2007/6/2(土) 西丹沢・悪沢 ― 2007年06月02日 00:00
無名山塾の講習で丹沢湖北の悪沢へ。これまでの丹沢の沢登りは表丹沢ばかりだったが、それに比べ西丹沢は滝がずっと立っていて難しいという。その入門編なのだが、名前がいきなり悪沢とは。確かに一味違って、よく落ちた日だった。
講師K藤・H氏、参加メンバはK野・M氏(女性)、S木・Y氏(女性)、Y永・H氏、K室・H氏、自分。
新松田駅に集合、車に分乗して現地へ。ちょっと雲があるが晴れ。雲の間から富士山が頭だけ見えた。悪沢が中川川に流れ込む割沢橋脇に数台の駐車スペースがある。
9:50 身支度をして入渓するとすぐにF1(*1)15m。
水流の右か左か迷った後、講師が右から登ってロープを下ろし、後は8の字チョン掛け(*2)で。ヌメっている上に支点も少ないが、中程と上の岩にハーケンが打ってあった。無事に上ったが、一度、身体を持ち上げた時にヘルメットが岩に当たって後退。ロープがなければ落ちていたかもしれない。
堰堤を作業用の梯子で越えて、10:50にF2 20m。
これ、本当に登れるのか? ずいぶん高い所に捨てスリングがあるが、そこまでホールド、スタンスがあるとも見えない。その上も草や苔っぽい岩でスタンスなさそう・・・と思っていたら、そのスリングは使わず、まず右側の広いテラスまで上がることに。ここも講師が上がってロープを下ろし、F1と同じように上がろうとしたら、指をかけたホールドが欠けてぶら下がってしまった。岩が剥がれたのではなく、崩れるように突起が取れた。体勢を立て直そうと足を置いたところも少々不安定で、ツルっと滑って連続テンション(*3)。ちと情けない。
気を取り直してテラスまで上がり、全員揃ったところで講師が上へ進む。下からは分からないが短い間隔でハーケンが打ってあって、中間支点を取りながら水流に近づいて行く。それにしても、よくあんなところで止まっていられると思う。いよいよ微妙なところ・・・と見ていたら、落ちた! もちろん、K野氏のビレイは的確ですぐに止まり、落下距離は4~5mか。「うひょー! もう一回」とか言いながら登り返して、今度は無事に滝の上まで行った。後で聞くと「ルートファインディングを間違えて上へ行きすぎた」とのこと。
続く講習生は中間支点のスリングを掴んで登る。掴んでいればカラビナを掛け替える(*4)間の安定を保てるが、周囲を見て他の手掛かりを探すなんて余裕はなかった。ここも岩が脆くて、いいホールドと思うとグラグラ動いたり、足を置けるかと探った石がボロボロと崩れ落ちたりする。最後の中間支点から先もちょっと長く、空しく手掛かりを探った挙句におっかなびっくりで滝を抜けることになる。ここをリードできるようになるのはいつのことやら。
最後のK野氏は中間支点を回収しなければならず、つまり、掴まるべきスリングがなくなってしまう訳で、一度ロープにぶら下がっていた。やっぱり難しいのだ。
このF2、ガイドブックに記載されたグレードが、旧版で2級だったものが新版では2級上になっているそう。脆いホールド、スタンスがだんだん失われて難しくなっていくのかも。
F2を登ると早くも13:30。すぐにF3 10mが出てくる。高くはないが見た目よりもイヤらしく、ここも講師が先行してロープを張った。
まず左側の岩に上がるのは簡単。ここでロープをハーネスのカラビナに掛けて右にトラバース。講師は一段下がったバンドを採ったが、下がらずに行けないものかとルートを探ってみる。しばらく試して結局断念。その先は水流沿いのクラックを上がるが、ここもちょっと滑りそうだ。
F3を越えると沢が明るくなってホッとするが、いくらも行かないうちにF4 20mが立ちはだかる。ここは特に難しくないのでS木氏がリード。水流の右側を登ったところに左上へ行くバンドがあるが、そこは見送ってそのまま直登。そこから左へ折れ、水流のすぐ右を上がって滝の落ち口へ。S木氏が支点を作ると、Y永氏がロープの中間、講師が末端を結んで、中間支点を回収していく。二人が上がったところでしばらく待ち。上では支点を作り直している様子だ。
ロープが降りてきて次は自分の番。ロープが左から引かれているので、そちらに向うバンドを行けないかと探っているうち、フワッ! 落ちていた。大きく振られてロープの弾力で跳ねるように滝の反対側まで行き、振り戻したところで立ち上がる。特に打撲もなし。こうなったら水流に近い所をロープのままに上がれないかと水を浴びながらルートを探すが、どうもいいスタンスがない。結局元の位置に戻ってS木氏のルートを上がる。上部が少しザレていたり岩が脆かったりするが特に問題なし。最初からこちらにすればよかった。
上がってから聞くと、最初にS木氏の取った支点の位置では後続が落ちた時にビレイヤーまで滝にぶら下がりそうだったため、講師がハーケンを打って支点を追加したとのこと。自分が落ちた時にS木氏は引かれてウワーとなったそうだから、支点追加が功を奏したことになる。
全員が上がるともう16時。滝4本にずいぶん時間をかけた。本日はこれまで。
F4のすぐ上にあった梯子を上がると作業道。ところどころトラロープが張ってあるが、ずいぶん高い処を通っている。足元はあまり踏まれていない感じで、滑ったら沢まで滑落だ。
16:40 駐車スペース。装備を外していると羽虫が寄ってくる。ヒルがいれば吸いつかれているところだろうが、この沢では見かけなかった。
中川温泉ぶなの湯で汗を流す。指先を見ると切り傷ができ、爪の先もボロボロ。F4で落ちた時、とっさに岩にしがみつこうとしたのだろう。無駄な抵抗だが、落ちた瞬間はマッシロで覚えてない。
新松田駅そばの居酒屋で食事して解散。
いや、厳しかった。けど、チャレンジングで楽しい。練習して、もっとスピーディに行きたいところだ。
【注】
*1:沢登りでは現れる滝を順にF1、F2、・・・と呼ぶ。FはFall(滝)。
*2:エイト・ノット(結び目が「8」の形になるロープの結び方)で輪を作り、それをハーネスのカラビナに掛ける。
*3:確保しているロープに荷重をかける、つまりぶら下がること。
*4:文字通り命綱のロープは、滝の上の支点から来て中間支点のカラビナを通り、自分のハーネスに掛かっている。中間支点まで行ったら、そのカラビナを自分の前から後ろへ掛け替えないと進めない。
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