2007/1/13(土)~1/15(月) 鳳凰三山縦走ならず ― 2007年01月13日 00:00
無名山塾の自主山行としてS木・Y氏(女性)が企画、自分と同人のT口・H氏が加わった。
12(金)のうちに韮崎まで行き、13(土)御座石鉱泉~鳳凰小屋テント泊、14(日)地蔵岳~観音岳~薬師岳~南御室小屋テント泊、15(月)夜叉神峠へ下山、という計画。
これに、13~14に夜叉神峠から上がるM本講師の本科講習組を絡める予定だったが、峠手前で雪のため通行止、歩行を強いられるとのことで、講習組も御座石鉱泉からの入山となった。
結果を先に書いてしまうと、積雪に阻まれ、縦走どころか地蔵岳までも届かず。
■1/12(金)
仕事を定時ピッタリに切り上げて帰宅、30分ほどで出発。どうやら予定の列車に乗り、甲府でS木氏、T口氏と合流。竜王駅からみだいタクシーで同社の車庫へ(タクシー料金約\3000)、朝まで仮眠室を使わせてもらう。ストーブを焚いてくれて快適だった。このタクシー会社は登山口までアイスバーンでも行ってくれるとM本講師から推薦を受けたもの。24時就寝。
■1/13(土)
4時起床、ストーブでお湯を沸かして朝食、5:20出発。よく晴れて星や月が美しい。約1時間で御座石鉱泉に到着(タクシー料金約\7000)。途中の林道は工事中で昼間は開放時間でないと待たされるのだが、8:30までは開放されている。
鉱泉ではおばちゃんに鳳凰小屋の幕営代を一人\630取られた。無人のテン場の料金を事前に徴収するのも珍しいのではないか。まあ、雪の状況を教えてくれたので情報代と思うことにしよう。燕頭(つばくろあたま)山まではほとんど雪がなく、その後は30cm単位で深くなるとのこと。
6:50歩き始め。気温-7℃。最初のうちはなるほど雪がないが徐々に増えてくる。まったく踏まれていないのだが、道はなんとなく凹んでいる感じで判別できる。道の上には必ず動物の足跡が付いていて、獣も道の方が歩きやすいらしい。
しかし、さらさらした雪の下はしばしば土や石の急斜面で滑り、人間にとっては歩きづらいことこの上ない。S木氏は一本立てた(休憩を取った)時に講習組に向けて落とし文を書いていた。曰く「上がれども上がれどもずり落ちるラッセルの道 めげるな!」。
11時に旭岳。特にピークということもないのだが、祠と猿田彦大神の碑がある。側の樹に名前を記した布が付いているから、今でも信仰する人があるのだろう。
燕頭山頂近くでは場所により膝下くらいまでの雪。12時過ぎに燕頭山に到着。気温0℃。微風。雪山は暑い。
それにしてもしんどい登りだった。御座石鉱泉からここまで、エアリア(昭文社の山と高原地図)のコースタイムで3時間半のところに5時間ちょっとかかっている。しかし、この先鳳凰小屋までは「なだらかな道」で「2時間」だから15時過ぎには着くだろう・・・と思ったのは大甘。この先に何が待ち受けているか、想像だにしない3人であった。
燕頭山頂を出てしばらく、雪は少ないが凍っている部分があり、アイゼンを装着。13:20に駒見平(標高2160m程度)。名前の通り、甲斐駒ケ岳が大きく見える。
鳳凰小屋までのルートは尾根に沿って北側についている。それに樹林の中でもあり次第に雪が深くなってきた。ツボ足で進むと、S木氏はそれほど沈まないが、自分はズボズボ踏み抜いて体力を消耗する。体重差によるものではない、歩き方のコツがあるのだな。
そうこうするうちに雪はますます深く、S木氏と自分はワカンに履き替え。自分はワカンを本番で使うのは初めて。やはり踏み抜くが、足を下ろす時にジワっと踏みしめる感じにするとそれほど沈まないことが分かった。そんな中、T口氏がトップに立つと、綺麗に雪を分けて両足で2本の溝を掘っていくので感心する。そこまでやっておけば後続は楽チンだ。
いつのまにか15時を過ぎ16時。講習組と取り決めてあった無線連絡の時間だ。時間通りにY永氏よりコールがあり、講習組は2216ピーク付近にテント設営したとのこと。M本講師が「早めに雪を切ってテントを張った方がいい」と言うのに対し「斜面ばかりで場所がないし、鳳凰小屋まで頑張る」と返事。
間もなく薄暗くなってきたが、それでも小屋はもう近いはずだと前進。今は2401のピークを巻いているところだろう、この岩が地図の岩場マークか、と場所を確認する。
しかし、ヘッドランプの光で谷を渡るのは危ないとなるとさすがに限界。17時半過ぎから、スコップで雪をならし、登山道を広げて3人用テントのスペースをギリギリ確保。出てきた枝はT口氏がノコギリで切断。寒さのためテントの生地が伸びず、ポールがうまく入らない・・・なんてことをやっているうちにすっかり暗くなってしまう。寒かった。街の灯が案外と近い。
ようようテントに入り込むと、とにもかくにもコンロを点けてお湯を沸かし、ココアを回し飲み。これでようやく人心地ついた。いくらか落ち着いて食事。普段なら持参の命の水(酒)とツマミを美味しく頂くところだが、今回ばかりはほとんど手が出なかった。担いできた水の残りが心細いが、雪を融かす気力もなし。明日、鳳凰小屋まで行くには足りるだろう。
テントの中で足を曲げると腿が攣るのはよくあることだが、何かを持とうと手首を曲げた拍子に左前腕がイタタタタ・・・ ずっとピッケルを握っていた右手ならともかく、何故? 冷えると筋肉が攣りやすくなるものらしい。
ロウソクランタンを点けっ放しにして20:40就寝。横になってしまうと案外快適。足の先はすぐに斜面なのだが。夜中、枝に積もった雪がテントに落ちる音がしたが、不安に思うこともなくよく眠れた。
後から考えると、日没近くなっても行動していた時には「小屋が近いといいな」という希望が「近いはずだ」という予測にすり替わっていたようだ。2401付近と場所を特定したなら、そこまでの時間とその先の距離から、あとどれくらい掛かるか推測できるのに、「その尾根を越したら小屋が見えるのではないか」などと思っていた。燕頭山からコースタイム2時間の行程の3/4程に5時間近く掛かっているのに、残り1/4がそれほど簡単に突破できる訳がない。
また、帰宅してからGPSのデータを確認すると、16時の交信時点では2401手前の2400mまで登ったところで、テントも2401を巻き終えていない地点だった。現在地の推測にも願望が入り込んでいる。
■1/14(日)
4時起床。
暗いうちはテン場の先の谷を渡れないので明けてからテント撤収。6時半頃、アイゼンを履いたりしているところに講習組が追いついてきた。本日も快晴、気温-18℃。
講習組のゲスト1名は疲労のためテント跡にツェルトを張って待機。6:50 講習組を先に立てて出発。小屋までのラッセルは任せた。ああ楽だ。正面の地蔵岳、観音岳に朝日があたりモルゲンロートが美しい。
7:50 鳳凰小屋に到着。思ったよりテン場から遠かった。昨日の疲れた状態、暗い中で到底辿り着ける距離ではない。
水もないことだし、ともかく一休み。小屋の水場はすっかり凍っていたので、テントサイトに荷物を降ろして雪を融かす。
講習組はゲストを回収して今日中に下山しなければならないので、休憩の後、来た道を戻る。我々はこの先どこまで行けるかと思っていると、T口氏が「俺はここまででいいや。テント張って待ってる」。今晩はここに泊まり、明日下山することに決定。
9:10 S木氏と自分は12時戻りで行ける所までと決め、地蔵岳を目指した。
樹林の中は相変わらずのラッセル。一箇所、樹林の切れた斜面のトラバースがあり少しだけ緊張。
やがて樹林から地蔵岳のオベリスク下に上がる谷に出た。赤テープは谷を横切った樹林に入っているが、谷の雪は堅く締まり、雪崩や落石の恐れもないと判断、そのまま直登する。
登っていくと雪が薄くなり花崗岩がのぞくようになってきた。周囲には大岩が転がっている。地図にある賽ノ河原らしい。うまくすると稜線まで行けるのではないか・・・と思ったが、そうは問屋が卸さず。近く見える稜線だが登ると逃げるようで、標高2650m地点で11時。時間切れだ。S木氏と写真を撮りあって退き返す。
11:50 テン場に帰着。気温は-3℃ほどだが、陽光が暖かく、しばらく外にいる。小屋のトイレを確認したところ、雪をどかしてドアを開ければ使えるので、トイレ前からテントまで除雪して道を付けた。小屋はもちろん無人だし、テン場にも我々以外誰もいない。静かだ。
寒くなってくるとテントに入ってあとはまったり。床はまっ平だし、融かす雪はすぐそこから取れるし快適である。
トランシーバーでラジオを聞く。AMは入らず、エフエム富士がよく入る。予報では明日も晴れ、今晩は放射冷却とのこと。
早めに就寝。
■1/15(月)
3時起床。寒い。身体を伸ばしていると足先が冷たいので横向きに丸まり、苦しくなってくるとまた伸ばすの繰り返しで、起床時間が待ち遠しかった。コンロを焚いて一息ついたところでまだ-5℃。壁際のザックに付けた温度計なので必ずしもテント内の温度ではないが。立派なテン場にいながら昨日の登山道テントより寒い思いをするとは。
5:30 出発。6:30 夜明けの富士山が美しい。講習組のテント設営地点を確認したりしつつ、7:10には燕頭山。ラッセルなしの下りは早い。ここでauが通じたので、みだいタクシーに御座石鉱泉まで来てくれるように電話。10:00~10:30の林道開放時間を狙う。
9:40 御座石鉱泉。おばちゃんに状況を訊かれ、荷物整理しているところにタクシー到着。
韮崎駅に行く前に白山温泉で入浴(\600)。アルコールを置いていないのが惜しいが、汗を流してさっぱりした。
再びタクシーに来てもらい韮崎へ。駅近くの手打ちうどんが美味しいとのことで、そこで食事。
列車の中では山塾ブログの編集を巡ってS木氏と議論になるが、時間切れに終わった。
敗退したものの、いや、敗退したからこそ、印象深い山行だった。鳳凰三山は夏に下見して、冬に再挑戦しよう。
■今回のルート







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