2005/9/21(水) うわの空公演「ひよこのパジャマ」 ― 2005年09月21日 19:00
仕事の後、池袋シアターグリーンへ。
開場時間より少し早めに行ったら会場近くで唐沢俊一氏に遭遇。コンビニで食事を買っておられる。「食べておかないと声が出ないから」とのこと。
入場して本来の座席の最前列に座るが、前に一列、パイプ椅子が並んでいる。やがてそれも埋まってきて舞台が見えなくなりそうなので結局パイプ椅子に移動。舞台全体を見渡すことは出来ないが、座長が飛ばす唾までよく見える。おぐりゆかさんは熱演で序盤はずいぶん汗をかいていた。
矢部先生の唐沢氏はずいぶん語りがあっていい役だった。セルフパロディで薀蓄を語り、故人の人柄を語る。それにしてもド派手な蟻シャツ。
唐沢氏の日記(*1)の通り、今回の座長は掻き回し役。生まれ変わった父さんをあの世に送り返したり、しまさん(エリカ)の秘密をぶちまけたり、照れたりどついたり怒らせたり実に楽しそう。
林美輪子(陶芸家・まなみ)はその怒りの演技が秀逸。間近で見ていると本当に怒気が出ているよう。
☆9/28追記;9/26付「とうしろう日記」によると、お母さんが公演中に他界されたとのこと。ご冥福をお祈りします。
小林三十朗も上手かった。役名は大林ヒデヤか。ちっ、かすった(何と?) 劇場の建物を出たところに並んでおられたので「良かったです」と声を掛ける。
高橋奈緒美(あすか)も良い。明るい天然ボケ気味の演技。唐沢氏との電話ギャグに笑う。長い髪で相手をぶつのは技だわ。
しかしやっぱり一番はおぐりさんか。「父さん見つけた」「目で言うんだよ」。言葉に勢いがあって、しかもヘン。日記や唐沢氏との本などからすると半分は地なのかも。とにかく面白い。
ストーリー的には、最後に地下室から故人がみさおを前妻愛人に負けずに愛していたという物件が現れて泣きに入るかと思っていたのだが、そんな予定調和は軽く捨て去って「ナンパに行く~。お父さんウソついてたんだもん」。うん、こっちの方がこじんまりしたまとめよりずっといい。
唐沢氏の日記などによると、今回の公演も毎日変化しているらしい。どんどん変化して完成を知らないのがうわの空なのだな。4月の本公演は再び「ただいま!」。この春に一度見た芝居(https://marukoba.asablo.jp/blog/2005/05/04/9526932)だが、どんなふうに変わっているのか、確かめに行こうと思う。
*1(ミクシィ日記から本ブログへの転載に当たっての注記)
上の文中の「日記」はミクシィのものなので、氏のHPから当日の「裏モノ日記」をリンクしておく ⇒ http://www.tobunken.com/diary/diary20050921000000.html
2005/9/23(金)~9/24(土) 剱岳、立山 ― 2005年09月23日 00:00
先月の光岳(⇒ 8/28~8/31記事)で知り合ったKさんと、この3連休は立山・剱岳へ行こうかという話になった。天気予報はよくないが決行することにして夜行バスを手配。が、結局Kさんは行けなくなった。まあよい、気楽な単独行だ。
夜行バスは某社の新宿→室堂ルートをgoogleで見つけ、9/17にオンライン予約しようとしたがpage not foundで実行不能。仕方ないのでメールを投げておいたら9/20になってWebの不備を棚に上げ「満席で予約は受けられない」と言ってきた。腹に据えかねて説明を求めたら一転、詫びを入れて席も用意したので許す。もちろん正規の料金を支払ったが。
今回の予定は以下の通り。予報では連休中ずっと降水確率高いが、比較的悪くない土曜日を剱岳に当てる。雨だったら剱はやめた方が身のためかも。その辺は現地判断ということにして、ゆるゆるのスケジュール。
○9/22(木)
22:30 新宿から高速バス
○9/23(金)
7:15 室堂~立山~剣山荘(けんざんそう)
○9/24(土)
剱岳~雷鳥荘
○9/25(日)
適当なバス、列車で帰宅
9/22(木)、ザックと登山靴を池袋駅のコインロッカーに入れて通常勤務。休憩時間に剣山荘に宿泊予約の電話をしたら「超満員だが構わないか」と訊かれる。連休では仕方ないとそのまま予約。雷鳥荘は何も言わずに受けてくれた。退勤後、北千住の叔父宅で着替えて新宿へ。車中ではビール1缶と睡眠導入剤で思ったよりも眠れた。
■9/23(金)
運転手のアナウンスで目覚めると、よく晴れている。この天気がいつまで続くか分からないので急遽予定変更、本日を剱岳とする。宿は予定通り剣山荘でいいだろう。この辺のいい加減さが単独のいいところだ。
室堂には予定よりやや早く到着。ホテル立山の喫茶店でトーストとカフェオレの朝食をとって、7:47歩き始め。
立山は初めてなので地獄谷など眺めながら行く。
雷鳥坂を登って剱御前小舎に9:10。ガスが掛かってきた。「予約のない人は剣山荘に宿泊できない」旨の掲示あり。予約しておいてよかった。
ここからはなだらかな下り。剣山荘を右下に見る頃から登りになって一服剱(2618m)。反対方向から来た二人連れがいたが、そこにオコジョが現れた。「今オコジョがいましたよね?」「ええ、茶色いのが」「あ、あの岩の下に入った」。岩陰から出たところで全身を見られたが、尻尾を入れて30cm足らずか、結構スリムな体型だった。
進んで11時に前剱(2813m)。金属プレートに「前剱頂上 Mt.Maetsurugi SUMMIT」それにハングル表記がある。ガスは取れたが雲量はだんだん増えてくる感じで、剱の山頂付近は見え隠れ。眼下に雪渓あり。
間もなく剱岳最初の洗礼「門」。切れ落ちた岸壁にクサリが張ってあり、足元の細い棚を歩く。こういう箇所は渋滞しているだろうと思ってきたのだが、案に相違して誰もいない。空いているのはいいが一人きりとは・・・ まあ実際には特に難しいこともなく無事通過。
次が所謂「カニの縦這(たてばい)」。垂直に近い17mの登り。さすがに喉が渇くが、手掛かり足掛かりが見つからなければ鎖に頼って上がればいいので難しくはない。しかし、夜行バスで疲れていたのか太股の筋肉が痛くなってきた。後から単独の速い男性が来たので途中から先に行ってもらう。
12:40、剱岳山頂(2998m)。女性二人組と先ほどの男性がいて、祠の前で男性と写真を撮りあった。3人が下りてしまった後、一人で周りを眺めるが、北はガスで真っ白、南も雲が多くて山の形はよく分からず。北方稜線ルートはだいたい見えたが死にそうな所である。
下りはまず「カニの横這」のはずだが、数あるクサリ、ハシゴの中、よく分からぬまま通過。
しばらく行くと山頂の女性二人が見えたが、案外速くてなかなか追いつけない。一服剱の手前で追い越したが、一服剱で一服して結局剣山荘まで同道。
剣山荘に14:40。受付すると201号室を割り当てられた。装備や靴は廊下にという指示だけで、寝る場所の指定はなし。部屋を覗いてみると寝ている人あり、勝手な向きに布団を敷いて寝転んでいる人ありで、場所を決めるのは後でいいかとビールを買って外に出た。
見ると例の女性二人組もベンチで飲んでいるのでご一緒させてもらう。一人は20代、可愛い。高知出身、京都在住。もう一人は少しだけ歳のいった松本の人。ラジオのパーソナリティか何か。山で知り合ったそうだ。若い方は酒好きで、高知の酔鯨は美味しいとか「酒の一滴は血の一滴」とか話が合う。むこうは自炊なので飲んで喋ってお休みなさいと別れたけど、メールアドレスを交換しておけばよかったなぁ。
夕食をとって部屋に入るとギッチリ。皆自炊なのか? 布団10組の部屋に14人割り当てられており、ドア前の布団に潜り込む。早々に就寝モードに入るが、暑くて酒と睡眠導入剤をもってしても寝付かれず。夜半過ぎか、ようやく涼しくなった。
■9/24(土)
寝苦しかった夜が明けた。今日も上天気。
剱に上がる人はたいてい朝食を待たずに4時頃から準備して出掛けていく。今日は団体さんもいるし(小屋が超満員だったのはこの団体のせいかも)剱は混雑するだろう。昨日済ませておいてよかった。
こちらは楽な立山巡りなので5時半の朝食を食べて6時過ぎに出発。
剱沢小屋を経て別山(2874m)に上がる。小屋からの標高差約350m、朝のウォーミングアップとしては少々きつい。祠のあるところが山頂だと思ったが、実はその先に6mほど高い場所があるのだった。そこまで行かずとも、剱、立山の眺めが圧巻。
そこからは緩やかなダウン、アップで真砂岳(2861m)に8時。真砂岳手前に内蔵之助山荘への分岐がある。昨日の女性二人は今日は別山から内蔵之助山荘までだと言っていたが、剣山荘でどんなにゆっくりしていても時間が余るぞ。
この先がいよいよ3000mの世界。まず富士ノ折立(2999m)に上がる。道標まで来ても高度計の表示は15m程足りない。そこに見えている岩峰に踏み跡を探してよじ登ると真新しいマジック書きの板があった。「富士ノ折立 2999m 2005.09.19」。
後はもう立山連峰最高峰の大汝山(3015m)はすぐそこで8:53到着。大岩の堆積みたいなところが山頂で、ここも板切れに「大汝山 3015m」とあるのみ。拍子抜けするような最高点である。写真を撮り景色を眺めて10分ほどで出発。
もう一つの3000mピーク、雄山に9:18。
こちらの方が立山の主峰といった趣がある。登拝料500円也を支払って山頂の拝殿へ。若い宮司がいて、ある程度人数が揃うと祝詞を上げお祓いをしてくれる。お神酒も出る。
身が清まったところで拝殿から降り、三角点の側で缶ビールを飲んでいたら、通りすがりのご婦人から「美味しそうですねぇ」と感心(?)された。「ええ、サイコーですよ」と返す。
これで日本の3000m峰は全山制覇した。ビールも美味い。
あとは一ノ越まで一気に下る。観光地としてはキツい傾斜だ。そこから浄土山を経て室堂ターミナルに11:46。これにて登山終了。
・・・って、今日は雷鳥荘を予約してあったけど、これなら帰れるぞ。予約キャンセルの電話を入れ、昨日トーストを食べた喫茶店でカレーとコーヒー。お持ち帰り用に玉殿湧水を汲む。そこで水を汲んであげたり写真を撮りあったりしたご婦人二人連れ(姉妹)とまたコーヒーを飲んだりして13時のバス。下っていくうちガスになり小雨になった。天気予報は当たっていたのだな。美女平でケーブルカー待ちの間に土産と酒(立山遊記)を買う。満員のケーブルから立山線に乗り継ぎ富山へ。車窓から見えるお墓は墓石がどれも「南無阿弥陀仏」。真宗の土地ということか。以下、特急と新幹線とバスで帰宅。
■今回のルート(山行時のGPS軌跡を2023年3月時点の地形図に表示)
2005/9/27(火) サッポロクラシックとバターサンド ― 2005年09月27日 00:00
2005/9/29(木) 「チャーリーとチョコレート工場」 ― 2005年09月29日 00:00
仕事の後、池袋シネマロサにて。
バートンらしさ全開の、皮肉でグロで作り物っぽく、そして綺麗なファンタジー。
子供は吹替版を見ているのだろう、思ったより混んでいたが大人の映画として鑑賞できた。そう、これは大人の観る映画だ。
まず、ジョニー・デップのウォンカが親子関係にトラウマを持つコミュニケーション不全。
故意か事故かは微妙ながら、フリークスっぽいクソガキどもへのお仕置きが小気味よい。
そしてこれまたフリークス、小人のウンパ・ルンパの歌と踊りが楽しい。何人かに演技させて顔だけ差し替えたのかと思ったら、ディープ・ロイが一人で演じたのだという。
クリストファー・リーはやっぱり貫禄。
お遊びは「2001年宇宙の旅」。モノリスチョコを食べたら賢くなってしまいそうだ。
監督の前作「ビッグ・フィッシュ」(https://www.sonypictures.jp/he/750262)は予告を見て綺麗な作品だと思ったのだが、「大人になったティム・バートン」という評を読んでいまいち食指が動かず未見。上で大人の映画と書いたが、完成して大人しくなったバートンは見たくないのだ。「シザーハンズ」や「バットマン」の如く欠落部分を抱えた存在を描く、あるいは「マーズ・アタック!」や「エド・ウッド」の如く好きなオモチャをぶちまけてゴキゲンなのがバートンの本領と思う。
それでも家族を持つのが一番の幸せという本作は、自身も家庭を持ったバートンの変化の表れなのかもしれない。
バートンよ、いつまでもウォンカであれ。
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