2005/11/17(木) 北斉とグリム兄弟と小松左京 ― 2005年11月17日 00:00
今日は仕事を休みにして、まず10時過ぎに上野へ。東京国立博物館の北斎展(https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=476)。
平日なら空いているだろうと思ったのだが、入口付近は詰まってなかなか進まない状態。展示が300点あるというので、これはたまらんとすっ飛ばして後半へ。
富嶽三十六景になるほどと見入る。「神奈川沖浪裏」のダイナミックさ。短冊版シリーズの縦長を活かした構図も面白い。晩年(88歳!)の「赤壁の曹操図」、まとう鎧の華やかさ緻密さ。
入口に戻って大人しく流れに入る。若いうちから色んな絵を描いているが、銅版画風の「阿蘭陀画鏡」などに「へえ」。漫画的な「鳥羽絵集会」もいい。
さすがに春画はないのね。海女に絡み付くタコとか。単独の「蛸図」はあったけど。
一通り廻り終えたのは14時過ぎ。出品目録にはNo.495まであって、かなりの点数を期間中に入替している。11/13までとそれ以降というのが多いようだ。前半にも来ればよかったな。
400ページ近い図録が\3000。詰め込んでいるので鑑賞には向かないが、これだけまとまっているとカタログとして便利だ。
新宿に出て紀伊国屋地下の和光でとんかつを食べ、歌舞伎町ミラノ座へ。テリー・ギリアムの「ブラザーズ・グリム」(https://ja.wikipedia.org/wiki/ブラザーズ・グリム)。
映画監督としてのギリアムは「未来世紀ブラジル」以来のファン。新作は欠かさずロードショウで観ている(「ラスベガス」だけは分からなかったけど)。これも楽しみにしていたのだが・・・
いかん。遅い昼食が効いたか睡魔に襲われた。ストーリーは追えているのだが頭が働かない。で、前半はほとんど印象なし。後半で復調したが、もはや乗り遅れ。
という訳で評価は出来ないのだが、後半の感じからすると、ギリアムにしては散漫な出来なのではないか。ファンタジーにしてもユーモアにしても心に響いてくるものがない。
まあ、もう一度観てからにしよう。
ミラノ座を出て、そのままロフトプラスワン。本日は「小松左京、かく語りき」。前売り(\2000)は発売日夕方にローソンチケットで買ったら6番だった。前売り順の入場だが、開場10分前で30~40人の行列。入場してステージ正面のテーブルを確保。ほぼ満席という感じだが、ロケットまつりほどは混まず、テーブル一つ占有できた。
19:30開演。小松御大、秘書の乙部さん登場。聞き役はロケットまつりでお馴染みの笹本氏、松浦氏に加えて鹿野司氏。御大は杖を付き歩行不自由の様子だが、喋りは達者で記憶も確か。チェーンスモーカーではないにせよタバコも手放さず。乙部さんの前には日本酒と思しき徳利があり、御大も「お酒をちょーだい」とか仰っていた。実際には飲まれなかったようだが。
冒頭、笹本氏が「レイダース」を引いて「This is the history」。そのせいでもあるまいが昔話から入る。文学の同人誌をやるために描いた漫画、友人がハンコを偽造して共産党に入ったことになっていたため朝日新聞の3次までいって採用されなかった、SF作家クラブの原子力研究所見学、円盤繋がりの星新一と三島由紀夫、大阪万博の太陽の塔命名由来(K田・T=さざんかQ氏がいつか日記に書かれていた)、日本初のワープロ導入・・・
ロフトの告知では「地球、自身、宇宙…神に至るまで縦横無尽に語る!」なのだが、昔話だけで終わってしまいそうな。笹本氏も「今日中に大阪万博まで行ければ・・・」。
星新一の危険なジョーク(ア○ムと○ラ○の近親相姦、合わせて20万馬力!)からの繋がりか、ジョークネタ多し。進駐軍が理化学研究所のサイクロトロンを破壊して東京湾に沈めたからゴジラが出た。スプートニク打上の時、大阪新世界で人工衛星焼きを出した、スープと肉で出来てる(これ、自分が思いついてK元・T氏に書き送ったら、氏はずっと以前に日記に書かれていたネタ。大阪人恐るべし)。宇宙飛行士の向井さんにインタビューした時「ヒゲが生えませんでしたか」と訊いた、「♪うちゅうの女房にゃヒゲがある」。果ては「虚無回廊」驚愕の結末まで。
最後に質問コーナー。今まで行った場所で一番興味深かったのはイースター島、映像化作品のベストは「復活の日」とのこと。
ほとんどはどこかで読んだ話だったが、本人の語りで聴くのはまた格別。今回は宇宙や神の話はほとんど出なかったし、第二弾を企画して欲しい。
それにしても星新一は偉大だなぁ。
※「虚無回廊」驚愕の結末:もちろん駄洒落でオチを割るのも野暮なのだが、思い出すためのよすがだけ書いておく。「白金」
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