2007/6/1(金) 唐沢俊一『新・UFO入門』2007年06月01日 00:00


冒頭「UFOを見る能力-まえがきにかえて」の一文「われわれは”UFOを見る能力”を持っている(中略)そういう遺伝子がDNAに含まれているのなら、それはわれわれ人間にとり、<何かのときに必要な能力>なのではないか」(原文の傍点を<>で示す)にドキドキする。傍点の使い方が小松左京みたいだ。しかしながら、理性重視の小松に対し、「B級評論家」唐沢氏の筆はワケの分らないUFO事例の方に向かっていく。

自分も昔は真面目なUFOマニアだった。
10代前半までは素朴に宇宙人がUFOに乗って地球にやってきているのだと思っていた。目撃例の大部分は誤認やデマだが、それを取り除いていけば最後に真実が現れるだろう、と。唐沢氏曰くのラッキョウの皮を剥いていた訳だ。
その後、UFOの存在は疑わないものの、この現象はそれほど単純なものではないのではないかと思うようになった。何か、人間の意識が空に投影されるようなメカニズムでもあるのではないか。
そんな妄想も大学生時分には捨てて、UFOは見る人には見える、純粋に脳内の産物と考えるようになって現在に至る。夢がなくなった? そうなのかもしれない。自分はとうとうUFOを見た!と思える経験を出来なかった。

しかし、である。「見る人には見える」、これがポイントだ。人が”UFOを見る能力”を持つ必要性の方が、UFOそのものより面白く思えてきた。この過程は唐沢氏と同じだったようだが、漠然と思うだけできっちり考えてはこなかった。
ということで、この本は実によく分かる。頭の中で輪郭の曖昧だった部分に枠がはまったとでも言うか。

それにしても、と学会の皆さんの関わるUFO・宇宙人本はどれも面白い。その視線は、宇宙の神秘よりも人間のダメさ加減にむいているようだ。自らを含めた人間の愛すべきダメさ加減に。

※追記
海外ニュースにつまらない記事が上がっていたので、スクラップ的に残しておこう。
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UFO飛来60周年、科学捜査でついに謎を解明か―遼寧省
(Record China - 06月05日 20:29)
2007 年6月4日、遼寧省瀋陽市でUFOの謎を解明する研究成果が発表された。「UFOは実は氷でできた彗星の破片である」というもので、発表したのは刑事警察学院の趙成文(ジャオ・チェンウェン)教授。教授は彗星の軌道を解析し、UFO飛来シミュレーション画面を公開した。

同教授によると、宇宙空間に存在する氷の彗星は地球上の氷とは異なる物質で、氷の彗星が描くさまざまな軌道を解析し、UFOの飛び方と類似していることを論証した。

今年はUFOの飛来60周年にあたる。科学捜査とりわけ人相学の基礎を築いたことで知られる同教授が、刑事捜査でいうところの「足取りを追う」技術を生かしてこの度の解明に漕ぎつけたそうだ。(翻訳・編集/WF)
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2007/6/2(土) 西丹沢・悪沢2007年06月02日 00:00

無名山塾の講習で丹沢湖北の悪沢へ。これまでの丹沢の沢登りは表丹沢ばかりだったが、それに比べ西丹沢は滝がずっと立っていて難しいという。その入門編なのだが、名前がいきなり悪沢とは。確かに一味違って、よく落ちた日だった。

講師K藤・H氏、参加メンバはK野・M氏(女性)、S木・Y氏(女性)、Y永・H氏、K室・H氏、自分。

新松田駅に集合、車に分乗して現地へ。ちょっと雲があるが晴れ。雲の間から富士山が頭だけ見えた。悪沢が中川川に流れ込む割沢橋脇に数台の駐車スペースがある。

9:50 身支度をして入渓するとすぐにF1(*1)15m。
西丹沢・悪沢F1
水流の右か左か迷った後、講師が右から登ってロープを下ろし、後は8の字チョン掛け(*2)で。ヌメっている上に支点も少ないが、中程と上の岩にハーケンが打ってあった。無事に上ったが、一度、身体を持ち上げた時にヘルメットが岩に当たって後退。ロープがなければ落ちていたかもしれない。

堰堤を作業用の梯子で越えて、10:50にF2 20m。
西丹沢・悪沢F2
これ、本当に登れるのか? ずいぶん高い所に捨てスリングがあるが、そこまでホールド、スタンスがあるとも見えない。その上も草や苔っぽい岩でスタンスなさそう・・・と思っていたら、そのスリングは使わず、まず右側の広いテラスまで上がることに。ここも講師が上がってロープを下ろし、F1と同じように上がろうとしたら、指をかけたホールドが欠けてぶら下がってしまった。岩が剥がれたのではなく、崩れるように突起が取れた。体勢を立て直そうと足を置いたところも少々不安定で、ツルっと滑って連続テンション(*3)。ちと情けない。
気を取り直してテラスまで上がり、全員揃ったところで講師が上へ進む。下からは分からないが短い間隔でハーケンが打ってあって、中間支点を取りながら水流に近づいて行く。それにしても、よくあんなところで止まっていられると思う。いよいよ微妙なところ・・・と見ていたら、落ちた! もちろん、K野氏のビレイは的確ですぐに止まり、落下距離は4~5mか。「うひょー! もう一回」とか言いながら登り返して、今度は無事に滝の上まで行った。後で聞くと「ルートファインディングを間違えて上へ行きすぎた」とのこと。
続く講習生は中間支点のスリングを掴んで登る。掴んでいればカラビナを掛け替える(*4)間の安定を保てるが、周囲を見て他の手掛かりを探すなんて余裕はなかった。ここも岩が脆くて、いいホールドと思うとグラグラ動いたり、足を置けるかと探った石がボロボロと崩れ落ちたりする。最後の中間支点から先もちょっと長く、空しく手掛かりを探った挙句におっかなびっくりで滝を抜けることになる。ここをリードできるようになるのはいつのことやら。
西丹沢・悪沢F2
最後のK野氏は中間支点を回収しなければならず、つまり、掴まるべきスリングがなくなってしまう訳で、一度ロープにぶら下がっていた。やっぱり難しいのだ。
このF2、ガイドブックに記載されたグレードが、旧版で2級だったものが新版では2級上になっているそう。脆いホールド、スタンスがだんだん失われて難しくなっていくのかも。

F2を登ると早くも13:30。すぐにF3 10mが出てくる。高くはないが見た目よりもイヤらしく、ここも講師が先行してロープを張った。
西丹沢・悪沢F3
まず左側の岩に上がるのは簡単。ここでロープをハーネスのカラビナに掛けて右にトラバース。講師は一段下がったバンドを採ったが、下がらずに行けないものかとルートを探ってみる。しばらく試して結局断念。その先は水流沿いのクラックを上がるが、ここもちょっと滑りそうだ。

F3を越えると沢が明るくなってホッとするが、いくらも行かないうちにF4 20mが立ちはだかる。ここは特に難しくないのでS木氏がリード。水流の右側を登ったところに左上へ行くバンドがあるが、そこは見送ってそのまま直登。そこから左へ折れ、水流のすぐ右を上がって滝の落ち口へ。S木氏が支点を作ると、Y永氏がロープの中間、講師が末端を結んで、中間支点を回収していく。二人が上がったところでしばらく待ち。上では支点を作り直している様子だ。
西丹沢・悪沢F4
ロープが降りてきて次は自分の番。ロープが左から引かれているので、そちらに向うバンドを行けないかと探っているうち、フワッ! 落ちていた。大きく振られてロープの弾力で跳ねるように滝の反対側まで行き、振り戻したところで立ち上がる。特に打撲もなし。こうなったら水流に近い所をロープのままに上がれないかと水を浴びながらルートを探すが、どうもいいスタンスがない。結局元の位置に戻ってS木氏のルートを上がる。上部が少しザレていたり岩が脆かったりするが特に問題なし。最初からこちらにすればよかった。
上がってから聞くと、最初にS木氏の取った支点の位置では後続が落ちた時にビレイヤーまで滝にぶら下がりそうだったため、講師がハーケンを打って支点を追加したとのこと。自分が落ちた時にS木氏は引かれてウワーとなったそうだから、支点追加が功を奏したことになる。
全員が上がるともう16時。滝4本にずいぶん時間をかけた。本日はこれまで。

F4のすぐ上にあった梯子を上がると作業道。ところどころトラロープが張ってあるが、ずいぶん高い処を通っている。足元はあまり踏まれていない感じで、滑ったら沢まで滑落だ。
16:40 駐車スペース。装備を外していると羽虫が寄ってくる。ヒルがいれば吸いつかれているところだろうが、この沢では見かけなかった。
中川温泉ぶなの湯で汗を流す。指先を見ると切り傷ができ、爪の先もボロボロ。F4で落ちた時、とっさに岩にしがみつこうとしたのだろう。無駄な抵抗だが、落ちた瞬間はマッシロで覚えてない。
新松田駅そばの居酒屋で食事して解散。

いや、厳しかった。けど、チャレンジングで楽しい。練習して、もっとスピーディに行きたいところだ。

【注】
*1:沢登りでは現れる滝を順にF1、F2、・・・と呼ぶ。FはFall(滝)。
*2:エイト・ノット(結び目が「8」の形になるロープの結び方)で輪を作り、それをハーネスのカラビナに掛ける。
*3:確保しているロープに荷重をかける、つまりぶら下がること。
*4:文字通り命綱のロープは、滝の上の支点から来て中間支点のカラビナを通り、自分のハーネスに掛かっている。中間支点まで行ったら、そのカラビナを自分の前から後ろへ掛け替えないと進めない。

2007/6/10(日) つづら岩2007年06月10日 00:00

U山・K氏企画の無名山塾自主山行。参加者は他にK室・H&I夫妻、自分。
最近U山氏らはアルパイン・クライミングの練習をしており、今回の企画もその習熟が目的。先日の講習(⇒ 5/26 つづら岩)が少々物足りなかったので、そこへ入れてもらった。装備リストを見ると、カラビナを予め確保機にセットしておくなどスピード重視の物量作戦なのだが、そこまでやるつもりのない自分は手持ちの道具で参加。

集合が武蔵五日市駅に7時と早いので、U山氏宅に前泊させてもらう。雨の中を最寄駅から歩くのに、所番地を読み違えてウロウロしてしまった。明日も雨だったらどうしようかとビールを飲みながら話して就寝。

朝、小雨。武蔵五日市でK室夫妻と合流する頃には曇り空で、とりあえず現地へ。長いアプローチで岩に着いたのは8:30頃。この天気では当然ながら誰もいない。
足慣らしにオケラルートをやろうと準備しているうちにまた降ってきて、行けるうちに行こうと主要ルートに変更。K室夫妻ペアは右クラックへ、U山氏、自分ペアは一般ルートへ。
U山氏がまずリードしてピッチを切ったところで自分が上がる。岩が濡れているとホールド、スタンスが滑りそうな気がして、次の動きへの踏ん切りがつかない。時間をかけてU山氏の処まで行き、つるべ式でそこから自分がリード。出だしで指をかけたホールドが10cm×5cmくらいに剝がれたのにはビックリ。まだ足でしっかり立っていたので体勢を崩すこともないが、欠けたホールドは落ちて行った。「ラク!」と叫ぶ。
頂上はすぐそこなのだが、スタンスが乏しい。ホールドに頼って身体を持ち上げ、上に抜ける部分、右手は立木を掴めるのだが足が出ない。ジタバタしているうちに雨脚が強まってきたので、K室・I氏が出してくれたスリングを掴んで上がった。U山氏はそこを腕力でクリア。岩の上で4人が揃った。

K室・H氏が懸垂下降を始めたところで目の下の雲がパッと白く光り、次の瞬間に雷鳴。稲妻が走った訳ではないが、こうなると懸垂どころではない。高い岩の上で金属の道具をぶら下げていたのではカミナリ様を呼んでいるようなものだ。さっさとロープをたたんで撤収する。
岩を下りると一安心だが、H氏のロープが引っ掛かってしまった。そのうちに外れたが、見ると一箇所がボロボロ。岩角に擦れたのか? ロープは切断して2本にするしかなさそう。

11:30頃、下山開始。時折の雷鳴の中、慰霊登山らしい一行とすれ違った。
つるつる温泉で休憩しているうちに天候は回復。U山氏の着替えを持ってきたご家族が合流して、U山氏宅に近い駅まで送ってもらった。

2007/6/16(土) 酔っ払い遭難@上野原2007年06月16日 01:44

あー上野原って、ここ、どこよ。
電車はまだあるらしいけど、ただいま酔っ払って遭難中(笑)
(1:44)

ごみ箱から拾った新聞紙とジャンプでは寒いかも(笑)
(2:17)

朝まで生き延びました。ちっと寒かった。
しかし、有楽町で飲んでいたのが、気づいたらこんなところに。
UFOにアブダクションされたとしか思えません(^_^;)
上野原では改札を出ずにホームのベンチで寝た方がいいです。クッションが敷いてあります。
(5:53)

※ミクシィ日記からの転載にあたっての追記
金曜日の飲み会でしたたかに酔い、気づいたら上野原にいたという状況。いったん駅を出て周囲を見回したがビジネスホテルも何もないので、駅に戻り、新聞雑誌を拾って上り始発を待つことにした。山行時のステーションビバークの経験をこんなところで活用している。
先頭の一文(1:44)が日記本文で、続きはマイミクからのコメントを挟んでの応答。K田・T(ミクシィネーム:さざんかQ)氏からは以下のコメントを頂いたのだった。
 まんま歌のとおりではないですか。
 ちょいと一杯のつもりで呑んで
 いつの間にやらハシゴ酒
 気がつきゃホームのベンチでごろ寝
 これじゃ身体にいいわきゃないよ

2007/6/16(土) 「月世界の女」2007年06月16日 20:30

DVDで「月世界の女」(1929、ドイツ映画)を観る。公開時の宣伝のためにヘルマン・オーベルトが実際のロケット打上げを行う予定でいたが果たせなかった、また、打上げ時のカウントダウンが後に実際に行われることになったという、宇宙開発史のヒトコマとして語られる作品だ。

通して見てみると前半は科学考証が精確。組立棟から射点まで巨大クロウラーでロケットを運ぶとか、床や天井にフックを付けて無重力下での作業支点にするのは現在の現実となった。ロケットが自立するには軽すぎるため水に沈めて打ち上げるアイデアも面白い。地球からの脱出速度11.2km/sまでの加速でベッドを支えるスプリングが伸びるなんて描写も気がきいている。月の裏に回るにつれ月平線に地球が没するシーンに当時の観客はセンス・オブ・ワンダーを感じたことだろう。
ただ、無重力を地球と月の引力の均衡で説明したり、宇宙空間でジェット噴射と言っていたりのミスもあり。

後半はドラマ優先で科学は退場。月の土壌が細かな砂で表現されているのは実際のレゴリスを思わせてよいが、月の裏側には呼吸可能な大気がある(なぜ裏側だけ?)。また、探査器具がダウジングロッドなのには笑ってしまう。

ミニチュアと絵の合成によるロケット飛行シーンは、後にディズニー「ファンタジア」のトッカータとフーガを手掛けたオスカー・フィッシンガーによるもの。

なにはともあれ、宇宙開発史に興味のある人は必見。DVDにはオーベルトにも取材したドキュメンタリー「月世界の女:最初の”科学的”SF映画」も収録されている。

(追記)
DVDの解説によると、月の裏側には大気があるという学説が当時あったそうで、科学性には一応こだわったらしい。金魚鉢みたいなヘルメットなしでドラマを進めるのが第一義であろうけど。そうすると、ダウジングロッドも当時は科学的と思われていたのかも。

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