2018/7/15(日)~7/17(火) 空木岳2018年07月15日 00:00

3連休初日の14日が夜勤、17日を振休としたため、15日の帰宅後に出発、2泊3日で行ける高くて涼しいところ、という条件で探すドロナワ計画。駒ヶ根から入って空木岳に登り、一日を上で過ごして倉本駅に下りる東西横断山行とした。エアリア(昭文社の山と高原地図)では最後に林道をショートカットする箇所以外は実線の一般ルートなので、地形図も持たない横着ぶり。

■7/15(日)
夜勤明けで帰宅し、一息ついてから家を出る。バスタ新宿から高速バスを利用、駒ヶ根駅16時の最終路線バスに間に合うはずだったが渋滞のためアウト。駅近くで食事しようにも半端な時間で食堂も閉まっており、タクシーを待って林道終点まで・・・と思ったら先日の大雨で通行止めとのこと、菅ノ台から少し入った登山道入口まで\1900也。晴れて天気が安定しているのはいいが、蒸し暑い。
17時過ぎに歩き始め、それなりの急登で時折林道に絡みながら登っていく。すれ違う人に「これからですか」と言われるのも無理はない。18時前に東屋とトイレのある林道終点(標高1365m)に到着して一息。停めてあったママチャリで下って行く男性は、地図にある野生動物観察棟あたりの仕事か。
ここからやっと本当の登山道だが、最初は尾根を回り込む平坦な道。鷹打(タカウチ)場(1500m)では池山に登らずに小屋に至る遊歩道と分岐するが、指導標の指す「池山山頂(急峻)」へと進む。水を被ったように汗をかいて登り、池山(1774.0m)に18:50。夕暮れの西空、雲の上に顔を出している三角のトンガリは宝剣岳か。もうひと踏ん張りして19時に本日の寝場所、池山小屋に着いた。
池山小屋
屋根は高いが平屋で、先客は単独男性2、若い男女ペア1。男女ペアは食事中だが、薄暗い中で誰もが静かにしている。こちらは荷物を置いて小屋前の水場で顔を洗い、汗臭いシャツをジャブジャブ。小屋内にあった低い台で食事し、少し酒を飲む。テラスに出ると、東の空に細い月が昇っていた。

■7/16(月・祝)
5:15出発。晴れ。
まだ涼しい樹林を歩き、マセナギの前後では道に出てきたヒキガエルをなでたりギンリョウソウを見つけたり。マセナギを過ぎると風が通って少し涼しい。やがて傾斜がきつくなってハシゴ段や岩場のクサリが現れるのは大地獄・小地獄と名のつく痩せ尾根の難所らしいが、登るのは簡単。シャクナゲやクルマユリが咲いている。「迷尾根」の看板の付いた箇所はなるほど、トラロープで通せんぼされていなければ南へ直進して迷いそうな地形だ。下ってきて休憩している人がおり、こちらも一服。
迷尾根の頭は2282の尾根を回り込んだ形で、ここから尾根の側面をハシゴ段を交えて上がり、主尾根に戻るとヨナ沢の頭。樹林帯を淡々と登っていくと空木岳と空木平避難小屋の分岐標識があり、避難小屋へ向かう。日が当たるようになり、ニッコウキスゲやシナノキンバイ、チングルマのお花畑が見られた。橋の掛かった小さな沢を渡ると小屋が見え、泊まっていた最後の人が出発するところだった。
空木平避難小屋
今日は標高2520mのここを根城に山頂周辺で過ごす計画だが、まだ8時。少し早過ぎたか。
小屋は空木平カールの中央に位置し、山頂に向かって右側に稜線が一段高く、白く輝く巨岩を散りばめている。空は青く、斜面の緑は濃い。小屋前には先ほどの沢が流れていて水も汲みやすいのだが、水場になっていないのは上に駒峰(こまほう)ヒュッテがあって大腸菌がいるのだろうか。池山小屋の水場から十分に持ち上げてきたが、ここの水も煮沸すれば使えるだろう。

小屋に入って右手前に場所取りし、サブザックに最低限の持ち物を入れて8:30に出発。沢沿いに、時には沢の中をコバイケイソウやコマクサを見ながら登る。足元は花崗岩やその砂礫で全体に白い中、ひときわ白い残雪を手に取って首筋に当てて涼を取る。ヒュッテを過ぎると砂礫を丸太で補強した道となり、9:20 空木岳(2864.0m)登頂。パノラマで中央アルプスの縦走ルートはもちろん、南東には塩見岳の隣に富士山が頭を覗かせ、反対側は木曽御嶽から乗鞍、槍の穂先も見える。前回この頂を踏んだのは2008年7月20日、2泊で木曽駒から越百山まで縦走したのだった。
一休みしてから縦走路を南へ。どこまで行くとも決めずに稜線歩きを楽しむ。ヒメウスユキソウやイワギキョウ、シャクナゲの花は昨日の登りで見たのよりフレッシュだ。赤椰岳(あかなぎだけ、2798m)で休憩、10年前に泊まった摺鉢窪(すりばちくぼ)避難小屋が見える。そこから小屋への分岐まで下って10:40。南駒ケ岳まで20分と指導標にあるが、見上げる山容は大きくここまでとした。縦走する人たちに抜かれたり抜いたりしながら空木山頂に戻ると12時近い。結構草臥れて脱水気味だが、気楽な個人山行であとは避難小屋に戻るだけだし、久しぶりに山頂ビールといこう。駒峰ヒュッテまで下って缶ビールと登頂記念のバッチを買い求めて取って返し、三角点票にビールを乗せた写真をfacebookに投稿(山頂は電波が入る)してから一人乾杯。景色を眺めながら時間をかけて飲んだ。
空木山頂ビール
13時に腰を上げ、ヒュッテの無人のテラスを通って稜線の下山路へ。ハイマツの間の道に点在する花崗岩の巨岩の中でも駒石がとりわけ大きい。ビールのせいか身体が重いこともあってゆっくり歩き、樹林帯に入った分岐から避難小屋に戻って14時。これにて本日の行動終了。

小屋には単独男性が入っていた。木曽駒からの縦走で昨日は檜尾避難小屋泊とのこと。肉と鉄板に酒を持って泊まり合わせた人と焼肉を楽しむ趣向だそうで、鶏肉を焼いて勧めてくれる。こちらはペットボトルのIWハーパーを出し、遠慮なくご馳走になった。
馬鹿話の中で、この小屋は心霊スポットだと言う。昔は遭難者をここで荼毘に付したらしい。「実はさっきからラップ音がしてるんですよ」。耳を澄ますとなるほど屋根からパラパラと小石の当たるような、あるいはパタタタ…と連続して雫の落ちるような音がしている。不思議だが、お互いそっち方面は何も感じない性質(たち)で、また両人ともシステム屋ということもあり、論理的にあれこれ推測。外に出て屋根の上の様子を観察しようかとも思ったのだが、さすがに小屋装備の脚立を引っ張り出すのは気が引けるし重くて面倒なので止めた。音は時折止むし、日が傾いてくると日の当たっている側に限られる様子なので、おそらく屋根材が日照で膨張収縮して軋むとか屋根上の小粒の礫が熱で跳ねるような現象なのだろう。
男性(O宮氏という)を無名山塾の集会に誘い、肉を食べつくし、酒も飲み尽くして就寝。明け方は少し冷えてフリースを着込んだ。

■7/17(火)
O宮氏と再会を約し、5時過ぎに小屋を出る。晴れ。
いささか飲み過ぎで身体が重く、山頂まで1時間かかった。岩場を伝い急傾斜を下って木曽殿越までまた1時間、もう少し進み岩肌を流れ下る<木曽義仲の力水>で喉を潤して休憩。樹林に入って陽射しが遮られるのがありがたい。困難はないが道は細く、倒木を乗り越えたり崩壊箇所に掛かった丸木が腐りかけだったりと結構ワイルドなルートだ。八合目手前の<御岳見晴台>からは樹に遮られて御嶽山はよく見えない。<仙人の泉>は<力水>ほどではないがパイプから流れる水量は十分ある。北沢の吊橋に9:10。吊橋の袂にザックを置いて河原に下り水浴びしている男性が二人いてちょっと羨ましいが先へ行く。
ようやくエアリアのコースタイムよりスピードアップしてきたと思ったが、沢を渡ればわずかながらもまた登らなければならないのが辛い。1652.6m三角点は道から外れているようで気づかぬうちに通り過ぎ、<うさぎ平>で林道に出て10時。ここの水場はコンクリ法面から出ている塩ビパイプで、傍らのひしゃげたコップが目印になっていた。道路を歩いて<金沢土場>に10:20。この分岐を南下した今朝沢橋の駐車場まで車を使い、越百山~空木岳を周回する人が多いらしいが、こちらはあくまでも西進する。
さらに15分ほど道路を辿り、「倉本駅へ2時間40分」の道標から左へ入るとすぐ伊奈川に出る(エアリアの水場マークはこの川のことか?)。岸の両側のコンクリート土台と構造物の残骸は渡し場のリフトか何かだろうか。岩を跳んで難なく渡れたが、増水していたら困ったことになりそうだ。ぱっと見たところではそこから続く道はなく、右(上流側)を探ってみたがそちらにも人跡なし。ちょっとウロウロした挙句、渡し場があったのなら道はそこから続いているはずと考えて探すと、細い踏み跡にテープが付いているのを発見した。百名山に至る道にしてはずいぶん心細い。
ここからまた登りで町村境の<中八丁峠>を越えなければならない。踏み跡の不明瞭な箇所もあり、暗かったらルートを見失いそうだ。峠手前の八丁清水で休憩、ようよう登りきって11:20。いい加減草臥れた身には辛い登りだった。あとは駅まで長いだけで下る一方なのだが、遊歩道のように気持ちのいい道かと思うと辛うじて踏み跡の付いた斜面を横切る箇所もある。刈払いはしてあるものの、通る人はほとんどいない様子だ。道脇の柵などに人里の気配を感じ、<イザルボテ>(どういう意味?)に12時。木陰で一息ついてから<馬の背>で車道に出た。
エアリアにはここから車道をショートカットする破線ルートが載っている一方、道脇に「倉本駅には車道を利用してください」の立札。ショートカットの方向を覗いてみると踏み跡は付いている。炎天下、大迂回になる道路を歩きたくないので、トゲのある植物を掻き分けてそちらに踏み込んだ。最初のうち進路は明瞭で楽勝かと思われたが、間もなく踏み跡が怪しくなり、ルートに復帰したかと思うと分岐したりしている。地形図で尾根谷を見極めつつ進むならともかく、エアリア一枚で下るのは無理と判断し、息を切らせて登り返した。ロスしたのは20分足らずだが、帰宅してからGPS軌跡を見ると案の定、ルートから外れた尾根を下りかけていた。諦めて大人しく車道を歩くが、思ったより木陰が多く、それほど暑くないので助かった。
しかし、集落に出てからも駅への案内表示が不明確でT字路を反対に行かされたり、それに懲りて道標を信じずに遠回りしたりで、倉本駅に着いたのは14時。山頂から8時間、長い下りだったが、中央アルプス東西横断を歩き通して満足。

下山したらビールと行きたいところだが、駅周辺に食堂はおろか、自販機の一つも見当たらない。しかも次の電車までに1時間以上ある。風呂に入れるかとタクシーを呼んで<寝覚の床>のホテルに着けてもらったがダメで、そのまま棧(かけはし)温泉まで行った。湯船は鉱泉を沸かしたのと源泉のまま冷たいのとが並んでいて貸切状態。さっぱりして再びタクシーを呼び、上松から塩尻に出てあずさに乗った。

O宮氏は無名山塾の7月の集会に参加し、入会を即断してしまった。集会よりもその後の飲み会が気に入ったのかもしれないが。

■今回のルート
空木岳ルート(1)

空木岳ルート(2)

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