2015/9/22(火) 奥多摩・日蔭指尾根~十二天尾根 ― 2015年09月22日 00:00
SWをカレンダー通りに休めると思っていなかったので何も計画がなく、とりあえず単独日帰りで歩きに出かけた。松浦隆康『バリエーションハイキング』からみつけた奥多摩の日蔭指(ひかげざす)尾根~十二天尾根。地図には道(登山道含む)のないルートだ。
8時半の奥多摩駅前バス停はハイキング客で一杯で、臨時便で捌いていた。大沢で下車、8:50 歩き始め。晴れ。
舗装路のヘアピンカーブから日蔭指尾根に取り付く。最初は急登。踏み跡が付いているので辿るが、どこでも登れる。植林が雑木林に変わると、日差しが木の葉を通して優しい光になり、道路からの自動車音も聞こえなくなって気分が良い。
この尾根のルート上には岩場が3箇所ある。標高940m付近で最初の岩場。苔の付いた岩の間に木が生えている。『バリハイ』には「左寄りに進んで乗り越える」とあるが、どこでも行けそうなので正面突破。
一息ついて、1060mの第二の岩場も特に問題なく正面突破。上がったところには「農大」の文字の入ったコンクリート標石があり、以後、尾根上に点々とこれを見る。ふたたび植林になるのは農大と関係あるのか、単に傾斜が緩んで植えやすいところに植えたのか。それがまた雑木に戻り、1250mで岩がちの細い尾根に乗る。つまり、尾根の合流点だ。1400mの第三の岩場は足元が泥になる箇所もあり、半分木登りで突破。『バリハイ』には「正面から登って左寄りに回ればよい」とあり、たぶん左に寄っていけば木を掴んで身体を引き上げるような急傾斜を避けられたのだろう。
岩場を越えて、なだらかな高まりが狩倉山北峰らしい。その先で一般道(昭文社の山と高原地図で実線)から分かれた道の付いている1452mが狩倉山(不老山)。11:23、本日の登りはここまで。猿が2~3頭、こちらを見ると木から下りて樹林に消えたが、悠々と歩いている奴もいる。
一般道を下っていくと、やっと人に会う。奥多摩駅への道標に従って三ノ木戸(さぬきど)山には上がらず、山頂(と言っても、歩いている道から横に見える尾根の上)からの道との合流地点で、北へ向かう十二天尾根に入る。『バリハイ』ではそこからすぐに東へ分岐する見通尾根を案内しているのだが、十二天尾根の先にあるオキノ十二天に行きたいので直進。踏み跡はあった。
この尾根を登ってくる二人組がいたのは意外だったが、もしかすると農大の実習かもしれない。適当に踏み跡とテープを追って下ると作業道に、さらに不老林道に出た。オキノ十二天は林道の末端にあるらしいので奥(左)へ進む。尾根の側面を下りてしまったようで、歩く前方に尾根末端が来て、そこに木段付きの道が付いていた。
その先の林道末端には資材置き場らしい囲いと簡易トイレ。オキノ十二天はそこから尾根を進んだ804m地点にあった。覆い屋に収まったまだ新しそうな石の祠。両脇に素朴な狛犬が控え、脇には「十二天山神」と刻んだ丸石がある。年代は分からない。ここには休憩舎もあるが、お祭りの時にでも使うのだろうか。そうそうハイキング客が来るとは思えない。
林道を戻って十二天尾根を下りた場所を過ぎ、『バリハイ』によれば見通し尾根と交わる地点がトバノ十二天。道から外れて尾根を少し下りると、崖の上でいかにも祠を置くに相応しい場所がある。特に痕跡はないが、『バリハイ』にも「祠の跡形もなく」とあり、間違いないだろう。オキ、トバは、谷川岳のオキノ耳、トマノ耳と同じく、奥、手前の意味だ。
さらに行くと作業小屋があり、そこにテントを張っている人がいた。その後で登ってくる学生風とも擦れ違ったので、やはり農大生かもしれない。
東京農業大学研修センターを過ぎると、寺地への分岐手前に神社マークがある。『バリハイ』には将門神社(祭神は栃久保の根元神社に遷座)と紹介されており、分岐は「玄庵という建物への小道の手前20m」とのこと。木にテープの付いた箇所にかすかに踏み跡らしいものがあるので入ってみたが、これはハズレ。下に見える給水施設を目指して強引に下りると、そこには確かに道があった。その道を少し下ると、太目の杉2本の前に短い石段がほとんど埋もれており、そこから斜面を上がった先に神社跡が見えた。石積みの上に屋根だけ載っていて、祠の残骸と思しき板切れが斜面に散らばっている。目に付いたものを拾って、屋根の下に入れておいた。
将門神社といい、石尾根の六ツ石山の先にある将門馬場(ばんば)といい、奥多摩にも将門伝説があるのだな(http://blog.goo.ne.jp/shuban258/e/6665e6dae1c7a59af405c700e73b4a9b)。踏み跡を道に戻ってみると、入口には目印のつもりか石が2個置いてあった。しかし、踏み跡はほとんど見えず、「分かるか、こんなの」という感じ。
あとは道のまま道標のままに奥多摩駅へ。途中、道端の曼珠沙華でクロアゲハが蜜を吸っている、紅と黒の取り合わせが鮮やかだった。
駅には14:50到着。駅前の食堂は満席だったので缶ビールだけ買ってホームへ。
■今回のルート
■2020/8 追記
十二天社の狛犬について当時は「素朴」以上の感想は持たなかったようだが、狼信仰を意識するようになった現在、これもお犬様と考えて間違いなさそうだ。彫りは粗いが、牙や長い尾を表現したように見える。足の間を掘りぬいていない造形は古さを示すものかもしれないが、石工の技術もあるので何とも言えない。自分の撮った写真では確認できないが、台座には「寺字 峯畑 不老」(吽形)、「栃久保」(阿形)と付近の集落名が刻んであるとのこと(https://blog.goo.ne.jp/bosatu2014/e/4625728205a536b5873fc81c2372639d)。
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