2006/4/13(木) 「立喰師列伝」2006年04月13日 20:30


少しだけ残業した後、渋谷シネクイントへ。
20:30の最終回となると場内は空いているが、前にいた奴が上映中に長いこと携帯を見ていやがった。眩しいじゃねーか。映画を見る気がないなら出て行けバカヤロー。

「SFマガジン」の紹介記事でスーパーライヴメーションという手法は承知していたが、実際に見ると驚く。これで2時間やるの?と思ったのだが、すぐに慣れた。実写をパタパタアニメ風にデフォルメした表現は、食い物を軸に虚実ない交ぜの戦後史を語るのに適しているやもしれぬ。

SFMに友成純一も書いていることだが、ナレーション(山寺宏一)の情報量が凄い。最初こそ理解しようとしていたのだが、難解な言い回しが出てきて意味を取りかねているうちに置き去りに。後はもう理解は後回し、ただただ運ばれていくばかりだ。「うる星やつら」のメガネ(千葉繁)の語りを思い出したが、あそこまでテンションは高くない。

押井守の術中にはまり込んで運ばれていく中での印象。
・「立喰」は押井作品の通奏低音だった。「うる星」ではケツネコロッケのお銀が語られていたと思う。「パトレイバー」初期OVAにも「立ち食いのプロみたいな勢いで」蕎麦を食うって台詞があり、「紅い眼鏡」シリーズにも印象深い「食う」場面があった。そう言えば「マッハ軒」は地下に面堂家のハリヤーを格納しているのだったな。
・東京タワーに繭を作ったモスラにマーカライトファープを浴びせたり、ウルトラマンの勇姿がダイコンフィルムだったりと捻った特撮映像の引用。ここでもマニア以外は置き去り。
立喰師としてアニメ関係者を出演させ、それを語らせるのに山田正紀を実名で出す、その他SF作家の顔出し、とまあ好き勝手やってる。
・通奏低音が主役に躍り出たのが本作ならば、これこそが押井守の集大成か。押井には一般受けする明るい作品と観客を選ぶ暗めの作品の系統があり、本作も後者に連なるものだが、後者のみの決算に留まるものではない。

まず、あのナレーションを解きほぐすまで観ないと理解できんわ、この作品は。世界の押井の作だからビデオ化はされるだろうが、売れそうにないなぁ。
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