2002/9/1(日)~9/4(水) 赤石岳~荒川三山2002年09月01日 00:00

この夏はいつもの連れや他の友人と都合が合わず、単独行。
どこへ行こうかと思いましたが、標高順の一覧を見ると、6・7位の東岳(悪沢岳)・赤石岳を踏めばベスト10を制覇することになるので、そこを攻めることに決定。
夏休みは仕事の都合で9月にずれ込みましたが、期間はたっぷり取れました。ただ、お盆過ぎとなると、天気がちょっと心配です。

山行の情報集めはまずインターネットから。
東海フォレスト静岡鉄道のHPによると、9月になると静岡から登山口の椹島(さわらじま)まで入るバスが1日1便しかない。バスの時間からして初日は椹島までと考えて、
 1日:静岡駅 → 椹島ロッジ(バスで4時間。南アルプスはアプローチが長い)
 2日:椹島ロッジ →(赤石小屋)→ 赤石岳 → 赤石岳避難小屋
          (標高差2000mを頑張る)
 3日:赤石岳避難小屋 →(荒川小屋)→ 前岳 → 中岳 → 東岳 → 千枚岳 → 千枚小屋
 4日:千枚小屋 → 椹島ロッジ → 静岡駅
と計画しました。
もし2日に頑張れなかった場合は宿泊を赤石小屋・荒川小屋・千枚小屋として全体を1日延長する、という代替案も作成。単独行だし、延長しても夏休みは残ってるから日程も気ままなものですが、どうなりますか・・・

■9/1(日)
静岡駅から1日1便の静岡鉄道バスに乗って3時間、畑薙(はたなぎ)ロッジへ。運賃\2400、乗車時に車掌さんが荷物の重量を測って、10kg以上は手荷物料金\1200が掛かります。わたしは10kg台ということで運賃のみ(オマケしてくれたのかな)。畑薙ロッジで東海フォレストの送迎バスに乗り換えて、さらに1時間揺られます。畑薙第一ダムから先は未舗装で、ガタピシと文字通りに揺れる揺れる。時刻表ピッタリの12:40に椹島ロッジ着。
受付を済ませてしまうと夕食までやることもなし。外に出てみるとロッジ前に「鳥森山自然観察路」ってのがあって、案内板を見るとすぐ登れそうな感じ。カメラだけ持って踏み込みましたがなかなか頂上まで行き着かず、結局1時間近く歩いて一汗かいてしまいした。頂上からは聖岳・奥聖岳がよく見え、赤石岳は木の間隠れ。戻ってから地図を見たら、登り1:10となってました。最初に確認しておけばよかった。
ロッジはきれいで、お風呂もあります。生ビールも飲めるし、朝夕食以外に食堂で簡単な食事もできる。HPには弁当\1000と載っていますが、他におにぎり2個\500もありました。3人の相部屋でしたが余裕は十分。1日\300~400のコインロッカーもあるので、ここまで下界の服装で来て、着替えや靴を預けておくこともできます。夕食17時、消灯21時、朝食5時。

■9/2(月)
椹島ロッジを6時前に出発。ここから赤石岳を目指す人は少ないのか、前後に人影なし。
森の中を少し登っていくとフッと道が途切れていて、案内の矢印が上を指してる場所があり、そっちに踏み跡らしきものも見える。で、行ってみたら直登で踏み跡も心細くなり、道に出る様子もない。15分ほどでこれ以上行ったら迷うと思って引き返しました。戻ってみたらすぐ先にちゃんと道がある。なんでこれが見えなかったかなー。
それにしても体力の衰えを痛感。避難小屋泊まりのため食料や水を余分に持っているとは言え、登りでまるで息が続かない。この数ヶ月で付いた贅肉が重りになっているのか。ずっと森の中の道で、<XXまで○km>といった表示もほとんどなく、地図を見ても自分がどの辺にいるのかよく分からないのも辛い。赤石小屋はまだか、そこで大休止して12時を過ぎるようなら今日はそこで泊まりかな、と精神的にメゲかけていたら、いきなり小屋が現れました。入口に「赤石小屋」とあるけど、思ったよりも早いし、ずいぶんボロで誰もいない。HPにはきれいな小屋が載っていなかったか? これはキツネに化かされてるんじゃないか・・・と思いつつ、とにかく荷物を降ろして大休止。おにぎりを食べ、水場まで少し下って水筒を満たす。元気が出たところで、まだ11:30だから予定通り赤石岳まで行けるなと歩き出したら、すぐに本物の赤石小屋がありました。休んだ処は冬季小屋だったのでした。
赤石・冬季小屋
                            赤石・冬季小屋。中は無人
赤石小屋の水場
                            赤石小屋の水場。水筒を満たす程度なら十分な水量(*1)
赤石小屋前より
                            本物の赤石小屋前より
しかし、本当に人が少ない。赤石小屋までに何人か下ってくる人には会いましたが、登る人は皆無。すれ違った人に聞いてみたら、1時間以上も前に登りのパーティがいたとのことですが、とうとう出会いませんでした。その人たちは赤石小屋泊まりだったのか。午前の早いうちに到着したはずですが。

赤石小屋から30分程で富士見平。名前の通り、富士山がよく見えます。ちゃんと<平>な場所がありますから、ここでお昼にするのも悪くないでしょう。
富士見平(の手前)より
                            富士見平(の手前)より
マツムシソウ
                            マツムシソウ
トリカブト
                            トリカブト
その後しばらくは楽な道で、高山植物の花など見ながら歩きます。盛りは過ぎた感じでしたが、タカネマツムシソウ・ミヤマトリカブトなど咲いてました(花の名前は自信なし。違っていたらゴメンナサイ)。
その後、尾根に上がるところがまた辛い。北沢源頭には特に標識はないようですが、地図に<水場>とあり、赤石岳避難小屋では飲用水として提供しています。急登の始めに水を汲める場所がありますが、標識がないからと見送っていると沢から離れてしまいます。後はまた息を切らして登り、小赤石岳との分岐から赤石岳頂上へ。
頂上直下で下りてくる人たちとすれ違い、14:20頂上着。到着した時には最後のグループが下りるところでした。避難小屋は頂上からほんの少し下ったところ。受付をして缶ビールを買い、引き返して一人で乾杯。しばらく昼寝したりボーっとしてましたが、誰も上がってきません。音といえば鳥の声と時折の飛行機の爆音のみ。3000mの頂上を独り占めしていい気分。
赤石岳山頂
                           赤石岳山頂。2000m登った~
赤石岳避難小屋の宿泊者はわたし一人。避難小屋とは言えきれいな建物です。水も、食事やコーヒー等もあります。もちろん有料で、食事はレトルト食品をお湯付きで売るだけですが(*2)。日没後、消灯(20:30頃)まで電灯も点きます。運び上げたアルファ米とスープで食事にし、夕焼けを眺め、日没後は持って行った文庫本を読む。暗くなってからトイレに出てみたら星がきれいでした。白鳥が銀河に身体を浸しているのを見るのは久しぶり。消灯時間を待たずに就寝。 
赤石岳避難小屋
                            赤石岳避難小屋外観
赤石岳避難小屋内部
                            赤石岳避難小屋内部(2階)

■9/3(火)
4:30起床。夕食と同じく、アルファ米とスープで朝食。雲海に浮かぶ富士山が美しい。6時前に出発。
夜明けの富士山
                            赤石岳避難小屋より夜明けの富士山
まず赤石と小赤石岳を踏んで、その後は荒川小屋まで下り。ここで水と頂上乾杯用の缶ビールを仕入れます。水場に入るところに『水が細くなりポンプを使用中は水が出ません。新館でl(リットル)100円でお分けします。8時より11時頃まで』と掲示がありますが、わたしが立ち寄ったのは7:30前で蛇口から流しっぱなしになってました。この小屋も新しそうできれいな建物です。
小屋を出るとまた登り。いい加減疲れたところに眺望のきく格好の休憩場所があるのでへたりこむと、ご丁寧に『ここは展望台 登山路上ではない』と立札がありました。もう少し這い上がってやっと尾根。前岳・中岳・荒川小屋の分岐です。出発してからここまで、ほとんど人に会ってません。
展望台より
                            登山路ではない展望台より
尾根に這い上がって
                            尾根に這い上がって。遠くは中ア~乗鞍~北ア
分岐表示のところにザックを置いて(ああ、荷物がないと身体が軽い♪)、前岳を往復。ここで中岳避難小屋に泊まるという単独の女性と会いました。この山が好きで何回も来ているとのこと。早い時間に小屋に入って、3000mの空気を存分に味わうんですね。そういう登山もいいなぁ。
前岳
引き返してザックを背負い(お、重い・・・)、中岳を通過。ここの避難小屋も立派なものでしたが立ち寄らず。さっきの女性の話ではまだ管理人が入っているとのことでした(*3)。
中岳
いよいよ今回の最高峰、東岳(悪沢岳)へ。山頂部は少々岩登り的な感じになります。今回はずっと歩きモードだったし背中は重いしで、ちょっとドキドキしながら三点確保。10:30頂上着、ここにも誰もいません。標高ベスト10制覇を記念して一人でカンパ~イ・・・とビールを飲んでいるところに、先ほどの女性が小さな荷物でやってきました。あれが塩見岳でこっちは小河内(こごうち)岳とか教えてもらってるうちに、周囲の山は雲に隠れてきてしまい残念。ここでまたもやアルファ米で昼食にして、11:30出発。
東岳(悪沢岳)
最高点を踏んであとは下るだけ・・・とはいかず、最後に千枚岳の登り。ここも頂上は岩で、やっぱり誰もいませんでした。周囲の山はさっぱり見えず、一休みして今日の寝場所の千枚小屋へ向かいます。

千枚小屋には13:00着。もっと上でゆっくりしていてもよかった。小屋は樹林の中で、周囲には花が咲いてました。天気がよければ富士山など見えるのでしょうが、残念ながらガスで眺望なし。ここも新しくてきれいな建物です。缶ビールの中にヱビスもあり、他のと同じ\600なのがちょっと嬉しかったりして(^_^) 大きなクロネコがいたけど、こんな山の中で遊び相手はいるのかなぁ。親父さんは長髪で面白そうな人。夕食後に談話室にいたら、ギターを抱えてきて一曲歌っていきました(帰りのバスで、ここでバイトしていたという女の子に聞いたところ、毎日歌うのだとか。歳はわたしより上です)。
千枚小屋
                            千枚小屋
ヤナギラン
                           小屋前のヤナギラン

■9/4(水)
今日も4:30起床。しかし、泊まり合わせた十数人の大部分はここから登りで、みんな出発した後。残ったのは椹島に下る3人のみ。朝食後、冬季小屋からの眺望がいいと聞き、行ってみました。なるほど、聖岳、赤石岳方面がよく見えます。しかし、建物の名前が『月光荘』はいいとして『百枚小屋』ってのは、親父さんのセンスなんでしょうか。この冬季小屋も木の香りがするような新築です。 
千枚小屋より聖岳
                            千枚小屋より聖岳。手前が奥聖
椹島への途中、清水平に熊が出たという話を親父さんから聞いて、6時過ぎに3人で出発。ただし一人はマイペースで行くと言って離れました。途中、ちょっと景色の見えるところ(ここが<見晴台>らしいけど、ただの道としか思えない)がある他は樹林の中を下るばかり。問題の清水平で休憩。ここの水は美味いし、離れた一人が少し気になったりもして、やや長居をしてしまいました。やがて林道を横切った後、なぜか登りに・・・ ちゃんと地図を見れば分かるのですが、一登りの後急降下して沢沿いの道になります。最後に吊橋を渡り、虹の掛かる滝の間近を通って椹島ロッジに続く林道へ。ロッジには9:50着。
10:00の送迎バスで畑薙ロッジまで行き、その近くの温泉・白樺荘で汚れを落とすって選択肢もありましたが、靴擦れも痛いし、一刻も早く生ビールを飲みたいわたしは、椹島でシャワー(\500)を浴びて午後のバスを待つことにしました。ビール飲んだりうどん食べたり本を読んだりして時間をつぶし、バスを乗り継いで下界へ。これにて今回の山行、無事終了。

*1:赤石小屋に泊まった人に後から聞いた話では、水場まで行かなくても水はあるが、汲めるのは午後3~6時といった時間制限があったとのこと。
*2:東海フォレストHPによると、赤石岳避難小屋に管理人さんがいるのは9月一杯。また、水はないとのこと。わたしが泊まった時には北沢源頭の水を有料で提供していましたが、当てにしてはいけないってことです。
*3:昭文社の登山地図には8月一杯とありますが、東海フォレストHPによると赤石岳避難小屋と同じく9月一杯とのこと。

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