2005/6/3(金) ベルリンの至宝展2005年06月03日 00:00

東京国立博物館で「世界遺産・博物館島 ベルリンの至宝展-よみがえる美の聖域」を観る。

展示No.1は「ベルリンの黄金帽」。前10-8世紀のものとは思えないきらびやかさ。高さが75cmもある。これを被る者は偉大な力の持ち主と見做されたことだろう。

次はエジプト美術。ホルスを抱くイシス女神がキリスト教の聖母子像のイメージの源泉となったのか。魚が太陽のシンボルを乗せた聖魚オキシリンコスが面白い。ティイ王妃頭部の表情の力強さを見ると、人や文明は滅んでも芸術は残るものだなと思う。

古代西アジア美術ではライオンの装飾煉瓦壁が圧巻。これが数多く並んだ様を想像すると実にスペクタクル。

ギリシャ・ローマ美術ではアプリア製クラテル。ギリシャ神話を目前に見る。

イスラム美術、コインコレクションは適当に流す。
ビザンチン文化で素朴な時代の、中世ヨーロッパ彫刻でストイックなキリスト教を見る。

ヨーロッパ古典絵画ではボッティチェリのビーナスが美しい。金髪の末端のほつれた様などはたぶん実物でないと分からないだろう。ラファエロの聖母子もよろし。この源泉はエジプトにあったのだな。

ヨーロッパ近代美術はマネの「温室にて」が目に付く。確かにいい絵だと思うが、展示の流れの中ではあまりピンと来ない。

全体を通してみると、紀元前から近代までの美の系譜を通して眺めることになる。神々の姿を描くと言う点では同じでも、時代が下がるにつれて人間が投影されてくる。近代まで来ると完全に人間を描くようになり、美の系譜も拡散(多様化)するということか。

2005/6/3(金) ロケットまつり62005年06月03日 19:30

前回(⇒ 4/12記事)、前々回(⇒ 2004/8/9記事と開演の20~30分前でほとんど席がなかったので、1時間前の開場直後に行ってみた。が、入ってみるとやっぱりほぼ満席。開場前から行列しているのか・・・

後ろの方に席を取って、店内で売られていた松浦晋也氏の新刊『恐るべき旅路』『スペースシャトルの落日』を購入。サイン入り。

出演者は前回と同じく垣見氏と林氏がメインで、レギュラーとして松浦氏、あさり氏、前回欠席の笹本祐一氏も無事参加。垣見、林両氏が喋るのは分かっているので、レギュラーはビデオ操作要員(笹本)、突っ伏し要員(松浦)と自己紹介したり。

垣見氏は登場前に『新版 日本ロケット物語』を読んでいたらしい。登場早々に「これウソ書いてるよ」。
一方、K(カッパ)8型10号機の事故で「2段目は海に落ちなかった」と言う垣見氏に対して林氏が「落ちました。わたしが1段目を引き上げたんだから間違いない」と訂正したり。関係者を集めて語り合うことは大切である。
この事故は燃料のクラックが原因だった。クラックの存在は事前に判明していたのに連絡が来ていなかったという。昨今のシャトルの事故原因みたいな話である。

マル秘資料がプロジェクターに写し出される。S33.9.1付で垣見氏がまとめたロケット打上げの一覧表。それを見て前回の訂正が入る。2段ペンシルは飛んでいないと言ったが実際は4機発射していたとのこと。だが前回、2段ペンシルをランチャーにセットした時に配線ミスで上段が着火した話が出ている。クラスター型は作っただけで飛ばさなかったという話はあったので勘違いかもしれない。
ちなみにペンシルは40機。

ペンシルロケットは200本程制作されたが、垣見氏は1本も所持していない。一方、現場にはいなかった林氏がコレクションしてる。いつでも持っていけると思うと結局は持てないで、失敬するチャンスが一度しかない人が持っていって保管していたりするものだ、と笑い話になったり。
ロケットまつり
写真はイベント終了後の壇上、林氏のペンシルコレクション。左から、2段式、標準(230)、300、クラスタ型。

その他、面白かった話題をランダムに。
・スペースシャトル再開1号で野口飛行士がIHIにあったペンシルを持って行く。そのロットNo.が「1」ということになっているが、ペンシルにはロットNo.など振っていない。
・着火した固体燃料は踏んでも消えない。踏むと圧力がかかって却って燃える。足が持ち上がる。
・しかし固体燃料は安全なものである。自衛隊で70mmロケット弾を人手で運んでいる時につまづいて焚火に放り込んだことがあるが着火しなかった。
・ロックーン方式(気球にロケットを吊るして高空で発射する、ロケット+バルーン=ロックーン)で気球がうまく揚がらず地面に落ちて発火したことはある。上空で着火するための自動スイッチが働いた結果。
・火薬の専門家の先生が火薬の近くで平気で煙草を吸う。「いいんですか」と言ったら「どこまでが安全かを知っている僕はいいの、君はダメ」。その先生も「一般の人の前では絶対吸わない」。(このエピソードに論語の「人(にん)を見て法(のり)を説く」を思い出した。一流の人は自然とその境地に達するものであろうか)
・ロックーンは風に弱い。シグマ3型を東京湾を出た太平洋上で実験した時、先生方は風速と同じに船を走らせればいいなどと仰るがそう上手くはいかない。ナイロンロープに擦られて掌を火傷した。(垣見)
・直径80mmのベビーまではクロモリ鋼の丸棒を削り出したが、それ以上の直径では板金を丸めなくてはならない。3mmまでの圧延技術しかない時代、3mmの薄板を重ねて再圧延するアイデアを出した。(垣見)
・球形モーター(ロケット)は表面積最小、容積最大が利点。東大ロケットの最終段に使われた。(人工衛星おおすみの丸い部分がそれ)

糸川英夫とともにロケット開発に携わり、後に東大宇宙航空研究所長を勤めた高木昇氏が5/28に亡くなられた。96歳。高木氏については、ラムダが4号機まで失敗して国会に呼ばれたがそこで落涙、それがNHKで放送されたというエピソードが紹介された。
垣見、林両氏にも、お元気なうちに大いに語っていただきたいものである。

JAXAiでペンシルを展示するということなので、見に行ってみよう。

Google
wwwを検索 このブログを検索