2007/9/22(土)~9/24(月) 南八ヶ岳縦走2007年09月22日 00:00

無名山塾の自主山行。八ヶ岳エリアで各個に計画し23(日)に赤岳鉱泉で落ち合うという「集中山行」に縦走で参加。赤岳から南には行ったことがないので小淵沢駅から単独で北上してみることにした。山塾本科に加入以来、単独は初めてだ。

■9/22(土)
本日の予定:小淵沢駅~編笠山~青年小屋(テント泊)~西岳(ピストン)

新宿7時のスーパーあずさに乗るべく、20分ほど前に新宿着。首尾よく自由席に座れたが間もなく満席。
9時前に小淵沢着。駅前で今日の行動食を調達しようと思っていたのだが土産物屋程度しかなく、まあいいやと水だけ買って9:20に歩き始め。中央道を潜る個所まで地図より大回りしてしまった。ペンション等の間とは言え車道歩きは暑い。新しく買ったズボンが汗を吸って冷たくなり気持ちが悪い。このズボンはハズレだった。
10:50 自然歩道ハイキングコースに入ってようやく一息。穂の出たススキの草原から八ヶ岳方面を見ると、だんだん雲が広がっている。
小淵沢からの八ヶ岳
樹林帯に入り、観音平目指して北上。駅から歩くような酔狂な人間はいないと思っていたが前方に一人見えた。ここで集中山行参加パーティ間の第1回定期交信時間(11~15時の奇数時00~15分)となり、権現岳のK野氏と話す。11時半に「科学と宗教とは本来一つである」の石碑(どうも場違いな文句だ)を過ぎ、グリーンロッジ駐車場で小休止。長いアプローチだった。
「科学と宗教」碑

12時半過ぎ、雲海展望台。眺望なし。右踵の靴ずれの兆候を手当。
13時の交信時刻。青年小屋のK野氏、権現岳のA川氏の声が聞こえるが、こちらの声は届いていないらしい。
13:20 押手川。岩のゴロゴロした平坦地で水はない。解説板に曰く「登山者が水を求めて岩を押し探したところ、コンコンと清浄冷水が湧きでた」。ここは携帯(docomoのmova)OK。
ここから編笠山頂に向けて真っすぐの登りは結構きつくて息が切れる。標高差約450m、1時間(昭文社の山と高原地図ではコースタイム 1h20m)のところに2回の小休止を取った。もっとも2回目は高度計を見て約2/3地点と思ったのが、実際は山頂近くだったが。雲は増えているが気圧は上がっているということか?(気圧が上がれば高度計の読みは下がる)
14時半、編笠山(2523.7m)登頂。誰もいない。ガスで周囲の眺望なし。ここでもまだ携帯が通じる。さすが街に近い八ヶ岳だ。

青年小屋に下りテントを設営。テント場は空いている。が、外のトイレは一つしかない。きれいなバイオトイレで朝は混みそう。
15:20 水の容器と貴重品だけ持って西岳ピストンに出発。微妙なアップダウンで16時に到着。途中、小屋方面へ戻る数人とすれ違ったが、この時間になるとピークには誰もいない。ガスで眺望もない。
青年小屋から西岳へ向かって4~5分のところに乙女の水がある。冷たい水が豊富に流れるいい水場だ。傍らの樹には「此の所古来より金命水と云う」とある。顔を洗い、汗を吸ったタオルも洗う。手を浸していると痛いくらいに冷たい。その場でたっぷり飲んで、夕食用に汲む。
乙女の水
16:50 テントに帰還。夕暮時でも無風で暖かなので、買ったビール片手に外でインスタントラーメンの食事。
青年小屋
19時頃就寝。

■9/23(日)
本日の予定:青年小屋~権現岳~赤岳~横岳~硫黄岳~赤岩ノ頭~峰の松目(ピストン)~赤岳鉱泉(テント泊)

スリーシーズンのシュラフでは暑いくらいだが、夜中にちょっと喉が痛かった。3時半に起きるときれいな星空。しかし、ラジオの予報は曇りから雨と言っている。アルファ米と味噌汁で食事し、乙女の水を補給して 5:15に出発。

のろし場で権現岳の全体を眺め、ギボシを踏んでから、6:20 権現岳(2715m)に登頂。
権現岳
山頂の突端下に「権現岳 山梨百名山」のポールがあるが、ここまで来てそれで満足はしない。安定した場所にザックを置いて、本当の突端の岩に登って腰を下ろす。岩の傍らには山名だけの標識と鉄製と思しき矛(「戈」の方か)が立っている。残念ながらガスで眺望は良くないが、静かなてっぺんは気分がいい。もっとも、人が来たら写真を撮ってもらおうと思ったのに誰も来ないというのは静かすぎだが。
権現岳山頂
赤岳方面への分岐まで戻ると、青年小屋を同時に出発したグループがいたので「権現へは荷物を軽くしていった方がいい」とアドバイスしておく。
地形図の岩崖マークを長いハシゴで下りる。
キレットのハシゴ

7時半にキレット小屋。小屋は休業中(*1)であるが、テン場のトイレは使える。水場はテン場から数分下るが、チョロチョロした流れで汲むには時間が掛かる。傍らの石に「茶水」と彫ってあるが、ぬるくて特に旨いとも思わない。乙女の水を汲んできてよかった。
赤岳へ向かう途中、ガスが濃くなってきた。小天狗付近で小休止した時には大天狗も小天狗も見えず。
息を切らせて(夜露で湿ったテントが重い…)赤岳(2899.2m)によじ登ったのは9時。さすがにここは混んでいるし、やはりガスで眺望もないので、写真だけ撮り頂上小屋まで行って休憩。

これできつい登りは終わりと歩きだし、赤岳展望荘(無風で発電用の風車が全然回っていない)を通過、お地蔵様の頭を撫でて、三叉(さんしゃ)峰が10:20。そこからちょっと下ったところで、黒百合ヒュッテから南下してきたH方氏ら本科隊(単独の計画だったS藤氏も合流)とすれ違った。横岳の最高峰大権現(2829m)は素通り。
その先のカニの横ばいで対向するパーティがあり待たされた。クサリが付いているし手掛かりも豊富(もっとも、脆くて欠けることもある)で岩が乾いていれば難しいことは何もないが、やはり人数がいると時間が掛かる。待っている間、ガスでおぼろな小同心から「ロープいっぱい」と聞こえてきた。見ると女性を含む4~5人のグループが上がってきたところ。すれ違った本科隊が「Y野・M氏(別パーティで小同心を登っているはずの山塾会員)の声が聞こえた」と言っていたので耳を澄ませてみたが違うようだ。横ばいの方はようやくパーティが通り抜けた。念のため「こっちから行きます」と声を出してから取り掛かったが、すぐに男性1名と鉢合わせ。岩を乗り越すところで、特に問題なくすれ違えたが。ここの通過には待ちを含めて10分ほど掛かった。
カニの横ばい
積雪期用のハシゴを下りると小雨が落ちてきたが、すぐに止んだりまた降ったり。
11時過ぎ、硫黄岳山荘の前でカッパを出したところで空が明るくなって止んだ。結局、ザックカバーだけ着ける。この後も時々小雨になったが、最後までカッパは着けないで済んだ。
緩やかだが長い登りを、ザックの重みを再び感じながら歩いて硫黄岳(2760m)に11:40。

この先が、2月にS木・Y氏らと逆方向から来て、硫黄岳にどこから上がるのか迷った箇所だ(⇒ 2007/2/10~2/12 八ヶ岳・硫黄岳~天狗岳)。確か赤岩ノ頭から少し来て樹林を出て、岩山を上がれば硫黄山頂が間近だったが...と行くが、山頂を離れてもそれらしき場所はない。ルートはこれしかないよなと進むと、ああ、ここだ。昭文社地図に「白い砂地の分岐点」とある個所だ。しかし、なに? 道標が何本も立っているし、ケルンもあるぞ。あの時は一面の雪原で目印は何もなかった(*2)。樹林はあるにはあるが記憶ほど高くない。道標やケルンが雪に埋もれていたなら、一緒に隠れてしまう程度だ。それに赤岩ノ頭がすぐそこ。2月の記憶とは距離感が全然違う。感覚や記憶なんてアテにならないものである。
赤岩ノ頭まで行くと、普通の木製と背の高い金属製とで道標が2本。そうそう、雪の急傾斜を上がったところにこの木製のやつがあったんだ。金属の方は覚えがないが、最近立ったのか?(*3)
硫黄岳から赤岩ノ頭へ

12時、赤岩ノ頭にザックをデポして峰の松目へ。ハイマツ帯を抜けると倒木にコケの多い樹林の中、オーレン小屋方面への分岐までは緩やかな下りだが、その後が階段と木を掴むような急登になる。再びなだらかになると間もなく山頂(2567.3m)。荷物が軽い分スピードが上がって、コースタイム65分のところを33分で来た。山頂は仮にガスがなくても樹林のため眺望なし。行動食を腹に入れて赤岩ノ頭に戻る。途中、13時の定期交信で小同心を登ったK室隊(K室H&I夫妻他)と会話。その後、真っ黒のカモシカに出会った。まず1頭が道の前方を横切り、そこまで行ったら別の1頭が樹林の中にいたのである。カメラ目線(?)で、ストロボを焚いてもじっとこちらを見ていた。
峰の松目

13時半過ぎに赤岩ノ頭を出る。その下が2月の急斜面だった訳だが、雪のない状態で見ると、多少折り返しがきついものの特に急降下でもないありきたりの登山道。この木々が全部埋まって雪の壁になるのか・・・ やはり、無雪期と積雪期ではまるで印象が違う。

14時半過ぎ、赤岳鉱泉に到着。小屋前の屋根の下で、すでに皆がビールを飲んでいた。
テントを張っていると今度こそ本降り。急いで設営して荷物を放り込み、宴会に合流。よく見ると本科隊+S藤氏がまだだったが、こちらもやがて雨の中を到着。小屋のビールの他、皆が持ち寄った酒やツマミ(山は軽量化と言いながら、これらは別なのだ)、それに今回登ったり歩いたりしたコースの話題で20時頃まで盛り上がっていた。
20時半に就寝。

■9/24(月)
本日の予定:赤岳鉱泉~赤岳~真教寺尾根~美し森

夜中、鼻が詰まり苦しくてよく眠れず。ずっと雨が降っていたと思うが、目の覚めた4時には止んでいた。
本日の予定はチャラ。昨日の宴会の中で皆、「明日はもう登らなくてもいいよ。美濃戸へ下りよう」と相談がまとまったのである。出発予定の6時半には早いが、どうせ眠れないので起き出してゆっくり食事とトイレ。
Y川氏、Y野・M氏、K室夫妻、U山・K氏と6人、6時半に出発、7:50に赤岳山荘。停めてあったY川氏の車で美し森まで、そこでK室氏の車に乗り換えて石川PAまで送ってもらい、13時に帰宅。山からの帰りとしては異例に早かった。

これで八ヶ岳は中山から南が繋がった。次は北を攻めるか。

■今回のルート(山行時のGPS軌跡を2024年6月時点の地形図に表示)
南八ヶ岳ルート

*1:「キレット小屋営業中」などと書いた無責任なサイト(⇒ 本沢温泉)があるのは困ったものである。
*2:2月の時はホワイトアウト寸前の赤岩ノ頭から見える範囲にあった次の道標まで行った。今回の道標かケルンがひとつ雪の上に出ていたのかもしれないが、やはり距離感が違う。
*3:これも記憶のウソ。2月の写真を見直したら写っていたのは金属製の方。木製のは埋まっており、背の高い金属製が普通の高さに見えていたのである。
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