヴィー・シーという会社、古い海外作品をDVD化してくれるのはいいのだが、全体に作品に対する愛情が感じられない。この作品でも、グランド・ジョラス北壁の中央大クロワールについて「1972年冬 日本チームが初登はんに成功した」とナレーションで言っていないことを字幕に入れるのはいかがなものか。たとえ事実であっても、作品を軽んじているとしか思えない。
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